日本の安全保障をめぐるあれこれと小泉進次郎防衛大臣の覚醒/議論をシミュレートできる相手/finalventさんのnoteを読んで/フットワークの軽さと腰の据え方
Posted at 25/11/21
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11月21日(金)晴れ
今週ももう金曜日。日ばかりどんどん過ぎていくなあと思う。10月の終わりから劇団時代の仲間と舞台を見にいったり、転校前の高校の同球界に出たり、母の卒寿の祝いをやったり、来週は教員時代の仲間と飲むことになっているのだが、今週末は転校後の卒業した高校の同級生と飲むことになった。こういう企画は基本的に提案されたらそんなに断らないので出席率はいい方だと思うが、今年は特に多い。年齢的に、時間に余裕ができてくることだということなのだろうか。私はまだまだ働く必要があるのだけど、そろそろ悠々自適感のある人も増えてきている感じはある。そういう世代だなと思う。
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finalventさんのnoteを読んだ。
https://note.com/finalvent/n/n3aa24bfa9184
私はfinalventさんの自伝的著作「考える生き方」を読んでいるのだが、それ以来の自分を曝け出した文章を読んでいる感じ。源氏物語や1983年への視座など私自身も論じてみたいことに触れている。
https://note.com/kous37/n/n299a82a6ff10
仲俣さんの軽出版にも興味はあるし、神保町で一冊買ったこともある。橋本治も評論を中心に一時期かなり読んだ。神奈川県立美術館の橋本治展も行った。1962年生まれ、finalventさんと仲俣さんの間の世代でもある。かなり重層的に関心は重なるのだが、見方も立ち位置もかなり違うので、情報量が多い中を距離感をはかりながら読むことになる。でも、相変わらず面白い方だなと思う。
今は平安時代の書道史を専攻している、というのは虚をつかれた。そういえば「上手な字の書き方」についての本に何冊か言及されていて、私もその中の本を買ったこともある。
古今集と源氏物語の間の懸隔について少し触れられていたが、古今集は10世紀半ばで源氏物語は11世紀初頭、そこには歴史学的に「謎の10世紀」と言われる時代があるわけで、古今集についての歴史的アプローチなどができればそれについても少しわかることがあるかもしれないと思った。それはfinalventさんの関心ではないだろうけど、書道史を研究する中で何かわかってくることもあるかもしれず、期待はしたいと思った。
***
誰かと会ったり、誰かの著作や作品、生き様と出会うときには、自分自身が鋭く問われることがあるわけだけど、finalventさんの書くものを読んでいると私とは全く生き方も物事へのアプローチの仕方も異なるのだが、とても示唆的なことが多く、いろいろ考えてしまうことがある。また、昨日電話で高校時代の友人たちと会うことになったときに、あったら何を話すかみたいなことを頭の中で勝手にシミュレーションが始まり、やはり議論する相手として高校時代の友人たちというのは基本的な対手ではあるのだよなと思った。転校前の学校では趣味の共有みたいな感じの付き合い方だったが、転校後の学校では色々なことについて議論するようなことが多くなって、どちらも捨てがたい感じはあるけれども、この時期にそういう再会があるというのも自分のこれからにとってもおそらくなにか意味があることなんだろうと思う。
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台湾有事・日中関係・安全保障関係について考えたことなどいくつか。
一つ目は小泉防衛大臣の覚醒。
https://x.com/rosarinn/status/1991344989188825153
防衛大臣になってからの小泉進次郎氏には圧倒的な成長が感じられるのだが、この「愛国心」に関する発言もそうだろうと思う。国を守るためには愛国心が必要だという当たり前のことを言っているのだが、これは高市総理他右派と見られる人たちが言ってもあまり響かない感じがある。小泉大臣だからこそ届く言葉であり、また小泉大臣だからこそめくじらを立てられない発言なのだなと思う。この辺りのことは「何をいうかより誰がいうか」という問題でもあって、高市総理の発言が揚げ足を取られているのも中国側が高市総理を辞めさせたい、日本側に分裂をもたらしたいという狙いがあるからだろうと思う。「進歩的」な印象のある小泉大臣が言うことで、より許容度が上がるということはあるなと思ったのだった。
もう一つは非核三原則答弁。
