国中が天安門になったイラン/「久米宏」再論:彼はなぜ最後まで「権力」を引き受けなかったのか
Posted at 26/01/15
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1月15日(木)晴れ
今日は昔なら成人の日だが、平日。朝はマイナス5.6度まで冷え込んだが、昨夜iPhoneを職場に忘れて帰ったので気温が分からず、少し冷え込んでるけどまあめちゃ寒でもないなと思っていたのだけど、思ったより冷えていたんだなと後で思った。
昨日は午前中に会計の仕事をやってもらいながら自分は細々したことをやっていたのだけど、午前中にクリーニングを受け取りに行ったら(いつも出しているところが木曜休みになったので忘れずに)行列になっていたので仕事の順番を変えて先に銀行に行き、資金を補充したり支払いの資金を用意したり。それから郵便局に行って支払いの振り込みをし、西友でお昼の買い物をしてから再度クリーニングを受け取りに行った。一度帰ってきてから打ち合わせをしてその後昼食。仕事のし忘れに気が付いたので2時過ぎに出て銀行で通帳の切り替えをし、その後ツタヤに行って板場広志「俺以外全員無職」の3巻を買った。
夜は少しうだうだしてから帰り、報道ステーションを見ながら夕食を食べていたが、解散の話で盛り上がっていた。それからイランの実情についてのレポートだったが、どうも報道ステーションはこの話題については抑制的な報道になっている。
ただそこで伝えられたCNNの情報はかなり凄いことを言っている気がしたので今朝サイトを見てみたらかなり深刻な事態になっていることがわかった。
https://www.cnn.co.jp/world/35242685.html
この記事によると、イランは今回の抗議行動を昨年のイスラエルとの12日間戦争の延長線上と捉えていて、抗議活動を行う人たちを外国勢力の手先と見做し、殺害やむなしと見做しているようだ。
低空飛行のドローンで監視体制を強め、抗議の声を上げる人々に対して動画を公開して「全て監視下にある」とする動画を公開しているのだという。また、全土でインターネットが遮断されているだけでなくマスク氏が無料化したスターリンクの使用もできないようになっていて、軍事技術のレベルで妨害が行われているのだという。つまり、今イランが行っていることは警察レベル、治安レベルの鎮圧、制圧ではなくて、「声を上げる国民=外国スパイ」との戦争だから、彼らの無力化が目的になっていると言うことなわけだ。
簡単に言うと、今は「イラン全土が天安門になっている」ようなものだと思った。報道ステーションでは死者は数千人規模と言っていたけれどもおそらくは1万人規模にはなっているのではないかと言う気はする。これは後になってみないと分からないが、もし鎮圧されてしまったら証拠はもっと消されるだろうからよく分からなくなるし、政権打倒が成功したら逆に数十倍に増える可能性もある。
ロシアや中国に比べてまだイランは発言の自由はあるように見えていたし、だからこそイランに住む人たちの生々しい不満の声も聞こえてきたわけだが、デモが鎮圧された先にはアサド政権のシリアのような凄惨なことが起こり、国外亡命者も増えそうだけれども一体どこなら脱出可能なのかも分からないのが困ったところだ。西部ならトルコやアルメニアに逃げることも可能だとは思うが、その他の地域だとどうなるのだろうか。
イランの弱体化でイスラム過激派の動きがかなり抑え込まれているところを見ると、やはりイランは体制が変革された方が世界的に見れば平和は実現すると思うが、中国やロシアがどう出るかは分からない。世界の今後はまだ分からないことが多い。
***
今朝は4時過ぎに起きたが、お茶を飲んだりした後着替えて車で出かけ、職場に出てiPhoneを取ってきた。それから少し離れたセブンに車を走らせてヤンジャンを買うつもりだったが、考えてみたら合併業で今週は休刊だったのだ。ボスのカフェオレだけ買って帰宅した。用事は朝のうちにやることが一手間で片付いたのでよかったのだが、何を書こうかまとまらなくてかけないでいたのだが、とりあえず書き始めた。
***
亡くなった久米宏さんについていろいろ考えていたのだけど、どうも何を言ったらいいのか分からないというか、何を言っても焦点からずれてしまう感じがあって、かといってマスコミが変に持ち上げて神格化している感もあるし、ネットを見ていると私のタイムラインではほぼ戦犯扱いなので、今更自分が何を書けばいいのかと言う気がするところはある。
ただ、重要だと思うのは、昭和末期から平成初期にかけての「政治改革の時代」に、彼が大きな役割を果たしたと言うことだけは確かだと言うことだ。それをプラスに評価するかマイナスに評価するかは立場次第ではあるのだが。
もう一つは、なんと言うか口が軽いというか、所沢のダイオキシンの問題であるとかステロイド製剤の問題であるとか、巷間に出回っているようなそんなにしっかりとした科学的根拠のないような話を権威があるかのように伝えて大規模な報道被害を起こしている、ということも重要だと思った。
彼は見かけがかっこいいしかっこよく振る舞うのが大変上手い、いわゆるちょいワルオヤジみたいなのも久米宏バージョンみたいなのがあって無頼を気取ったり団塊の世代的なかっこよさみたいな、あるいは人は遠慮して言わないけど自分は本音を言っちゃうからね、みたいなサバサバ菅みたいなところもあった。
