「ジークアクス」最終回を見た:マチュという「疾走する主人公」と一瞬を永遠に生きる「閃光少女」の世界
Posted at 25/06/25
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6月25日(水)晴れ
今朝は3時ごろ目が覚めてしまい、流石にもう一度寝ようと思ってトイレに行ってお茶を飲んでからまた寝床に入ったのだが、結局4時15分ごろ起き出した。洋服の整理をしたりそのほか、普段やってないことをいろいろやる感じになった。ジャンププラスを一通り見た後、ジークアクスの最終話の録画の前半部分を編集して消去。5時ごろ出かけてお城の近くのファミマでサンデーとアフタヌーンと水と缶カフェオレを買う。ぐるっと一回りしてから家に帰り、サンデー・アフタヌーンのいつも読んでいる作品を読んだ。マガジンの「カッコウの許嫁」が最近面白く、またマガポケで単話買いした。
いつもなら帰った後でブログを書き始めるのだが、今朝は書くためにTwitterを開いたらジークアクス最終話のネタバレを喰らうことはまず確実だったので、先に見ることにした。感想は下に書くが、とにかく話を全て収めていてすごいなと思った。安心してTwitterを開けたのはいいが、次々に読んだり見入ったりしてしまい、なかなか書き出せなくなった。
https://www.gundam.info/feature/gquuuuuux/
「ジークアクス」、一口で言うと「疾走感のある作品」だった。opでも最初にマチュが、そしてラストではマチュの後ろにニャアン、シュウジ、エグザベ、コモリ、シャリア・ブルが疾走しているシーンが映されて印象的なわけだが、あの疾走のイメージが最初から最後までついて回った、という感じだろうか。
https://www.youtube.com/watch?v=dcxhZTb_6zs
当然ながらそれを主導しているのは主人公のマチュで、典型的な「ここでないどこかへ行きたい主人公」だと思っていたのが、最近の作品ではなかなか最後まで走り抜けるのではなく、放蕩息子が帰還したり青い鳥は身近なところにあったりするわけだけど、マチュは最後まで走り抜けて、改札で出会った見知らぬ少女と友達になったり、違法なモビルスーツ賭博に参加したり、しまいにはお尋ね者になってサイドシックスに居られなくなり、地球に行ってララアを救い出そうとするついでに娼館に火をかけたり、シャリアにうまく利用されて「シャロンの薔薇」を見つけ出したと思ったらその莫大な力をめぐるジオン公国の内紛、ギレン派・キシリア派そしてシャアとシャリア・ブルの争いに巻き込まれながら、会いたかったシュウジが向こう側から来たララアを殺すことでこの世界を終わらせようとしているのをマブとして改めて誘ったニャアンと2人で止め、そして和解したシュウジとキスまでし、最強の初代ガンダムまで倒して地球に逃げ込んでニャアンと2人で海に行き、そしてEDの2人でのパーリー生活に至る、とまさに最後まで止まらないのはすごいなと思った。
https://www.youtube.com/watch?v=Rd3Gu4pQURY&list=RDRd3Gu4pQURY&start_radio=1
もちろん背景にファースト以来のガンダムの世界があることは確かなのだが、ジークアクスから見始めた私にとっては、この作品はなんと言ってもマチュという個性を描くための作品であったし、お尋ね者ではあっても完全にアウトローではなくシャリア・ブルやコモリやエグザベと連絡をとっていることを暗示する映像もあり、それは確かにニュータイプとしての「現時点での完全な自由」を謳歌しているように見える。こんな刹那的な生き方でいいのか、という向きもあるだろうけど、これはまあなんというかガンダム版の東京事変「閃光少女」であって「今日今が確かなら万事快調よ」なのだ、ということなんだと思う。
https://www.youtube.com/watch?v=5jsdarfpsLk&list=RD5jsdarfpsLk&start_radio=1
