春分/「ふつうの軽音部」:鳩野のボーカルと厘の策略と桃の思い(2)/プーチンの「いただき女子ムーブ」に翻弄されるトランプ/トルコで反エルドアン派政治家拘束

Posted at 25/03/20

3月20日(木・祝)晴れ

今日は春分の日、お彼岸の中日。昨日の日差しで雪はだいぶ溶けたけれども、今朝は冷え込んでいる。今のところの最低気温がマイナス3.6度。日中の最高気温も8度の予想だし、春というには寒い。一時雪の予報も出ている。

昨日は午前中は仕事の決算関係のことをやっていて、買い物に行ったり銀行に行ったりも。午後は会計事務所に書類の山を届けたり、母に電話したり。夜はお通夜に行ったりいろいろ。なんだかバタバタしている。今日はいろいろある。まあ手を抜けないことが多いなと。

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「ふつうの軽音部」鳩野ちひろのオリジンとライジング。続き。

6月のライブの前夜に誰もいない視聴覚室のステージで熱唱していたのを高山厘に聞かれる、というのがいわば「転機0」だった、というのは書いたが、それでもすぐに事態が動き出すわけではない。直接のきっかけは桃のスリーピースガールズバンド、Sound Sleepのベースの乃木舞伽が付き合っていた鷹見と別れたことからバンドも軽音部もやめると言い出し、その時の行き違いで桃と喧嘩状態になったことにはじまる。

桃があまりに落ち込んでいるので心配になった鳩野は矢賀と一緒に遊びに誘い、話を聞くのだが、桃は自分が「人に対して恋愛的に好きという感情を持てない」というコンプレックスを持っていることを告白し、舞伽ともそこで対立したという。そんな風に自分をさらけ出したからか、桃と鳩野の仲も近づき、「いつか一緒にバンドをやろう」と桃に言われる。

幸山厘は実はこういう機会を狙っていて、桃にSound Sleepのドラムの大道優希が軽音部の2年の先輩と付き合ってることを知らせ、桃は余計意固地な気持ちになり、優希とも喧嘩してしまう。

一方厘はしつこくLINEを送ってくるヨンスに辟易していたのだが、「機は熟した」とみてヨンスに強い拒絶の返信を送るとヨンスはショックを受けてバンドを辞めると言い出し、慌てるカッキーに「吉田さんのバンドに誘われてるんでしょ。自分たちは自分たちでやるからそちらにいくといいと思う」と言ってラ・チッタ・デッラを解散してしまう。鳩野にとっては何もかも寝耳に水の中、厘は「これではとちゃんがボーカルの新しいバンドを組める」と言い出し、桃を呼び出す。

桃は厘の強引なやり方に腹を立てているがカラオケに連れて行かれ、厘は半ば強引に桃に鳩野の歌を聞かせ、桃は感動し、鳩野のボーカルの後ろでドラムを叩いてみたい、と思うようになる。この辺の展開は読んでいてもいちいち感動するのだが、よく考えてみると全てが厘のお膳立てで進んでいるわけで、厘の「善意(鳩野に対する)の策謀キャラ」としての面目躍如なのだが、めちゃくちゃだなと思いながらスルスルと物事が進んでいき、終わってみたら厘の思い通りになっていた、というのが妙に面白く、この辺りで「ふつうの軽音部」が読者に「面白い」とはっきり認知されたのだと思う。

「厘が鳩野の歌を聞く→桃のバンドが空中分解する→ヨンスを振ってラ・チッタ・デッラを解散する→桃を勧誘し、鳩野の歌を聞かせる→桃が鳩野と厘のバンドに加わる」までが一連の流れになるわけだが、タイミングを捉えて「機は熟した」と呟き、日常生活というか部活動の中でこれだけの地殻変動を起こさせるキャラは今まで見たことがないし、幸山厘というキャラが一躍注目されたのもこの動きによってだっただろう。

そして「鳩野の歌」がいかに武器になるか、ということが読者にも提示されるわけで、この辺の展開と読者に聴こえるはずのない「鳩野の歌」を聞かせてしまうというテクニックはすごいなと思った。

