斜陽産業としての人文系/「日本」の価値の再評価無くして文化事業の再興なし/アート周りによくある男と女の事件
Posted at 26/03/06
PermaLink»
Tweet
3月6日(金)晴れ
昨日は午前中いろいろやってから銀行に行って入金や記帳、それから西友に行ってパンと豆腐など買い、帰って昼食を食べた後、少し竹を刈ったりしていた。
***
https://note.com/wakari_te/n/n94d23e4885a0?magazine_key=ma189261f42a7
「常人仮面」作者の関わる当時16歳少女との事件について小山さんが書いていて、それからその追記に記されたposfileも読んでみて、自分なりにこの事件の全体像が大体掴めた感じがあった。小山さんの提示するこの一連のツイート群が確かに本人のものかは断定はできないのだけれども、小山さんがいうようにその可能性はかなり高いと思う。とはいえ完全ではないということから、私としてもそれを前提として何かを考えても「憶測」ということになってしまうから、とりあえず憶測の範囲として言えそうな当たり障りのないことを少し書いてみたいと思う。
簡単に言えば、この事件は基本的にはアートとかマンガ、あるいは演劇とか映画や写真など、そういう「表現界隈」とでもいうところではよくある話の一つなのだと思う。それがこの作者がそれなりに知られた漫画家だったということと、この女性の個性によってかなり強くクローズアップされた過程があったのだろう。文春の記事も読んだのだが、マンガ関係者ないしは芸術高校の講師として未成年の女性に近づき親しい関係を築いておそらくは依存させ、関係を迫っても断れない、嫌われたくないという状況を作ったということ自体は確かだろうと思う。そういう意味では程度の差異や同意の有無はあれ、よくあることではあるようには思う。
さまざまなものを読むにつけ、両者ともかなり強烈な個性の持ち主であったことはおそらく確かで、そういう意味であまり近づきたくないと私などは思うけれども、そう人だからこそ魅力的だと思う人は男女とも必ずいて、ハンドルネームらしきもので検索してみると、それなりにこの女性のファンもいたようではある。
まあそういう意味での、あまりよくない意味で「さわれば火傷する」感じの二人の関係だが、成人同士であればともかく片方が未成年だったことで相当心象が悪くなることは現代においては事実だろうと思う。基本的に山本氏の方も言いたいことはあるだろうになぜ発言が出てこないのかなとは思っていたのだけど、どうも弁護士に止められているようで、確かにまだ係争中なのだから裁判で不利になるような発言は控えるということなのだろう。
あとはまあ本当に憶測になるし一般論的なところから踏み込んでしまうので書くのは控えるが、この手のアート界隈の事件は結構最近は多くて、園子音監督がよく取り上げられるが、写真家の荒木経惟さんなどもモデル女性に告発されて表から消えてしまっている。こういう男女関係絡みのスキャンダル的なものは社会的な地位、あるいは憧れの対象である男性にワナビーだったり野心を持った女性が近づいて、というパターンが多いけれども承認欲求なりなんなり満たされないものを持った女性がそうした男性と関係を持つことによって自分を承認できるようになる、ということはあるのだろう。ただそれは本当の自信ではないし本当の信頼関係ではないから、何か不満なことが出てきたりあるいはそういう自分の地位に無意識にせよ自己嫌悪が出てきたら「自分はそんなんじゃない」と思い始め、男性の方を憎んで告発に至る、ということはあるだろうなあとは思う。
昭和の文壇でも多くの男性作家と浮名を流した女性というのはいたし、佐藤春夫と谷崎潤一郎なんかの話もあるが、昭和ならそういうことで男性の側が地位を失うということもなかったのだろうけど、今は良くも悪くもそういうわけには行かなくなっているということだろうと思うし、告発する女性の方が不当に有利な状況さえ生まれているというのが現況なんだろうと思う。
まあ男性は基本的に女性モテたいわけで、そのために金を稼いだり体を鍛えたり知性を磨いたり(あるいは知識を蓄積して)社会貢献をしたり政府を批判したりして(笑)、女性にとって魅力的であるように思われたいから努力するという面もあるわけであるし、それが社会を発展させてきたという面もあるだろう。
「モテたいためのロックンローラー あなた動機が不純なんだわ カッコカッコカッコカッコばかり先走り」
というのは阿木燿子作詞の「ロックンロール・ウィドウ」だが、まあロックやお笑いをやる人たちもそういう動機の人たちは多いだろう。