大人たちは大人たちで新しい国家体制を建設したり、無法者の娘からようやく連絡が来て安堵したりしているわけだけど、ニュータイプの少女たちは今を謳歌しながら、次にはまた時空を超えて彼女らの恋人に会いに行こうとしているわけで、ちゃんとその未来の方向性もある意味描かれている。
そういう意味では今の彼女らの自由も一瞬の休息であるのかもしれないが、この前にアニメで海を見て何かを感じたという場面が「進撃の巨人」だったから、あれに比べるとなんて明るい海なんだ、と思うし、悲観よりもあえて楽観を描くことこそが今の時代に必要だという気もするので、とても良いラストだったと思う。
私は基本的にはマンガ原作のアニメは見るが最近は全然アニメオリジナルの作品は見てなくて、最近見たのは「君たちはどう生きるか」、その前は「君の名は」まで遡る。マンガ原作のアニメは原作マンガのファンだか見る、ということがほとんどだから、まあアニメ化に関していろいろな思いが起こってしまい、最初は面白くてもだんだん見ていられなくなることが割合多い。また、マンガというものは連載初期にわりと停滞する回があるというかごちゃごちゃした感じになるところがあって、アニメ化されてもそれをうまく解消できてない場合が多いのだが、アニメオリジナルの場合、劇場用映画はもちろんだけど、テレビアニメでも「ジークアクス」は初回からラストまで間断とするところなく最後まで走り切ったのが本当に良かったと思う。
前にも書いた私はガンダムは見てこなかったし見るつもりもなかったのだが、タイムラインのあまりの盛り上がりに耐えきれずに7話あたり絡み始めたが最初は訳が分からず、アベマTVの無料放送で1話から全部見直して、この作品自体の全貌は大体は理解できた。もちろんファースト以来の絡みは全然分からないのでタイムラインに流れてくる情報などでこんな感じかというのを組み立てているだけだけれども、私にとってはそれらは基本的に背景情報であって、本題はやはり「マチュが走り抜ける話」として見ていたし、それで良かったのだと思う。
脇役の中では特にアンキーとその一味が好きだったので、ラスト回に出てくれないかなと思っていたらちゃんと出てきてくれて良かった。彼女らをタイムボカン・ヤッターマンのマージョ様・ドロンジョ様の一味に例える人が多いが、この人たちは基本的にあのシリーズではメインの敵なのであって、それがギャグタッチで描かれているだけなわけで、基本的に主人公の「仲間」であるというポジションから言えば「天空の城ラピュタ」の「ドーラ一家」の方が近いと思う。アンキーの背景がもう少し描かれることを期待はしてて、それがなかったのはちょっと残念だったが、最後にモビルスーツ戦の残骸を回収して一儲けを企んでいたのは「こいつら懲りねえなww」という感じがしてとても好きだった。
後メインの話のフレームとしては、「シャアを救う世界を作り出したララア」「そのララアを救おうとしてやってきたシュウジ」「世界の均衡を守るためにララアを殺そうとするシャア」という三つ巴の争いの中にニャアンとマブを組んだマチュが介入し、無敵と評判の元祖ガンダムを止めて、ジークアクスに宿っていたアムロの魂?みたいなものとともにシュウジを呪いから解放し、またシャアを殺そうとするシャリアをエグザベを止めることによって彼らの行きすぎた激情を止めて落ち着くところに落ち着かせる、というのは「シン・ゴジラ」の「凍結」という手段によってゴジラを止め、その存在と共存する、みたいな感じがあって良かった。まあそうなるとマチュやジークアクス、エグザベたちは「無人新幹線爆弾」や「無人在来線爆弾」みたいなもの、ということになるわけだが。
いずれにしてもこの作品に出会えて本当に良かったと思う。シャリア・ブルを含め新しいキャラクターたちや彼女たちが暮らす空間、シュウジやそのキラキラの絵などを含め、パステルカラーを基調にしたお洒落な配色がとても良かったし、EDの2人の生活と宴会の場面、特にニャアンがウクレレを、マチュがギターを弾きながら歌う場面はとても好きだった。「続き」はないのかもしれないが、「ジークアクスよ永遠に」と思わざるを得ない。それは「一瞬が永遠になる」「閃光少女」の主題とも、やはり同じなんだろうと思う。
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