諸富徹「税の日本史」を読み始めた:取られる側の思考と取る側の思考/アウトプット過多と「自分を遊ばせること」/自分のための文章と仕事としての文章
Posted at 25/12/09
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12月9日(火)曇り
昨日は午前中ブログ/noteを書いて入浴した後、とは言っても11時になっていたのだが、歩いて出かけて近くの和菓子屋へいき、弁当を買った。日曜の夜が鮭の西京焼きだったので魚系でないもの、と思い、肉団子弁当党派ぎを買う。弁当をぶら下げていくのは少し気が引けたが、近くの図書館まで行って「たとえば「自由」はリバティか」があるか検索してみたら、区内の他の図書館に3冊あったが、全て貸出中だった。まあそんなものか、と思ってCDの棚を少しみて、フィッシャーディースカウが歌うシューベルトの「冬の旅」のCDを借りた。それから家に戻り、あれこれして弁当を食べ、洗濯機をかけて1時過ぎに出かけた。集合住宅の前を出ると左に信号が見え、バスに乗るならこちらなのだが歩いて駅に行くなら右。信号が赤ならバスに乗ろうと思ってみたら赤だったので交差点まで歩く。信号が変わって交差点を渡って、バス停でバスを待っていたがなかなか来ない。まああるあるではあるが。
バスに乗って地下鉄駅まで出て、地下鉄に乗って大手町へ。丸善に行って本を見る。書きたいものがなくなる、面白いものが感じられなくなる、というのはアウトプット過多であることがある、というのは「2.5次元の誘惑(リリサ)」の教えの一つだが、アウトプットのために好きなもの、あるいは自分にとって必要なものを後回しにしたり我慢したりする、というのは本末転倒でありある種の罠だ、ということを自分の過去noteで読んでそうだよなあと思ったり。
https://shonenjumpplus.com/episode/3269754496389787914
https://note.com/kous37/n/n3786c193a468
ということがあったので、なるべく積極的に本屋巡りとか本来自分が楽しいと感じることをやろうという気持ちもあって丸善に出かけたわけである。で、普段はあまりしないのだが地下からエスカレーターで1階に上がり、ぐるっと書棚を見て2階に上がって、雑誌の棚や小説の棚、マンガの棚をぐるっとみてから3階に上がって新書のあたりを見て面白そうな本を一つ手に取り、アートのあたりを一通り見てから歴史や社会科学の方を見てからこの新書を買うことにした。
***
買うことにしたのは諸富徹「税の日本史」(祥伝社新書、2025)。国際関係も大事だが、国内政治の上では一つ大きく問題になっているのは税の話で、国民民主党が躍進したのも石破政権が降ろされて高市政権に変わったのもガソリン暫定税率の問題や現役世代の手取りを増やすという税の問題が大きかった。またMMTなど新しい租税理論も出てきているし、ここで歴史的なところから税というものを振り返ってみるのも良いかと思ったわけである。
自分は西洋史を専攻していたから奴隷制の賦役労働、農奴制の賦役(労働地代)と貢納、その貢納の中身も生産物地代から貨幣地代へ、という流れで税制を捉えているところはあるのだけど、税の専門家がどのようにその辺りのところを捉えているのかというのも関心があった。
読んでいて思ったのは歴史学的な租税の考え方がどちらかというと取られる側の立場からの捉え方であるのに対して、この本では取る側、つまり国家の側からそれを書いているなと思った。まあ、考えてみれば税というのは国家が自分の必要のために徴収するものであるから主体はそういう意味では国家の側にある。ヨーロッパの議会制度がこの国王側からの課税について議論し、同意しなければ徴収できないという「課税同意見」から発達したということから取られる側、つまり社会の側からの発想になるわけだが、取る側の発想というのも考えないと税の全体像は掴めないなと改めて思った。ただ、取る側ばかりの立場に立つと取られる側の感情がわからなくなるから革命が起こったり自民党税制調査会が攻撃されたりすることになるわけで、どちらのサイドにも立てなければ税制度というものはうまくいかない。そういう意味で言えば税制というのは政治の一丁目一番地みたいなものだなと改めて思った。