ここで鳩野たちのバンドのオリジンが「鳩野ちひろのボーカル」「幸山厘の策略」「たまにセンチな陽キャな内田桃」を軸に展開していくことが示される。ちなみにこの時点での楽器の演奏能力は厘は「安定したベース」であり桃は「緊張したらミスをするドラム」であり鳩野は「まだ下手な初心者のギター」なわけで、まさに「伸び代しかない」状態なのだが、「鳩野のボーカルとその力を信じた厘と桃」が核になることが示されたことが重要なのだ。そしてそれがまさに「ふつうの軽音部」のバンドなのだなと思う。

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https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250319/k10014753961000.html

トランプとプーチンの電話会談。トランプはバイデンへの反発とプーチンとの個人的な関係から、バイデンのウクライナ政策がウクライナ戦争の元凶だと考えていて、アメリカがウクライナへの関与をやめたら自然に問題は解決すると思っていたのではないかという観測を読んで、なるほどそうだったんじゃないかなという気がしてきた。

トランプのプーチンに対する信頼ぶりというのはロシアに歴史的な不信感がある我々からしたら少し不思議なところがあるが、日本の今までの対ロシア外交も「北方領土の返還」というテーマを軸に進められてきたわけで、ビザなし交流とか墓参とか友好ムードはあっても実質的には全然進まず、ウクライナ戦争でのウクライナ支持によって今までのそういうものも全部チャラにされた、という展開になっている。

つまり結局は、ロシア、特にプーチンは決定的に対立したくない時には友好ムードだけは高めるが、自分のものは絶対に手放さないわけで、有効ムードの盛り上げで手に入れるものだけ入れて1円も払わないといういわばいただき女子的なムーブに徹しているわけである。

トランプにしても、本当に重要なのはウクライナのことではなく、国内でバイデンやオバマの勢力を徹底的に叩く、彼らのやってきた政策を徹底的に否定することの方が重要なわけで、ウクライナ問題を「バイデンの悪しき影響力を排除したら自然にうまくいく」くらいに考えていたのだろうと思う。そうではない、ということにいつ気づくかが問題だとは思うのだが、まだ完全にはわかってないのだろうなと思う。

今回の停戦合意交渉に関しても、ロシアは自分が少しでも得をしそうなアメリカ側の譲歩や提案には喜んで乗るが、決定的な譲歩は絶対にしない、というスタンスは変わっていないし、交渉成立への期待を持たせるだけ持たせて時間を稼いで少しでも自分に有利にする、というやり方に関しては北方領土返還交渉と基本的には同じだなと思う。まあ安倍さんもプーチンにはいろいろしてやられているので仕方ない感じもしなくはないが、プーチンを動かすに足る力量のある政治家・国家が今世界にいるかといえば中国ぐらいな感じなのだが、中国も自分が損をしてまで動く気は無いので、なかなか難しいなと思う。

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https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250320/k10014755071000.html

トルコで政変。次期大統領選でのエルドアン大統領の有力対抗馬とされるイスタンブル市長のイマムオール氏が拘束されたという。エルドアン氏の対抗勢力といえば親EU派か郡を中心とする世俗主義の勢力かどちらだろうと思ったのだけど、下の記事を読むと自らを「ケマル・アタテュルクの系譜に属する政治家」と位置付けているので、後者だということになるのだろう。

http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/html/pc/News20230530_232211.html

西欧派の勢力では「私の名は赤」でノーベル文学賞を受賞したオルハン・パムクが思い浮かぶが、最近はあまりこの勢力が話題に登ってこない。一方で軍部の方はエルドアン大統領に対するクーデタ未遂事件もあったから、警戒感はより強いだろう。エルドアンはウクライナに関しては特にクリミアについてロシアに強硬な発言をしたりしているけれども、内政に対しての不安というのもこういう形で現れているのだなと思う。

お彼岸の大雪の卒業式/「ふつうの軽音部」:「ラ・チッタ・デッラ」と鳩野ちひろのオリジン(1)

Posted at 25/03/19

3月19日(水)雪

季節外れの大雪である。明日がお彼岸の中日、ところによってはもう桜も咲いているかとは思うが、北極の寒気が偏西風の乱れで南下したということだろうか。朝からサンデーとマガジンを買いにコンビニに行ったらもうヤンジャンとモーニングも出ていて、明日が春分の日で休日だから今日発売なんだ、と気づくなど。セブンのレジ前にお彼岸用の花が出ていて、いつが彼岸だっけとぼーっと考えていたのだが、今が彼岸だった。こんな雪では今日は墓参りに行けないが、明日の中日なら行けるか。あるいはもう少し先にしたほうが良いのか。