私も文学部(歴史学)出身なので広義の人文系なのだが、最近流行りのハスに構えて政府や愚民を批判するタイプの社会学者系の人文イメージが広がっていて迷惑だとは思っているが、私は特にそういうことを考えたわけでなく自分が好きだから歴史学に進んだのだけれども、1980年代にそういう方面に進んでみて思ったのは、「人文系、特にアートっぽい方面はモテる」ということだった。まあモテるからと言って好きでもないことをやりたいとは思わなかった(天文に行きたい気持ちもあったが最終的にはより面白そうだと当時感じた方向に進んだ)し、まあできないだろうと思っていたけれども、進んでみたらどうも「モテる」感じがする、と思い出したら、まあそれを利用しようという気持ちがなくもないのは凡人の悲しさというものだろうとは思う。
まあそういう意味では若い時期には楽しい時代を過ごした(もちろん痛い目にも相当遭ったが)し、まあそういうイメージみたいなものも自分なりには利用していたところもあるだろうし、そういう雰囲気みたいなものを自分でも保つようにしている傾向は今でもあるようには思う。まあぶっちゃければ、であるが。
まあそれはそれとして、近年の著しい人文系の価値の凋落である。自分は特に意識はしていなかったけれども、特にそういうこととは関係なく、政治状況を見ていてリベラルや左翼というものに失望して、保守とか右翼という方面を自分なりに研究し、こういう方向であるべきなんじゃないか、ということを考えながら自分なりの考え方を形成してはいたけれども、当然ながら自然に身についた人文的な価値観というものは全てが消えるわけではないし、図書館や博物館、美術館などは価値あるものだと思っているし、そういうものの営利化にはそれなりに問題があると思ってはいるけれども、Twitter世論みたいなのをみているとその辺に批判的な人たちも多いわけで、改めて自分の考えを参照し、より広い範囲からそういうものを考えたりしているというのが現況である。
まあ今や人文系に進んでもろくに就職がない感じになっているし、そんなにモテる分野でもなくなりつつある感じもするし(どうなんだろう)、そういう意味では戦後の活況を見て石炭産業や繊維産業に就職した人たちが後に勃興した自動車や銀行、マスコミなどの華々しさに歯噛みしたというような状況を、昔人文系に進んだ人たちは今持ってるかもしれないなという気もする。
「今AIとかで浮かれている連中おそのうち時代遅れになるのさ、へっ」と捨て台詞とかを言っている人たちはそういう人が多いような気もしなくはない。
いずれにしても虚業より実業の方が重んじられる社会は健全だとは思うが、とは言え人間には象徴的消費行動というものがあるし、衒示的消費というものはより希少性の高いもの、つまりは歴史的経緯を経た希少なものの方に進むという一般性はあるから、そういう文化的な産業が消え去ることはないだろう。
今現在の世界はトランプの剛腕ぶりが目立っているから軍事力や経済力、情報力その他実利的なパワーが万能のような雰囲気は出てきているけれども、いつまでもそれであるわけには行かない。日本はソフトパワーであるべきだという主張は昔からあるが、どうもそういう方向にいかないのはやはり歴史的断絶というか「歴史的日本」を誇るのは悪しきナショナリズムであり「日本すごい」は許さない、という人文界隈自体の「歴史性否定」が、大衆にとって図書館や博物館や美術館の歴史性を軽んじることにつながっているのだろうと思う。人文系自体が日本の価値を再評価できるようにならないと、こうした事業に投資する国民的正当性は復活しないだろうと思う。
いずれにしても日本も女性の都知事や女性の党代表だけでなく、女性の総理大臣と女性の財務大臣が同時に誕生する時代になり、かなり局面は変わってきた感じで、「常人仮面」の人の事件ももうある意味一時代前のことと感じさせるところもある。フェミニズムにいいようにやられてきたネット論壇も最近ははっきりそれに反対する勢力が起こってきているし、実際の論壇やアカデミア、司法や報道の場においてはまだまだこれから(というか旧型左翼さえ生き残っている)ではあるのだけど、よりバランスの取れた公正な思想状況が生まれると良いなとは思っている。
カテゴリ
- Bookstore Review (17)
- からだ (238)
- ご報告 (2)
- アニメーション (228)
- アフリカ関係 (1)
- アンジェラ・アキ (15)
- アート (442)
- イベント (8)
- コミュニケーション (4)
- テレビ番組など (74)
- ネット、ウェブ (142)
- ファッション (56)
- マンガ (1018)
- 創作ノート (679)
- 大人 (53)
- 女性 (23)
- 小説習作 (4)
- 少年 (32)
- 散歩・街歩き (307)
- 文学 (265)
- 映画 (105)
