トランプは何を考えているのか:「西半球新秩序」と治安問題の国家安全保障問題化/「戦後政治の総決算」とWWIIの特権化と相対化:「歴史が国民に共有されること」をめぐって/カーナビの件の顛末
Posted at 26/01/07
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1月7日(水)晴れ
朝はうとうとしながら目を覚ましたらストーブが消えていて寒い。時間はわからないがとりあえず起きてみることにして、居間に行って時計を見たら4時20分だったので起きることにした。あとで気温を見たらマイナス7度。かなり本格的な冬になってきた。
昨日は朝、母を歯科医に連れて行った。年末に歯が抜けたと言っていて、そんなに不自由はなさそうだから大丈夫かなと思って行ったのだが、結局差し歯だったらしく抜けた歯をもう一度入れることができて、あと数年は大丈夫だろうと言われたので、簡単に済んでとてもありがたかった。西友で買い物して母を施設に送り届け、その足で図書館に行って平安時代の本を返却した。
そのあとディーラーに行ってカーナビを見てもらったのだが、2007年製の車なので当然カーナビも部品は残っていなくて、ダイハツの車のカーナビなら流用できそうだが十数万かかるとのこと。DVDを拭いてもらったらとりあえず地図は表示されたのでまあいいかということにしたのだが、結局また表示は動かず、書店で車を止めて再始動したらまたDVDが入っていません表示になり、元の木阿弥となった。まあ状況はわかったのでしばらく現場で対応しようかと今のところは思っている。昼食の買い物をして実家に戻る。
昼食後、少し腹の調子が悪く、横になったりしていたのだが、銀行の開店時間中に行く用事があったので2時半過ぎに頑張って出かけて、滑り込みで書類を受け取り、通帳にいくつか記帳した。
***
アメリカのベネズエラ侵攻をめぐる問題は考えるべきテーマがいろいろあるのでまだ私の考え方自身も模索中である部分が多いのだが、今のところは断片的に読んだものなど列挙しつつ、考えておこうと思う。
https://diamond.jp/articles/-/380935
問題の全体としては、基本的に上記の論考がよくまとまっていると思った。問題は「トランプ及び政権幹部が何を考えているか」ということであり、それが従来の国際秩序の考え方とかなり異なっているから理解されにくい、ということがあるわけで、上の論考によれば、昨年発表された「国家安全保障戦略(NSS)」に述べられていることが重要だ、ということになるようだ。
https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/12/90f6e92663418116.html
https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2025/12/2025-National-Security-Strategy.pdf
著者の白川氏はこの中で重要だと思われる点をピックアップして
最大の特徴は、世界全体の安全保障への関与を縮小し、アメリカ本土と「西半球=南北アメリカ」の安全を最優先すると明記した点にあるという。
これは今回のベネズエラ攻撃もそうだが、グリーンランド領有の要求もまたその延長線上にあるということだろう。
そしてその安全を図るために、中国・ロシア・イランなどの外部勢力の西半球への関与を排除しようということが大きく、それはおそらくはヨーロッパなどの同盟国も例外ではないから、正面からグリーンランドをデンマークに要求しているということなのだろう。
西半球=アメリカの治安に死活的な影響を与える地域において「アメリカにとっても重要なエネルギー資源が、無能な統治、犯罪ネットワーク、敵対勢力との結節点の下に置かれていること自体が脅威」だ、という観点から今回の攻撃が行われたという筋道になる。
そして、「今回のベネズエラ武力介入の論理は、国家中枢が犯罪組織と一体化していると判断されたことにある。国家が組織的に麻薬を生産・流通させ、他国の国民を害しているのであれば、それはもはや主権国家ではなく「犯罪組織に占拠された統治体」と認識されうる」というわけである。国際犯罪組織が主権国家を宣言しても国家として認めない、という判断だが、その認定は「国際社会」ではなくアメリカが行えば十分だ、ということなのだろう。