今日は地元の中学が卒業式ということなので、道路の除雪もなるべくしっかりしておいた。職場の入り口と作業場の坂道も除雪はしたのだが、まあこんな天気だから卒業生の多くは親に車で送ってもらうかもしれない。卒業式に雪というのは流石に長野県のこちらでも珍しいのだが、まあ降ったら降ったで対処するしかないのだが。

そのほかいろいろなことで急にやらなければならないことが増えたのだが、三月というのはそういうものかもしれないとも思う。ゆっくり落ち着いて、慌てずに一つ一つやっていこうと思う。

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「ふつうの軽音部」、主人公鳩野ちひろの「オリジン」と「ライジング」というテーマで書こうと思っているのだが、とりあえず下書き的にいろいろ書いてみたい。

この作品の物語はいきなり「明日から高校生」の鳩野が「今日!私はエレキギターを買う!なぜなら軽音部に入部したいと思っているから!」と宣言し、自分の憧れの向井秀徳が愛用している「フェンダー・テレキャスター」を買う、というところから始まる。いきなり勢いのいい出だしなのだが、物語を読み進むにつれ、この時の彼女には相当な決意があったということが察せられるようになる。彼女は陰キャで初心者で、しかもお年玉の貯金と母への借金でプロも使っているモデルを買うのだから、相当な決意があったわけである。

だからこのストーリーの始まり自体が実は彼女に取って大きな転機のはずなのだが、決意をして買ってはみたものの試奏しますかと聞かれてできるわけねえだろと思ったり、高校に入学しても友達ができるかとか軽音部に入ってもバンドが組めるかとかそこから心配しているわけである。物語の側からの助け舟としてクラスでは内田桃という陽キャの軽音部入部希望者が、でも彼女とはバンドは組めないのだが仲良くなった陰キャ友達の矢賀の紹介で高身長おっとり系ショートヘアのベース・幸山厘を紹介されたり、ここは努力というより出会いの力で物語が進んでいく。

出会いといえば、最大の出会いは最初のギターを買った楽器店で試奏していたギターめちゃウマの少年鷹見項希が実は同じ高校の同じ軽音部で、歌もめちゃくちゃ上手いのだが鳩野は「不吉なものを感じる」、後になったら「なんか知らないけどムカつく」存在になり、1番のライバルになっていくわけで、この緊張関係が物語を止揚させていく力になるわけである。

また憧れの存在も現れる。新入生歓迎会で軽音部代表として演奏した新田たまきのバンド、性的カスタマーズ(バンド名は後で判明)が今時の少年少女は知らない「銀杏BOYZ」の「あいどんわなだい」を演奏し、自分は大好きだけど今時のJKがこんな曲を!と驚くものの、その弾けた歌詞と演奏に最初は共感性羞恥で苦しみながら、だんだんその大胆な演奏に感動し、憧れるようになるわけである。

バンドはなかなか組めないが、幸山厘を目当ての1年男子「ヨンス(ギターボーカル)」とそのめちゃ仲のいい友達の「カッキー(ドラム)」が声をかけてきて、バンドを組むことになる。そのバンド名を決める中で迷走するプランに危機感を覚えた鳩野は昔の楽しかった父との思い出の場所を思い出し、その名前を提案するとすんなりそれに決まったわけである。それが「ラ・チッタ・デッラ」、川崎のモールというかお洒落な商店街の名前だった。

最初の合わせの演奏は酷いものだったが、その演奏の動画を撮ってくれた新田たまきと一緒に帰ることになってハンバーガー屋で話し込み、その時に自分の音楽の趣味は「ナンバガとか父親が好きだったから」という話をする。その後出てくる幼年期エピソードではいつも父との場面が回想されていて、鳩野が「お父さん子」だったことがわかるわけである。「ラ・チッタ・デッラ」そんな鳩野の「幸せな幼年期」の象徴であり、その名前をこの適当に組まれたバンドが背負っていくことになるわけである。

