年の瀬に仕事を片付けたり仕事が増えたり/最近の専門家批判について考えた/「和歌は出世に結びつかない」とか「香港民主派は親日とは限らない」とか
Posted at 25/12/27
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12月27日(土)晴れ
今日は冷え込んでいる。最低気温の予想でマイナス9度が出ているが、5時20分現在の気温はマイナス6.9度。それでも今季最も寒いのではないだろうか。二日続けて雨が降り、昨日は雪がちらついて、今日は低音。注意報が出ているが濃霧注意報か。さてどんな感じなんだろうか。
昨日は母を松本の病院に連れていく。雪の予報だったので戦々兢々としていたが、実際には降りはしたが積もりはせず、特に問題なかった。今回も新しいスマートインターから乗って長野道に入り、塩尻北で降りて行ったが、下道もあまり混んでなくてよかった。割合早めについてトイレに行ったりしたが、中の構造がエレベーターがトイレに遠く、何度も往復するのが大変だというのはあるが、イオンの3階屋内の駐車場についてエレベーターから直行ということ自体は楽でいい。天気が気にならないのがありがたい。
診察・処置後に店内を見て回って母のスケジュール帳を買ったりお供えを買ったり、私のお昼ご飯を買ったり。途中で母がゴタゴタいうのでつい大声になったりしてしまったが、帰りの車の中で「今年はありがとう」と何回も言うのでちょっと申し訳ない気持ちになった。母としてもこちらに負担をかけている気持ちはあるのは伝わってくるので、まあやれやれとは思うのだけど、年末である。
帰ってきて昼食後、ツタヤに出かけてコミックゼロサムと「ミワさんなりすます」15巻と「フットボールネーション」20巻を買った。多分これで今年もマンガの買い納めだろう。今年もよく買いました。忙しくてちゃんと読めてないものもある気がする。じっくりマンガに耽溺できる時はいつになるのか、ちょっとわからない。まずなんとかしないといけない、ということが多いなあと。
ここまで書いて5時半を過ぎたので車のエンジンをかけて暖房を入れ、フロントガラスを解凍して、上座敷においてある雑誌をスポーツバッグに詰めて、車で出かけた。雑誌は基本的には作業場に置いてあるのだが、最近忙しくてなかなか作業場に行けないので、買ってきて読んだものを上座敷に積んであるのがもうだいぶ溜まっているから、最新号を除いてなるべく作業場に持っていこうと思って運んだわけである。今回はジャンプとヤンマガとスピリッツとサンデーを運んだが、まだかなり残っている。
作業場では父の蔵書を移した部屋で「日中外交秘録」に出てきた「大東亜戦争の総括」を探してみたのだが、見つからない。父なら買っていそうだと思って探しているのだが、ない。自分が見た覚えがないのであまり期待はできないが、著者陣を見たらいかにも父が買いそうな著者が多いので、ちょっと期待してみたのだが、やはりないかもしれない。帰ってきてから自宅の父の本が置いてある部屋も探したが、やはり見つからなかった。amazonでも品切れのようだしマケプレでもとんでもない値段がつけられているから、図書館で探すしかないかもしれない。
職場に出て少し準備をし、国道を飛ばして隣町のセブン併設のガソリンスタンドへ行く。途中で母から電話がかかってきて、何度目かに繋がったので話を聞いていたら歯が抜けたという。こんな年末になって言われても困るので年明けに行くよ、ということを伝えたが、通っている歯科医のサイトを見ても年末年始の予定が分からないので困った。こういうのは個人医院だと書いてないことはままあるので、後で電話か直接聞いてみようと思う。ガソリンを入れてパンを買って帰ってきた。
***
学者批判というと、左翼の人たちによる政府に関わる仕事をしている学者に対する「御用学者批判」というのがあったり、偽科学的なものの看板になっている学者に対する批判みたいなものがあったりするわけだけど、最近は「専門家」に対する批判が結構強くなってきている。
これは昔から、専門バカという言葉があって、専門は詳しいけれども他のことは世間知がないので学者のいうことはあまり間に受けない方がいい、みたいなことは以前から言われていた。しかし逆に言えばそういう人でも専門は侮れない、というふうには思われていたわけである。
その辺りについても切り込んだのは西部邁さんだったかと思う。「学者 この喜劇的なるもの」でそのあたりに切り込み、学者たちの生態について批判し、それ以降、知のあり方について基本的に保守の立場から大衆への迎合の問題を主に論じておられたと思う。
最近の専門家に対する不満というのは、與那覇潤さんがよくnoteで話題にしている。私は基本的にnoteで読むだけで動画や雑誌記事についてはあまり熱心には拝見していないから見当違いのところもあるかもしれないのだが、特に強く批判しているのはコロナ対策に関する疫学者の西浦博氏やウクライナ戦争の東野敦子氏であるかなと思う。