https://x.com/shounantk/status/1991372432259862735
高市総理の発言については議論が芬々だったが、小泉大臣は民主党政権時代の岡田外相の発言を引用して「同じ考えだ」と米軍の各持ち込みについて発言していて、これは巧みだと思った。他人の言葉を使って自分の所信を述べるのはある意味政治家にとって必要な技術ではあるが、この辺りはとても上手くなったなと思う。高市総理は性格的にそういうまだるっこしいことが嫌いそうではあるが、より円熟した政治家になるためにはそういう技術も必要かなとは思った。
二つ目は「日本は中国共産党政権が唯一の合法な政府だと認めているが、台湾の領有については明言しない」という姿勢について。これはもちろん日本は台湾を領土として放棄したのであとはそこの領有を宣言している政権同士の問題だというスタンスになるわけだが、台湾有事の際には沖縄の基地から米軍が出動するのは当然だから、中国の領土と認めてしまえば内政干渉に協力することになるからそれをしていない、という指摘がなるほどと思った。様々なことを前提として積み上げて今日があるわけだが、新聞記者も不勉強な人が多くて余計な波風を立てることにつながっているのだなとは思った。
https://toyokeizai.net/articles/-/919090?page=2
安全保障について、中国は対日経済制裁として水産物の輸入解禁の延期のようなことを言っているが、実際にはもっと困る輸出品があり、それが肥料の原料であるリン酸アンモニウムであるという指摘。これは9割を中国から輸入していると。これが止められたら確かに日本の農業はかなり深刻なことになる。
https://x.com/Kouhei_Takeoka/status/1991437194377195925
これは藤井一至氏の本で読んだが、日本の土壌は火山性の黒ボク土で、チェルノーゼムのような天然で濃厚に適した土壌ではないから、必ず肥料が必要だということらしい。肥料の三元素は窒素・リン・カリだがそのリンがほとんど輸入品で、中国からのものがかなりの割合を占めるということだ。
まだつまりこうしたいわば最終手段を取っていないということで、これ以上エスカレートしないうちに中国側が日本の対応を理解できるように仕向けていく必要はあるだろうと思う。ただ習近平マターになっているという話もあるので、最終的には首脳会談でなんとかするしかないのだろうとは思う。まだ門戸は閉ざされているが。
国債利回りについての懸念。
https://x.com/LIU_Yen_Fu/status/1991420488644718807
金融政策としては為替問題、利率問題、債券問題の三つがあるけれども、そのうち債券については日本は国債を原資とした財政政策をある程度企図しているところがあるから、この価格は結構重要になるだろうと思う。実際には今まではかなり日銀が引き受けてなんとかしていたわけだけど、金利の支払いが増えると財政に対する影響は出る。そこは片山さつき財務大臣が「責任ある積極財政」を実現できるかどうかの手腕が問われるというところではあるだろう。
ガソリンの暫定税率廃止については早速効果が出てきてガソリン価格が下がっているのが感じられるが、同じように現役世代を援助する経済政策はもっとやっていかなくてはならないので、ここは頑張ってもらいたいと思う。
高市政権が成立して1ヶ月だが、基本的にはよくやっていると思う。中国問題をはじめ様々なトラップはあるのだけど、軽やかに対処していっていただけると良いなとは思う。
***
それにしても、finalvent氏が「自分の今の専攻は平安時代の書道史だ」と書いておられるのには感銘を受けた。今自分の専攻は何か、というと様々なものにトライしているという感じになってしまっていて、テーマがブレているなとは思う。一つには自分の何にでも興味を持つ性格的なものが影響してよく言えばフットワークが軽い、悪く言えば何にでも手を出す、となっていることはあるし、また「いま日本および日本人にとって必要なものは何か」を探りながら書いているということもあるのだけど、少し時事的な方向に走り過ぎているということもあるなとは思っていて、もう少し腰を据えたほうがいいなという気もしている。もちろん自分の能力的な問題もあり、どういう取り組み方がいいのかは検討の余地が大きいなとは思っているのだけど、もう少しやっていること考えていることをある程度の規模を持った形としてまとめることを考えたほうがいいとは常に思っていて、その辺にジレンマはある。
今は「福音派」というのは取り組むべきテーマの一つだという意識は結構強いので、とりあえずは早めに回帰しなければとは思っている。なんとかいろいろまとめていきたい。
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