軽音部の6月ライブはバンド数が多いので1年生は3バンドしか出られず、オーディションに臨むことになるが、案の定オーディションは落選し、男子たちはやる気を無くしてサボりがちになってしまい、鳩野は一人悶々とする。そんな中、ライブの前日にセッティングされた視聴覚室に忘れ物を取りに来た鳩野は誰もいないステージにテンションが盛り上がってしまい、ギターを適当に弾きながらandymoriの「Everything is my guitar」を熱唱する。歌いながら鳩野の過去が回想され、中学の時に両親が離婚して大好きだった父と別れ、ちひろは大阪に転校し、級友たちとカラオケに行ったら声が変だと笑われて深く傷ついたことが見せられる中で、自分がギターボーカルとしてみんなが熱狂している場面を幻視し、たまきとのやりとりを思い出して希望を取り戻したときに突然、厘が現れて二人とも絶句する、という最初の山場が現れる。

これを「転機0」とすると「ギターを買った」ことが「転機マイナスワン」になるわけだが、まあ根拠はないがかっこいいからそのように名付けておきたいと思う。鳩野が言っているように「これが大いなる間違いでありすべての始まりでもあった」ので、「転機0」と名づけるのにふさわしいようには思う。

ちひろにとっての「幸せな幼年時代」は中学時代の「両親の離婚」によって突然終わる、いやその前にいろいろとない分けはないので、酒浸りのバンドワナビーだったと思われる父親としっかりものだが椎名林檎好きの母親との関係も今のところは想像するしかないが、「ラ・チッタ・デッラ」の時代はミュージシャン、というかそれ以前の軽音部員としての鳩野にとっての「雑な幼年期」という感じで重なってくるのかなと思う。

「ラ・チッタ・デッラ」はちひろにとって「父との幸せな幼年時代」の象徴で、その幼年時代の思い出はまさに彼女のオリジンの一つだと思うのだが、私も好きな街なので、この時代のことがもっと良い印象になってくると嬉しいなと個人的には思う。物語の展開(60話現在)ではヨンスとも結構友達として仲良くなってきているので、このバンドを組んでいた頃のイメージもあとから上がる可能性もあるのかも、という気持ちもある。



マンガ考察:「ふつうの軽音部」:鳩野ちひろの師は誰か/「鳩野ちひろの「オリジン」と「ライジング」(仮)」/iPhoneを無くしかけた(日常雑記)

Posted at 25/03/18

3月18日(火)晴れ

今朝は久しぶりに晴れていて、放射冷却でかなり冷え込んだ。最低気温マイナス3度、久しぶりの冷え込み。三寒四温というのは本当にそうだなと思う。ところによってはもう花冷えの季節ということだろうか。

月曜日は本来休日なのでなるべく大変な用事は入れないようにしているのだが、日程が他に取れなかった関係で母を病院に連れて行った。金曜日に連れて行った時はいろいろトラブルがあったのでそこを警戒して行ったのだが、とりあえず大丈夫だった。眼科の治療を受け、そのあと皮膚科に行って黒子を見てもらったが、どちらも無事に済んだ。前者はかなり高額なのだが、高額医療の恩恵を受けて多少は戻ってきているのでありがたい。上限額が引き上げられるとその分大変になることはウチに関しても確かである。

まあなんとか無事に終わったほでほっとして、母を施設に送り、いろいろ伝達してさてお昼ご飯でも買うかとセブンで買い物をした後、音楽を聴きたいなと思い(日曜日からずっと「ふつうの軽音部」に出てきたサバシスター「覚悟を決めろ」にはまっている)iPhoneをカバンから取り出そうとしたら、ない。

げげっと思い、セブンをぐるぐる見て、その前に行ったファミマとドラッグストア(施設に届けるためにトイレットペーパーとかマスクとか買う機会が多い)で聴いてみても、ない。病院に戻って受付に聞いて、落とし物係に聞いて、最後にスマホをいじった皮膚科の待合室(と言っても廊下だが)をみて、母を入れた身障者用トイレをのぞいて、皮膚科の受付に聞いても、ない。

落としたのでなければ、ひょっとして母の荷物の中に、例えばバッグの中に間違えて入れてしまった(母の簡単スマホがしょっちゅう着信音が鳴らない設定に変わっていたりするのでバッグの中は見ることが多い)のではないかと思って施設に行って事務の人に聞いてもらったが、ない。これはやばいと思い、自宅に戻ってMacBookAirかiPadで「iPhoneを探す」を発動してある場所をまず特定しなければ、と思って自宅に急いでいたら、信号待ちの時に母から電話がかかってきて、「私のバッグの中にあった」と言われたので喜んで施設に戻ると、先ほど「無いですね」と言ってた事務の人が走ってきて渡してくれた。母が着ていたダウンジャケットの中にあったというのだが、まあ荷物が多かったからiPhoneをいじった後つい変なところにしまってしまったのだろう。まあとりあえず出てきたからいいのだが、久々に本気で焦った。