私は與那覇さんの著作もそれなりには読んではいるのだが、最も読んで面白く勉強になったと思ったのはオープンレターの問題に対するフェミニストの学者たちへの批判で、これはほぼ同意という感じだった。ただその他の著作についてはピンとくる部分とピンとこない部分があり、最近の「センモンカ」批判についても同意できるところと同意できないところがあるし、何よりなぜこんなに熱心に「センモンカ」批判をしているのかが見当がつかないところがあった。
最近いろいろ見たり読んだりして思ったのは、それは與那覇さんが基本的に左翼リベラルだからではないか、と思い出した。これは私の感覚だが、昔から左翼が政府の仕事をする学者を御用学者として批判するのと同様、「体制側」の「専門家」たちをいわば「新たなる御用学者」として批判しているのではないかという感じである。
ただ、体制側と言っても数十年前とは違い、フェミニストやLGBT運動家のような過激な運動家も体制にかなり食い込んできている。だから、フェミニストやその応援団のようないわば極左言論弾圧集団の「専門家たち」に対して強い批判を持つのは私も共有できるが、そうでない「体制側の専門家」たちの批判についてはそれはどうかな、と感じることが多いということなんだろうと思う。
そもそも、「専門家」と言えるということはそれが権威として認められているということであり、そういう意味で言えばフェミニズムなどもかなり権力側の公認思想になってきているわけで、そういう意味では強く体制的であるわけである。だから快刀乱麻を断つような與那覇さんの批判が目覚ましく保守側にも映るということはあるわけである。
しかし例えば、コロナの専門家たち、疫学的な根拠に基づく人流の制限の提案などは、まあ学者としてはそれによって起こるさまざまなリスクを考慮してもやむを得ないんじゃないかと思うし、その様々なリスクを勘案して政策として打ち出すのは本来政治家の役割だから、専門家を矢面に立たせるのは酷なんじゃないかと思っている。私は基本的に日本のコロナ政策は少なくとも感染症の流行に対してはうまくいったという立場だということもあるが、あまりちょっとその批判には乗れないなとは思う。もちろん、これから学際的に政権側からも対策全体を批判も含めて総括していくべきだとは思うが、現時点ではあまり乗れない。
これはまた、ウクライナ戦争に関してもそうである。最近、垂秀夫氏の言説が取り上げられる中で、「中国やロシアのいうナラティブに乗せられては行けない」というものがあり、私も当然そう思うが、一方で「アメリカやウクライナのいうこともまたナラティブではないか」という批判もある。私もそれ自体はそう思うのだけど、私自身としては、アメリカやウクライナのいう「自由主義世界を守る」というナラティブには、日本としては乗るべきだと思っているわけである。
とは言えアメリカはトランプへの政権交代によって必ずしもゼレンスキー政権の完全な味方ではなくなったから、そのナラティブ自体が成立が少し危うくなってきたところもあるのだけど、極東において中国やロシアに対峙していく上では、「自由主義世界を守るためにウクライナを支援する」ということ自体に意味はあると思う保守リベラルは多いのではないかと思う。
私も立場を言えば右派から保守だが表現の自由の問題などもあり、やはりリベラル要素はかなり強いと思う。だから半分は仮の立場として保守リベラルと言っておけばいいかと思うが、つまりは本来のリベラルの部分で極左フェミニスト批判に対しては乗れるが、保守と左翼の体制観の違いによって與那覇さんの言説には乗れない部分が多いのだろうなと考えるようになったわけである。
この辺りは、西部さんの学者批判と與那覇さんの専門家批判がどこがどう同じでどこがどう違うのかについてはもっと考えてみたいと思った。西部さんは自分が保守だというのは明言し保守の思想家についての著作も多いので拠って立つところはわかりやすいのだが、與那覇さんの思想的バックボーンは加藤典洋さんに共感するということは分かったがその先がまだよくわからないところがあり、また読んでいければと思った。
***
昨日は「謎の平安前期」も「日中外交秘録」もそれなりに読んだのだが時間がないので少しだけ書いておくと、平安前期は漢詩文の才能によって出世することはできた、それはつまり漢文が公式文書である律令制においてそれはプロの学習であり仕事であったのだが、和歌の才能によって出世することはできなかった、つまりそれは知識がなくても誰でもわかるアマチュアの趣味に過ぎなかった、という話である。確かに歌学の最高峰である紀貫之でさえ、同じ紀氏の紀長谷雄のような出世はできず従五位の土佐国司が限界だったわけで、他の歌人たちも和歌の才能は認められても身分は低かった。それは、平安時代の終わりに権中納言などの官位に上った藤原定家らが和歌の権威になった時代とは違うわけである。
「日中外交秘録」では、香港の民主派というのは周庭さんらのように親日だと思われがちだが、大きな勢力である香港民主党は反大陸ではあるが反日でもある、という指摘は大事だと思った。自由と民主主義を守る香港民主党=親日=応援しなければ、みたいなのもまあもちろんナラティブなわけであり、そこら辺はしっかり認識しないといけないが、ナラティブであったら乗ってはいけないということはないわけで、そこは自覚的な選択だなと思ったわけである。
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