久米宏氏の訃報と「報道のバラエティ化」「日本政治の変動」の功罪/レアアース問題を理解するために基本的に押さえておきたいこと/衆院解散と国民民主党/アメリカ保守派と日本近世思想の意外な近さ
Posted at 26/01/14
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1月14日(水)晴れ
晴れている割には冷え込んでいない。天気図を見ると、前線が通り過ぎた後、南から高気圧が入ってきたようだ。この時期にはあまり見ない気圧配置。寒くないのはありがたいと言えばありがたいが、少し落ち着かない気持ちもある。
昨日は午前中会計の仕事をお願いしながら、書類を取りに行ったり、自分の仕事も進めたり。昼食後、なんだか疲れが出て少し休んだ後、銀行へ行って記帳したりお金を下ろしたり、西友で朝食の買い物をしたり。
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昨日からいろいろ考えていて少し考えていたことなどをいくつか書こうと思うのだけど、一つは「レアアース」について、もう一つは衆院解散、それから亡くなられた久米宏さんについて、またオレン・キャスらアメリカの反自由貿易主義・共同体主義の思想家について、である。どれもそう簡単にまとめられる話ではないので書きにくいが、まずはレアアースについて。
レアアースというのは、バッテリーやスマホに使われるとかその用途の問題から論じられることが多いが、まず化学的な根本から言えば、日本語でいう「希土類」のことである。希rareな土earthだからレアアースなのであって、科学で希土類というのは学ぶのだから希土類といえばいいのにとは思う。
希土類というのは周期表の第3族、つまり左から3列目の金属元素のことであり、21Scスカンジウム(以下原子番号・元素記号・和名の順に表記)、39Yイットリウムと57-71のランタノイドの全部で17元素を指す(同じ3族でもアクチノイドの15元素は入らない)のだが、天然では存在しない元素もある。
以下、こちらの記事を参考に。
これらの元素は地殻存在比(つまり地球の地殻に占める元素の割合)が一般に低い(つまりレア)が、イットリウム(20ppm)やスカンジウム(30ppm)のように存在比だけなら割と一般的な鉱物であるいえば鉛(15ppm)より高い場合もある。地殻存在比が高い元素は酸素(46.6%)と珪素(27.7%)で、それが珪酸化合物を作って土や岩石の大部分を占めているわけだけど、レアアースも珪酸化合物になって存在しているものは化学的に安定していて精錬抽出することが難しいということのようだ。
したがってそれ以外の形で存在している炭酸塩、リン酸塩、酸化物、イオン交換性粘土の形で存在しているものから回収されているわけだが、中でもイオン交換性粘土の形で存在しているものは希土類が表面に電気的に吸着しているだけなので、鉱物自体を分解せずに弱酸を用いたイオン交換によって希土類を回収できるのだそうだ。このイオン吸着型鉱床は比較的存在比が高い軽希土類だけでなく存在比が低い重希土類(元素番号64-71)も含まれているため貴重なのだが、それは今の所ロンナン、シュンウーと言った中国南部の鉱床した見つかっていないのだという。(ラオスなど他の国でも発見はされているようだ)
鉱床の種類は大別して火成岩や熱水活動によって形成された火成鉱床と岩石の風化によって形成された風化鉱床があるが、イオン吸着型鉱床は後者である。
南鳥島近海の5500メートルの海底に存在するというレアアース泥は、「海水中に溶け出したレアアースが、リン酸カルシウム(魚の骨や歯の化石)に吸着し、それが深海底に長い年月をかけて堆積した」もので、「汲み上げた時点で粉砕の必要がなく、さらに特定の粒径にレアアースが濃集しているため、簡易的な遠心分離によってさらに品位を高めることが可能」だというから、5500メートルという深海の海底から汲み上げるという最大の技術的困難を克服できれば中国で問題になっているような環境的な問題もなく、また「EVのモーターや防衛産業に欠かせない「ジスプロシウム(Dy)」や「テルビウム(Tb)」といった「重希土類」」が多く含まれているというのも朗報である。
https://news.yahoo.co.jp/articles/2445713db7ff0ee10e3bb51ef9e40e5317515a48
上の記事によれば今回中国が輸出禁止をかけたのは62Smサマリウム、66Dyジスプロシウム、65Tbテルビウム、64Gdガドリニウム、71Luルテチウム(上記記事ではルテニウムになっているがこれは別元素で誤り)、21Scスカンジウム、39Yイットリウムの7種で、(上記の記事はこれらを重希土類としているが、サマリウム・イットリウム・スカンジウムは重希土類ではない)これらのレアアースもまた含有量が具体的にどの程度かはわからないが、南鳥島での採掘が成功すればかなり解決するのだろうと思う。まさにその意味では起死回生の一手だということになりそうだ。
そうなると心配なのは例によって中国の妨害だが、今のところはアメリカとの共同開発という方針のようなのでそこはある程度心強いだろう。このあたりは国粋的な方面からクレームがつく可能性もなくはないが、南満州鉄道の経営を共同でやろうと持ちかけたアメリカの実業家ハリマンの申し出を小村寿太郎が却下したことがのちにこの地の情勢を悪化させた原因の一つだと考えられなくもないわけで、経済政策も地政学的な観点が重要だと改めて思う。