病院行きを無事終えられたので安心しすぎたんだろうなと思った。今後は施設に送り届ける前に自分の持ち物チェックをしないといけないなと思うなど。まあ出てきて本当に良かった。

午後はちょっと安心してしまってお昼を食べた後寝てしまった。動き出そうとした時にはもう暗くなりかけていた。

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https://shonenjumpplus.com/episode/17106567264132036203

3月16日更新の「ふつうの軽音部」第60話「機先を制する」はいろいろな意味でエポックというか、この作品の一つの大きな山場であることは確かなので、日曜日からまたこの作品についていろいろ考えている。

主人公の鳩野ちひろの師匠はだれか、ということをふと思って、永井公園で弾き語りをしてるときにレイハさんと再会し、その歌い方のあまりの傍若無人さに呆気に取られ、そして「自分が歌うとにまだ恥じらいを残している」ことに気がつき、「もっと自由に、もっとわがままに歌ってもいいんじゃないか」「レイハさんみたいにもっと傍若無人に、もっと厚顔無恥に」「私が憧れたロックバンドのボーカルはそうだったはずなんだ」と気がつく場面を思い出したわけである。

これは鳩野のボーカル観において重要な転機であったことは間違いなく、これより前にもすでに固定客はつき始めていたのだが、その11日後に弾き語りに行く際に「そろそろ掴めそうなんだよな 弾き語りの核心」と厨二病的なことを言ってたらたまき先輩が現れ、事情を告白することになる。そして歌を聴いたたまきが自分の過去を思い出す。鳩野の歌を聴いて自分が一緒に演奏する姿を幻視するというのは桃が「拝啓少年よ」をカラオケで聴いた場面でもあったが、鳩野のうたで自分の過去を思い出す場面はこのたまきの場面が初めてだ。それが「ボーカルの核心」であるかはともかく、鳩野の歌が強い印象を与え、驚かせて褒められたのも初めてである。

かと言ってレイハは中学で生徒会長を務め大阪有数の進学校に進みモデルもやっているいわば「全てを持っている」女であり、鳩野に対する接し方自体に「ああいう「出来ない子」が頑張っている」のってなんか感動しちゃうんだよね」と放言(口に出さないが)する女であって、鳩野もそれを感じているから「多分レイハさんは私のことを完全にナメている。もしいつかまた会うことがあったらその時は目に物を見せてやるぜ」と密かに誓うわけである。(第2巻18-19話)

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だからこれはレイハから強い影響を受けたことは確かであるが、(これはもっと穏やかだが56話「憧憬を強める」での夏帆との出会いで「ギターかっこよく弾ける人になりたい」という思いを再確認することとも共通する。夏帆との出会いも永井公園での弾き語りである)「師匠」というよりは「影響を受けた人」というべきだろう。レイハに対する対抗心は文化祭での「リンダリンダ」アカペラ熱唱(第4巻39話ー第5巻40話)という今(60話のカキフライエフェクトなどを巡って)焦点になりつつある行動に繋がり、鳩野自身は「やっちまった」と思っているが、周りの評価は違う、パンクというかロックの精神を直接表現した、みたいなある種の「神話」につながる。もちろんレイハがこれをストレートに評価することはないのでまだ先があるわけだが、周りの人に確実に爪痕を残して行っているのがいい。

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ということで、「ふつうの軽音部」主人公鳩野ちひろをめぐる「物語」についてより深く考察していきたいと思い、「鳩野ちひろの「オリジン」と「ライジング」」というテーマでプロットを書き始めたらかなり壮大なものになり始めたので、いろいろまとめながら少しずつ書いていきたいと思う。

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思えば昨年(2024年)の初頭にこの作品にハマり、ふつうなら他の作品もふつうに感動しながら読むことが多いのだけど、昨年はほぼこの作品に入れ上げていた感じで、今年に入ってからも基本的にその熱は取れていないから、この作品に費やした時間を一つの批評作品にまとめるのは自分にとっては多分必然なんだろうと思う。ただ称賛し感心するだけでなく、今まであまり指摘されていない部分についても書いて行けたらと思っている。