- 時事・国内 (543)
- 時事・海外 (360)
- 歴史諸々 (330)
- 民話・神話・伝説 (34)
- 生け花 (27)
- 男性 (32)
- 私の考えていること (1178)
- 舞台・ステージ (56)
- 詩 (83)
- 読みたい言葉、書きたい言葉 (6)
- 読書ノート (1630)
- 野球 (37)
- 雑記 (2294)
- 音楽 (213)
月別アーカイブ
- 2026年03月 (7)
- 2026年02月 (29)
- 2026年01月 (31)
- 2025年12月 (31)
- 2025年11月 (30)
- 2025年10月 (31)
- 2025年09月 (31)
- 2025年08月 (31)
- 2025年07月 (31)
- 2025年06月 (30)
- 2025年05月 (30)
- 2025年04月 (30)
- 2025年03月 (37)
- 2025年02月 (28)
- 2025年01月 (32)
- 2024年12月 (31)
- 2024年11月 (30)
- 2024年10月 (31)
- 2024年09月 (28)
- 2024年08月 (31)
- 2024年07月 (32)
- 2024年06月 (30)
- 2024年05月 (31)
- 2024年04月 (31)
- 2024年03月 (31)
- 2024年02月 (30)
- 2024年01月 (31)
- 2023年12月 (31)
- 2023年11月 (30)
- 2023年10月 (31)
- 2023年09月 (32)
- 2023年08月 (31)
- 2023年07月 (32)
- 2023年06月 (31)
- 2023年05月 (31)
- 2023年04月 (30)
- 2023年03月 (31)
- 2023年02月 (28)
- 2023年01月 (31)
- 2022年12月 (32)
- 2022年11月 (30)
- 2022年10月 (32)
- 2022年09月 (31)
- 2022年08月 (32)
- 2022年07月 (31)
- 2022年06月 (30)
- 2022年05月 (31)
- 2022年04月 (31)
- 2022年03月 (31)
- 2022年02月 (27)
- 2022年01月 (30)
- 2021年12月 (30)
- 2021年11月 (29)
- 2021年10月 (15)
- 2021年09月 (12)
- 2021年08月 (9)
- 2021年07月 (18)
- 2021年06月 (18)
- 2021年05月 (20)
- 2021年04月 (16)
- 2021年03月 (25)
- 2021年02月 (24)
- 2021年01月 (23)
- 2020年12月 (20)
- 2020年11月 (12)
- 2020年10月 (13)
- 2020年09月 (17)
- 2020年08月 (15)
- 2020年07月 (27)
- 2020年06月 (31)
- 2020年05月 (22)
- 2020年03月 (4)
- 2020年02月 (1)
- 2020年01月 (1)
- 2019年12月 (3)
- 2019年11月 (24)
- 2019年10月 (28)
- 2019年09月 (24)
- 2019年08月 (17)
- 2019年07月 (18)
- 2019年06月 (27)
- 2019年05月 (32)
- 2019年04月 (33)
- 2019年03月 (32)
- 2019年02月 (29)
- 2019年01月 (18)
- 2018年12月 (12)
- 2018年11月 (13)
- 2018年10月 (13)
- 2018年07月 (27)
- 2018年06月 (8)
- 2018年05月 (12)
- 2018年04月 (7)
- 2018年03月 (3)
- 2018年02月 (6)
- 2018年01月 (12)
- 2017年12月 (26)
- 2017年11月 (1)
- 2017年10月 (5)
- 2017年09月 (14)
- 2017年08月 (9)
- 2017年07月 (6)
- 2017年06月 (15)
- 2017年05月 (12)
- 2017年04月 (10)
- 2017年03月 (2)
- 2017年01月 (3)
- 2016年12月 (2)
- 2016年11月 (1)
- 2016年08月 (9)
- 2016年07月 (25)
- 2016年06月 (17)
- 2016年04月 (4)
- 2016年03月 (2)
- 2016年02月 (5)