レアアース問題ではこのくらいの基礎的な理解があるとかなり話についていけるのではないかと思ったので、簡単にまとめてみた。
***
通常国会冒頭での衆院解散がほぼ動き出したようなのだが、本来は本予算を成立させてからにすればいいと思うのだけど、どうもこれは外交日程等で衆院に安定した勢力を築いておく必要が出てきたという説が説得力があるように思った。参院はいずれにしてもあと2年は過半数割れが続くので、衆院だけでも過半数をとっておけば予算の自然成立や衆院の優越などでなんとか乗り切れるということはあるのだろうと思う。
またそうなると3月末での年度内の予算成立が難しくなるが、これもここ数十年の間に何度も暫定予算は組まれているとのことで、一番ひどいのは海部内閣の時に本予算成立が6月になり、暫定予算の補正まで組まれたということがあったようだから、順調に自民党が勝てば選挙日程によれば間に合うか間に合わないかの境目、くらいでなんとか行くのではないかという観測があって、これもまあそれでいけるかなとは思った。
気になるのは、高市政権と協調姿勢をとってきた国民民主党が解散に難色を示していることで、今選挙をやれば国民民主党も協調路線を強調すれば割と議席は取れるのではないかと思うのだが、石破離れで吸収した票が高市人気で再び奪われることを恐れているのか、それともまた連合にネジを巻かれて対決路線を選ばされたのか、それとも「国民生活第一で切れ目ない予算を」というスジ論で反対しているのかがよくわからない。もちろん名目はスジ論に決まっているが、その本音のところが見えてこないのが気になるなと思った。
公明党と立憲民主党の選挙協力というのはもはや断末魔という感じもしなくはないが、逆にいえば立憲の延命のためにはそれしか手はないかもしれない。公明はもう自民と組みにくくなるが、その辺はいいのだろうか。まあ、石破さん周辺など自民党左派リベラルとの再結集みたいな形を狙っているのかもしれないが、自民党を割るというのは昔と違って結構難しくなっている印象はあるので、どうなるかはわからない。
私としては自民党が過半数を取り、維新と連立はどちらでもいいが参院を考えると必要かなとは思う。そして国民民主党が健全野党として参政党と共に国会に大議席を占めると良いと思うのだが、極端な左翼リベラルは今回は徹底的に退潮してもらうことを望みたいと思っている。
***
https://news.yahoo.co.jp/articles/345cf4c442f54d36d23130e86205dfa97de1dad3
久米宏さんが亡くなった。彼は「ニュースステーション」の印象が強いけれども、元々は「ザ・ベストテン」や「ぴったしカンカン」などの歌謡番組・バラエティの司会で一世を風靡した人で、報道バラエティへの進出は「TVスクランブル」以降だと思うが、この時は横山やすしさんを相方にしてお互いに歯に衣を着せぬやりとりをしていたことが思い出される。逆にいえば、ここで終わっていれば彼も毀誉褒貶に包まれた人、ということにならずにバラエティ氏に大きな軌跡を残した人、で終わっただろう。
「ニュースステーション」はニュース報道にバラエティ要素を持ち込み、それまでも記者出身のキャスターが割と言いたいことを言うというのはあったがバラエティ畑のアナウンサーがある意味無軌道なノリも導入して「ニュースを斬る!」みたいな形にしていくスタイルは当時は斬新で、そういう意味では昨今強く批判されるようになった「面白くなければテレビじゃない」という路線を報道に持ち込んでニュース報道というものをある意味変えてしまった人だと思う。
彼の功績はおそらくは「ニュースや報道を身近なものにした」と語られることになるのだと思うのだが、逆にいえば興味本位の、また反権力的で半ば無頼、また哄笑的なスタイルでニュースを扱うある意味80年代的な方向性をある意味でのスタンダードにしてしまったという面もあり、正直いって功罪相半ばする、見方によっては、というより私などから見れば「日本のニュース報道のレベルを下げた」罪の方が大きいように思う。
埼玉のダイオキシン問題での報道による風評被害など、おそらくは打ち合わせ不足と勘違いによる失敗もあったし、あの元気よくバッタバッタとニュースを切り分け権力者を批判していくノリは、元気はいいけれどもある意味ハメルンの笛吹きのような、日本をどこに連れていくのだろうという不安感もまたもたらしたものだった。
ニュースステーションが放映されていたのは1985年から2004年まで、中曽根内閣の時代から海部・宮沢内閣を経て非自民連立の細川政権が成立するが、この辺りでの世論を領導したのはニュースステーションだったと言っていいだろう。だからある意味久米さんは非自民政権の生みの親の一人、ということもできる。側内閣を経て非自民政権は崩壊し、村山自社さ政権から橋本政権、小渕政権・森政権ときて「自民党をぶっ壊す」小泉政権が成立するが、このあたりの時も影響はかなり大きかったように思う。そして小泉政権途中の2004年に降板することになったが、これは小泉政権下での政治や社会の「保守化」に嫌気がさしたという部分が大きいのではないかという気はする。その意味でもう彼の時代は終わったのだろう。それなのにその後をついで「報道ステーション」のキャスターになったのもプロレス・バラエティアナウンサーの古舘伊知郎氏だったし、基本的にその路線は受け継がれてしまい、より番組に対する批判も強まるようになったのではないかと思う。