マンガ感想:桝田道也「識りたがり重豪」が面白かった/立ち待ち月/電波時計

Posted at 25/03/17

3月17日(月)曇り

昨日は、というか今朝起きて外に出て、月がとても明るいなと思ったのだが、14日が満月だったから昨日は立ち待ち月ということになるだろうか。

昨日、というか土曜の夜は「ふつうの軽音部」の更新を読んで、その後何度もサバシスター「覚悟を決めろ」を聴きながら読み直したり感想を読んだりTwitterで感想を探したりしていたら寝たのが3時くらいになり、それでも7時前には起きてしまったので寝不足だった。昨日は本当に更新を待ちきれなかったからそうしたのだが、やはり寝る前に読むのは眠れなくなるので基本的にはやめたほうがいいと思った。今日は母を病院に連れて行く予定なので、日曜日にいろいろやらなければならなかったのだがほとんどやれてない。ただ実務的なこと以外は結構片付いたとも言えるのだが。

朝起きたら居間の時計が止まっていて、電波時計なので時々電波が取れなくて止まることがあるのだが、電池を確認すると前回の電池交換が昨年の4月だったから、多分もう亡くなったんだなと思って交換した。大体1年で交換しているので、まあそんなものかなと思う。こういうのはこちらが忙しい時とか考えることが多い時に起こることが多いのだが、何か思念のようなものが関係しているのだろうか。と言ったらオカルトになるが。

昨日はそういう感じでマンガを読んだり整理したり、ブログを書いたり、音楽を聴いたりギターを弾いたり、歌を研究したりみたいなことをして過ごしてしまった。一日天気が悪くて出かける気にならなかったということもあるが。

https://manga.nicovideo.jp/comic/58916?track=list

そして昨日見つけてつい読み耽ってしまったのが下の桝田道也「識りたがり重豪」。作者さんが「この作品はみなもと太郎「風雲児たち」の二次創作です」と宣言している通り、「風雲児たち」で出てきたキャラはほぼみなもとさんのキャラデザを踏襲している。この作品の趣旨は「蘭癖大名として知られ薩摩の財政を破綻させた元凶のように語られる島津重豪こそ、実は薩摩を開国させ、その後の薩摩の布石を築いた偉人であった。」ということで、島津重豪(1745-1833、薩摩藩主としては1755-1787)が主人公になっている。

「風雲児たち」にも重豪はよく出てきたが、島津家は代々同じ顔で描かれていて重豪もその一人だったのだけど、流石にこの作品では違う顔になっている。しかし平賀源内や前野良沢、奥平昌鹿や田沼意次、松平定信などは風雲児たちの絵柄で描かれているので、懐かしい。

重豪の父は木曽三川の宝暦治水で知られている島津重年で、もともと兄がいて自分は分家に養子に行っていたのが兄の死により本家を継いだすぐに起こった「実学崩れ」の件から書き起こされているが、この時には重豪は4歳だったということになる。「風雲児たち」本編でも宝暦治水については別巻で詳しく書かれているのだが、重年はその絵柄と同じで治水に神経をすり減らし、27歳で亡くなっているのだが、この作品では詳しく重豪との関わりが描かれていて、なんというか供養になった感じがある。

読んでいると思ったより島津家と徳川一門の距離は近い、特に吉宗の三男の一橋宗尹は重要な登場人物として出てくる。これは重豪の正室の保姫が宗尹の娘だったということもあるのだが、「御三卿の存在」の掘り下げ方が面白いなと思った。

御三卿はなぜ江戸城側に屋敷を持ち10万石を与えられながら領地はないのかとか、田安宗武の息子であった松平定信がなぜ養子に出され、兄の死後も田安家に復帰できなかったのかとか、従来の定説とは違う角度から研究されていてなるほどと思う。またなぜ幕府が島津家に宝暦治水を命じたのかとか、幕府は島津家を取り潰す意図はあったのかとか、この辺も定説ではわかりにくい部分があるところに切り込んでいて興味深い。

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https://shonenjumpplus.com/episode/17106567264307961079

「ドリブルヌッコあーしちゃん」、今回はデート回だったが、最初はドリブルの抜き合い、次にはパスと話が展開し、次回はシュートになると、なるほどと思うサッカーマンガの展開。「ほのぼの+健康的無邪気セクシー」みたいな路線できているけど、後半部分でガヤガヤするのが現代マンガの宿業か。今のところめちゃシンプルな展開で先は見えないが、連載が続くと良いなと思う。


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