- 2016年01月 (2)
- 2015年10月 (1)
- 2015年08月 (1)
- 2015年06月 (3)
- 2015年05月 (2)
- 2015年04月 (2)
- 2015年03月 (5)
- 2014年12月 (5)
- 2014年11月 (1)
- 2014年10月 (1)
- 2014年09月 (6)
- 2014年08月 (2)
- 2014年07月 (9)
- 2014年06月 (3)
- 2014年05月 (11)
- 2014年04月 (12)
- 2014年03月 (34)
- 2014年02月 (35)
- 2014年01月 (36)
- 2013年12月 (28)
- 2013年11月 (25)
- 2013年10月 (28)
- 2013年09月 (23)
- 2013年08月 (21)
- 2013年07月 (29)
- 2013年06月 (18)
- 2013年05月 (10)
- 2013年04月 (16)
- 2013年03月 (21)
- 2013年02月 (21)
- 2013年01月 (21)
- 2012年12月 (17)
- 2012年11月 (21)
- 2012年10月 (23)
- 2012年09月 (16)
- 2012年08月 (26)
- 2012年07月 (26)
- 2012年06月 (19)
- 2012年05月 (13)
- 2012年04月 (19)
- 2012年03月 (28)
- 2012年02月 (25)
- 2012年01月 (21)
- 2011年12月 (31)
- 2011年11月 (28)
- 2011年10月 (29)
- 2011年09月 (25)
- 2011年08月 (30)
- 2011年07月 (31)
- 2011年06月 (29)
- 2011年05月 (32)
- 2011年04月 (27)
- 2011年03月 (22)
- 2011年02月 (25)
- 2011年01月 (32)
- 2010年12月 (33)
- 2010年11月 (29)
- 2010年10月 (30)
- 2010年09月 (30)
- 2010年08月 (28)
- 2010年07月 (24)
- 2010年06月 (26)
- 2010年05月 (30)
- 2010年04月 (30)
- 2010年03月 (30)
- 2010年02月 (29)
- 2010年01月 (30)
- 2009年12月 (27)
- 2009年11月 (28)
- 2009年10月 (31)
- 2009年09月 (31)
- 2009年08月 (31)
- 2009年07月 (28)
- 2009年06月 (28)
- 2009年05月 (32)
- 2009年04月 (28)
- 2009年03月 (31)
- 2009年02月 (28)
- 2009年01月 (32)
- 2008年12月 (31)
- 2008年11月 (29)
- 2008年10月 (30)
- 2008年09月 (31)
- 2008年08月 (27)
- 2008年07月 (33)
- 2008年06月 (30)
- 2008年05月 (32)
- 2008年04月 (29)
- 2008年03月 (30)
- 2008年02月 (26)
- 2008年01月 (24)
- 2007年12月 (23)
- 2007年11月 (25)
- 2007年10月 (30)
- 2007年09月 (35)
- 2007年08月 (37)
- 2007年07月 (42)
- 2007年06月 (36)
- 2007年05月 (45)
- 2007年04月 (40)
- 2007年03月 (41)
- 2007年02月 (37)
- 2007年01月 (32)
- 2006年12月 (43)
- 2006年11月 (36)
- 2006年10月 (43)
- 2006年09月 (42)
- 2006年08月 (32)
- 2006年07月 (40)
- 2006年06月 (43)
- 2006年05月 (30)
- 2006年04月 (32)
- 2006年03月 (40)
- 2006年02月 (33)
- 2006年01月 (40)
- 2005年12月 (37)
- 2005年11月 (40)
- 2005年10月 (34)
- 2005年09月 (39)
- 2005年08月 (46)
- 2005年07月 (49)
- 2005年06月 (21)
フィード
Powered by Movable Type
Template by MTテンプレートDB
Supported by Movable Type入門