多くの人が彼の言説を信用したと思うのだが、今考えると特に根拠がなかったり、党派性が強すぎることも多かった。しかしそれを人々が信頼したのは、つまり彼がかっこいいからだろう。
つまりそれは、本来の意味での「ルッキズム」であり、「かっこいい=信頼できる」と言う誤認を最大限利用した人だったと言うことなのだろうと思う。
ただそれはちょいワルの、彼自身が表現する仕方で言えば「チンピラ」のかっこよさであって、大人のかっこよさではなかった。そう言う意味で大量に発生した彼のエピゴーネンは「大人になりきれないチンピラ未満」の与太者だと言うことになる。
彼が周囲の反対を押し切って「ニュースステーション」をやめ、やがてテレビ界から去っていったのも、要するに彼が自分自身がオワコンであることを自覚したからなのだと思う。しかし彼に憧れてチンピラを目指した人たちが報道に跋扈するようになって、日本の報道は極端にレベルが下がってしがったように思う。それを彼の責任と言えるのかどうかは難しいが、その被害は今なお国民が受けている。
今なおテレビに溢れているやたらと本音を言いたがるアナウンサーや政治家、根拠の怪しいことを振り回すテレビや議員たちと言うのも、極端に言えば彼が元祖のような存在なのだと思う。彼らに取っては久米さんは偶像だから、神格化しないわけにはいかないし、それが批判されることは自分自身が否定されることに近いから、そうした言説にムキになるのだろうと思う。
ただ中国情勢やイラン情勢などを見ていても、今の日本はそんなチンピラを相手にしている余裕はないわけで、そんな過去の存在について改めて論じて意味があるのかと言う気もしてくる。
しかしかっこいいと認めると言うことは、自分自身の中にもやはり久米さんを評価する部分があるからそう言うことを言うわけで、それはやはり時代の空気というか、彼のような存在をかっこいいとする空気の中で自分も生きてきたからだろうとは思う。
彼は最後まで自分は批判者の立場、チンピラとして世の中に文句を言う立場を守りたかったわけで、そう言うところは団塊の世代がいつまで経っても抗議者のポジションを持ち続けようとしているところに重なる。彼は実質的に権力者であったし彼のエピゴーネンたちとそのまた信者たちに取ってはやはり権威であるわけだけど、そう言う存在であること自体を彼がちゃんと引き受けていたとは思えない。
権力者というのは、誠実な人間に取ってはその役割を果たすのは並大抵のことではないだろう。権力を引き受けて世の中を良くしていこうとすることは、まさに、高市さんがいうように「働いて働いて働いて働いて、働いて参ります」というしかないに違いない。そしてその座をかっこよく務めることはなかなか普通は難しく、泥臭くならざるを得ない。高市さんもトランプと米軍の軍艦でアピールしてぴょんぴょん飛び跳ねたり李大統領とドラムを叩いたりして面白くカッコよくは見せようとしているが、基本的には泥臭く頑張っているわけである。それがわかっていたからかっこよさ=スタイルを重視した久米さんはそういう立場に手を出さなかったのだろう。例えば彼が選挙に出れば相当な票が入って政界でも重きをなす存在には当然なり得たと思うが、そうしなかったのは彼の美学でもあり自分の能力に対するある意味での誠実さの表れでもあったのだと思う。テレビ局の経営陣に参加するようなことがなかったのも同じことだろう。
彼の本質はそういう意味でチンピラであったし、そのかっこよさで最後まで押し通したのに、周りが彼を権威に祭り上げて、それが故に批判も集中するようになり、彼自身はそのやり方の限界は感じていたのだろうと思う。しかし彼が最後まで「大人の責任(=権力を引き受けて批判されること)を引き受けないチンピラ」としてのスタイルを貫いたことは、結構禍根を残した気はするわけである。
正義の名を負った権力が腐敗するのは、今のアカデミアで自分たちに有利な人事が横行したり、批判者を不勉強だと叱りつけたり、言論よりも裁判に訴えたりするような手法が横行していることでもよくわかるけれども、そんなものに堕さなかっただけ、久米さんは誠実だったという気はする。まあそんな悪代官のような連中が一番カッコ悪いからでもあるだろうけど。
クラッシュのジョー・ストラマーは「Punk is attitude、not style.パンクとはカッコつけではなくて生きる姿勢なんだ」と言ったけれども、久米さんは「Press is style, not attitude.」であった気がする。彼は「かっこいいstylish」であるままでテレビや報道を走り抜け、彼の本当の生き様はそこからは見えてこなかった気がする。あるいはstyleこそがattitudeであった、というべきか。
まあこんなことを書いても彼について十分論じた気がしない。そういう意味で彼は日本にとっても我々の世代感覚にとっても相当大きな存在だったということなのだろうと思う。もちろん良い意味でもそうでない意味でも。
***
「知性の復権」180/269ページ。第五章「戦間期からの教訓」に入った。いろいろ思うことはあるがまだ的が絞れていないのでまた改めて。
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