むしろ、NHKの報道出身の大越健介キャスターがその後を継いだのは意外だったが、ある種の揺り戻しだったのかもしれないけれどもただ左派擁護的な路線はこのところ特に強まっているように思う。私も昨日はきっと取り上げるだろうと思って報道ステーションを冒頭見ていたのだが、あまりに「久米宏・・神!」みたいな作りになっていたので鼻白んで途中で見るのをやめた。記事を見ると40分も久米さん関連のことをやっていたようなので、見るのをやめたのは正解だったと思った。
むしろ今や久米宏氏は批判的に功罪を検討すべき時期であるはずなのだが、能天気に賛美一色になるというのはある意味左派報道の断末魔なのかもしれないという気もする。彼が政治や社会、報道にもたらしたものは何だったのかは、もっとちゃんと検証されないといけないと思う。
***
「知性の復権」でトランプ政権を支える二つの柱、イーロン・マスク氏らテクノリバタリアンの勢力については昨日書いたが、オレン・キャス氏らアメリカン・コンパスについてのところを読んだ。157/269ページ。
オレン・キャス氏については彼が来日した時の記事について以前も書いていて、それは結構反響があったのだが、その時点では結びついていない問題意識があったなと今では思う。
https://note.com/kous37/n/n7dc577ef1e9d
https://note.com/kous37/n/nff012168232b
彼の基本的な意見は「リベラルなアメリカの否定」なのだけど、上記の二つの記事を書いてから読んだ二冊の本でより理解が深まった部分があるように思う。一つは「世界秩序が変わるとき」なのだが、この本に言及した私の最初の記事は以下のリンクなのだが、他にもいくつも考察・言及した記事はある。
https://note.com/kous37/n/n46f8700a2cd1
キャスの主張は新自由主義の方向性で中国を市場に呼び込んだことがアメリカの苦境を招いているということで、戦後のトレンドだった自由貿易政策をやめて第二次大戦以前の高関税政策に戻ることが健全な製造業のアメリカを取り戻すためには必要だ、ということになるわけだ。そのアメリカの戦略について「世界秩序が変わるとき」は大変参考になったし、トランプ時代以降こそが日本が存在感を取り戻す時代になる、という指摘も頷けるものがあった。
もう一つは「近世日本の支配思想」で、これについて最初に言及しているのは以下の記事で、他にもいくつも書いている。
https://note.com/kous37/n/n52d68ac0ae29
この本で印象に残ったのは江戸時代の本当の支配思想は儒教・朱子学ではなく兵学である、という視点なのだが、その視点から見ると江戸時代の日本は将軍・幕府を頂点とする兵営国家であり、その中では「将軍から農民に至るまで全ての人に役割が与えられ」ていて、「その役割を果たさないのは「役立たず」であると強く非難される」というあたりであった。
つまり、役割があることによって縛られているという面もあるが、逆にいえばそれに励んで努めていればいい、という「居場所」や「やるべき仕事」「果たすべき義務」があり、また人は「家」によって職業が決められ、その職業は公権力によって守られるので、「隠居」した後も不安なく生きていける、というシステムになっていた、ということである。
そしてもう一つ、国学の思想の元になった垂加神道では、「死者は「天皇を守護する八百万の神々」の「末座」に加わり「天皇と国を守る神」になる」とされていて、それが靖国神社の「英霊=戦死した兵士たち」が「護国の鬼」となって「天皇と日本を守る」という「役割」を与えられているということだった。
またこれは私がそこから考えたところなのだけど、「人は死んで神(霊)になり、死んだ後も家族のことを見守っている」という発想は、ここからきたのだろうと思ったわけである。
この辺りが全くオレン・キャスが「人間の生きる意味は消費にではなく、一定の役割を担って自分の存在が認められ、将来の不安に悩まないで済む」ことこそが価値の基軸だ、というところと相当一致しているということだった。
キャスは来日の時に日本の知識人のことを「おくれている=新自由主義的である」と批判していたようだけど、彼と共鳴するデニーンによれば「理想の国はオルバン政権のハンガリー」であるそうなのだが、江戸時代から現代に至る日本人の伝統的な保守的考え方にかなり近いように感じたわけである。
もちろん「西半球孤立主義=モンロー主義≒ドンロー主義のアメリカ」という世界戦略というか、世界に対するアメリカの戦略についてなどについてももっと検討しないといけないと思うのだけど、アメリカの目指す方向と日本の伝統的な思想が実は結構マッチしているのではないかと思う。そういう観点からもこれからの日米関係について考えていければと思う。
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