国民民主党の議論が支持されたのは、取られる側の立場としてどう感じているのか、またここはおかしいんじゃないか(ガソリン暫定税率の恒久化している実態)とか現役世代の負担が重すぎるから課税最低限の額を引き上げるべきだとか、従来の単なる政府攻撃を超えた具体的な是々非々論が国民の心を捉えたわけで、だから取られる側の立場に立つだけでなくて取る側のことも考えつつやれるところが評価されたわけだから、ようやく日本にも政治が成立してきたなという感じはあった。
内容はまだパラパラ見ただけだが、鎌倉時代の税制論からどうしたら鎌倉幕府が生き残れたかということについて分析していて、安達泰盛が提案した弘安徳政が成功していたら可能だったのではという分析が興味深かったが、これは霜月騒動によって安達一族が討ち取られたために頓挫しているということでその角度からこの時代を見たことがなかったので面白いなと思った。
また室町幕府の収入源は足利氏の直轄領は鎌倉幕府に比べてかなり少ないので収入を多様化させ、特に土倉や酒屋にかける土倉役・酒屋役という金融業者への課税が大きくなったが、土倉や酒屋に対して徳政一揆がかけられると課税もできなくなる、というメカニズムがなるほどと思い、治安維持能力が財政的にも政権維持の決め手だったから能力が失われると没落した、というのはわかりやすいと思った。
律令以前の大和政権の財政基盤は屯倉と呼ばれる直轄領に支えられていて、豪族たちにも貢納を要求していたがそれは服属儀礼としての側面の方が強かった、という指摘もなるほどと思ったが、この辺りの古代土地制度史みたいなものの現代の研究状況は自分が捉えきれてないなとも思った。
色々と興味深いのでこちらも読んでいきたいと思う。
***
そう言えばこういうのが「ずっとやりたかったことを、やりなさい。」で言っている「アーティスト・デート」ということだなと思いながら、一冊だけ買って地下鉄で帰り、帰りは駅から歩いた。割と暖かくて少し汗ばむくらいなのは、日曜日と同じだった。家に帰って片付けを始め、洗濯ものを干したり洗い物をしたりゴミをまとめたり。そろそろアンプの修理にも手をつけなければと思うのだが考えるだけで色々大変なので次回に回す。荷物を運んだりゴミを捨てたりして駐車場を出たのは結局もう暗くなり始めた4時半になった。これは道が混むなと思う。
近くのローソン併設のスタンドまで走って給油。ここは車が順番待ちをしていることが多いのだが、昨日は割とすんなり入れた。給油後ローソンでコーヒーとソイジョイを買って出発。首都高に乗るまでも、乗ってからもしばらくは順調で嘘みたいだなと思ったが、三宅坂の前で少し混み、代々木のあたりから本格的な渋滞になった。西新宿の合流を抜けるまではずっと混んでいて、それでも高井戸を過ぎたらだいぶ流れてきた。石川PAについたのが6時10分くらいだったから、順調なときよりはかなりかかった感じである。八王子ラーメンを食べて夕食を済ませ、途中境川PAでトイレ休憩をし、そこで朝のパンも買ってそのあとは実家までノンストップで走ってついたのは8時半ごろだったと思う。考えることがいろいろあったせいか案外眠くならなくて、ソイジョイを食べて入浴し、少しうたた寝をしたあと11時に寝床に入ったが、寝付きが少し悪かった。寝ていても夢というかいろいろな思念が起こっては消えていった感じだった。
***
この文章は基本的に日記、つまり自分のための文章という意味合いが強いのだが、もちろん公開しているので読んでもらう意味はあると思って書いている。ただ、仕事としての文章というのとは違うところが多い。必要も趣味も仕事も全部ごった煮と言えばいいか。自分としてはこういうのも面白いのではないかと思って書いているのだけど、ただしっかり仕事として文章を書いたほうがいいなということも考え始め、そういう方向から今後の書き方も考えていきたいとは思っている。
自分が何が好きなのかということと自分が何をできるのかということを整理するために子供の頃から自分の好きなものと得意なもの、できるようになったことなど書き出していたら、子供の頃の自分がいかにものを作ったり書いたりするのが好きだったかとか、物語やお話や音楽が好きだったかなどを改めて思い出して、いろいろ考えたりした。大学卒業後、つまり大人になってからのことももう一度振り返って方向性を考えていけると良いかなと思っている。
***
深夜に青森県東方沖でマグニチュード7クラスの地震があり、70センチほどの津波が観測され、八戸で震度6強が観測されたとのこと。夜中のことなので被害状況が明らかになるのはこれからだろうと思うが、どうか皆様ご安全に。
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