当然ながらこの辺りが国連や国際法組織、国際法秩序を主張する人たちには受け入れられないところなわけだが、トランプは独裁自体は否定していない、というのがおそらくは結構ミソで、マドゥーロを排除したのにマドゥーロ政権の副大統領のロドリゲスを暫定政権の長として認めているわけである。これは昨日見た報道ステーションの情報によると「経済政策の手腕が評価された」ということのようだが、それがどの程度のものなのかは私自身はちょっと掴み切れてはいない。
独裁者を排除してその右腕にあとを継がせるというのは「ヒトラーを排除してヘスを後継として承認する」ようなものなんじゃないかという気がするのだが、「トランプの狙いは民主化ではない」ということがある意味明らかになったということなのかもしれない。民主的な親米政権ができればもちろんベストだろうが、今まで反政府勢力だった民主化勢力が政権を握って反米に転ずることは十分考えられるし、そこに労力を注ぎ込む必要を感じてないというところは「民主化神話」に対して非常にドライだというのが今までのアメリカの政権と比べると新しいところだとは思う。
またもう一つ指摘としてなるほどと思ったのは、「トランプ政権の国家安全保障戦略のもう一つの特徴は、軍事・司法・制裁・法執行を一体の道具として扱う点にある。マドゥロ大統領らへの起訴は、マドゥロ政権がベネズエラにおける正統な統治主体ではないというメッセージを国際社会に発信するためである。」というところである。つまり国外に対する外交の手段でもある軍事や制裁を国内の統治手段である司法・法執行と同じ次元で捉えて行なっているわけで、これは冷戦終結後の「アメリカ一強体制」の頃からそういう考え方が見え隠れしてきてはいたのだけど、つまりは「アメリカは国際法の上にある存在だ」という意識なのだと思う。
さらに、日本にも関わることで言えば、
「アメリカが他国を評価する基準が大きく変わったことだ。従来のような「民主主義か独裁か」あるいは「人権を守っているかどうか」ではなく、「国家機能が犯罪に利用されているか」や「他国、特にアメリカ社会に直接的被害を与えているか」が評価基準になったのである。国家と非国家主体、合法と違法、戦争と犯罪の境界が曖昧な地域には、この論理が適用される余地がある。
これは、日本周辺の安全保障環境を考える上でも重要だ。たとえば、日本国内でフェンタニル製造に関わったことが明らかになったが、そのようなことが続けば、日本も同盟国どころか制裁対象になりうる」
というあたりの指摘も、そのまんま受け入れるのはどうかと思う点もあるが、一理はあると思う。
そして、「トランプ政権の戦略の特徴は、治安問題を国家安全保障に格上げした点にある。アメリカはそれらを国家安全保障の中核に組み込み、司法・制裁・軍事を横断的に用いるようになっている。麻薬、密輸、サイバー犯罪、偽情報、マネーロンダリングなどは日本では長らく「警察の仕事」として扱われてきたが、対米関係を考えると、今後は安全保障問題として国ぐるみで取り組む必要がある。」というあたりは、確かに日本としても考えるべきことだと思う。
日本では当然ながら、「防衛は自衛隊、治安維持は警察」という役割分担が行われてきたけれども、外国人犯罪問題や麻薬の蔓延、アサヒビールやアスクルなどへのサイバー犯罪など、「国内治安維持機関である警察」だけでは扱い切れない問題が増えていることは事実で、それらを制圧するためにはより大きな権限を持ち国際的な連携も可能な機関を設置してその問題に当たる必要はあるのではないかという気は私もする。
もちろん高市政権になってから、外国人問題への対応はかなり進んでいるし、それは従来の警察や入管などの組織が今まで十分に機能していなかったということでもあるのだけど、それらの再強化はもちろん必要であるにしてもそれだけで十分なのか、という感じはあるということである。
台湾有事への対応をアメリカが、というかトランプがどう考えているかについてはよくわからないところが多いけれども、「関与しない」というポーズはするにしても「後は野となれ山となれ」とは思っていないだろうと思う。つまり、潜在的敵対国家である中国やロシアやイランは弱体であったほうがいいことは確かなわけで、最優先課題ではないにしても準優先課題ではあり続けるだろうとは思う、というようなことである。
またここでは言及されていなかったが、気になるのがキューバの存在である。マドゥーロを警護していたのはキューバ人で、かなりのキューバの人材が今でもベネズエラには導入されている。また亡命キューバ人の出身であるルビオ国務長官にとってもキューバ解放は悲願だと思われるので、キューバの名前が出てこないこと自体が不気味な沈黙だという気もしなくはない。
日本としては、トランプの新ドクトリン、ドナルド+モンローで「ドンロー・ドクトリン」と言われているそうだが、いわばアメリカ版「東亜新秩序」というか「大東亜(西半球)共栄圏」みたいなものとどう付き合っていくかということではあるわけで、従来の国際法秩序とスタンスの置き方を考えながら対処していく必要はあるだろうと思う。その辺のコントロールが絶妙だったのがやはり安倍元首相だったわけだが、まだまだ未熟な点が高市さんにはあるにしても、「アメリカは孤独ではない」演説をして共感を得た岸田元首相の見解なども参照しつつ、より日本にとってプラスになる提案と選択と行動をしていってもらいたいと思う。
***
https://x.com/OSAPCO1/status/2008513377044504682
ベネズエラについては上のツイートにもあるような地勢的な特徴なども含めて興味が出てきたので、また少し調べてみたい。明石書店の「エリアスタディーズ」でも読んでみようかとは思っている。このシリーズは石破さんも国会図書館で借りて読んでいたようだが。市立図書館にもあると思うので。
***
與那覇潤さんの朝日新聞でのインタビュー記事。與那覇さんの最近の言説でわかりにくいなと思ってい他店を、割とうまく朝日の記者が聞き出している感じはした。
https://digital.asahi.com/articles/ASTDS24D6TDSUPQJ008M.html
かつては当たり前だった「歴史の共有」が希薄化してきていて、それが現代の諸問題に、「歴史を参照しない政策」として現れている、という見解なのだが、それ自体は結構面白いと思うところはあった。
ただ、ここで與那覇さんがいう「共有すべき歴史」ということにおいて、「第二次世界大戦の記憶と戦後の歩み」が特権化されすぎなのではないかと思う。このインタビューでの與那覇さんの主張を読んでいると、「第二次世界大戦の反省に未来永劫縛られるべきである」という感じに聞こえるのだが、元々たとえば2015年の安倍談話をはじめとして、「戦後政治の総決算」を右派や保守派が主張してきたのは、「第二次世界大戦」や「戦後体制」を「相対化する」ことであって、まさにそうした「第二次世界大戦に関する特権化されたナラティブ」を「カッコに入れる」ことでより自由な思考とより深い歴史の教訓を読み取れるようにする、ということにあったはずだと思う。
それが結果として歴史の「相対化」ではなく「無効化」になってしまっているという点は確かにないわけではない、「重荷としての歴史」が肩から降りたという意識が強すぎるということはなくはないのだけど、それは日本とはどういう国か、日本の歴史はどういうものだったのかということを語り切れていない右派の側の責任でもあるし、すでに事実上相対化されてしまった第二次世界大戦のナラティブに今なお縋ろうとする左派の側の責任でもあるとは思う。
ただ、充分一般にまで浸透しているとは言えないが、明治国家の成立やその展開、あるいはその前段階での江戸時代の思想展開などの研究はかなり進んできていると思うし、日本が日本になった理由みたいなものはだんだん語り得るものになってきていると私自身としては思っているので、それがなるべく国民的なものになるような方向で頑張らないといけないとは思う。
左派が歴史の重荷から解放されて社会を支える労働者に背を向け、ブルジョア的な支持者に受けるマイノリティ擁護に狂奔したり、右派が歴史の重荷から解放されて縄文ナショナリズム的なもの、参政党や保守党などの十分に日本や世界の歴史を踏まえて展開されているとは思えないような政治勢力が台頭してきているのも、やはり残念なところはあるわけである。柱になるべき自民党も、根本が世界標準リベラルな安倍元首相や、努力家ではあるが人文的教養の冴えのようなものはまだ見えてこない高市首相などをみていても、隔靴掻痒の感はある。
ただ、まあ人に求めるよりはまず自分からなわけで、なんとか深い歴史に根ざした日本のあるべき保守の思想のようなものを作り上げ、広く国民に共有されるような歴史を再建していくことを、自分としてもやっていかなければならない、とは思う。その鍵になるものを一つ一つ掴み取っていかなければならないのだろうと、今のところは考えているわけである。
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