「ふつうの軽音部」85話:「固定したバンドを作らないタイプの軽音部」が登場/「精神的価値を求める保守派とリアリズム派の複合体」と「理念的価値を求める左派のウォーキズムへの転落」
Posted at 25/11/02
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11月2日(日)晴れ
昨日はなんだか疲れが出てしまって午前中はどこにも行かないまま職場に出て、仕事が終わってから西友へ行って100円ショップで長押フックを買い、晩御飯の買い物をして、そのあと最近ネットで見て面白いかもと思っていた加藤喜之「福音派」(中公新書、2025)と鈴木一人「地経学とは何か」(新潮選書、2025)を買って帰った。帰るともう「ブラタモリ」が始まっていたので夕食を用意したり食べたりしながら見て、そのあとやっていた「新プロジェクトX」のNECの顔認証技術の回も見た。最近なんとなく土曜日はこのコンビを見ている感じになっている。
そのあとなんとなくiPhoneでネットを見ていて、早めに寝て朝起きてから「ふつうの軽音部」の更新を読むか、0時の更新まで起きていて読んでから寝るか、と迷っていたのだが、ぐずぐずしているうちに11時半を過ぎたのでやはり寝ようと思って寝床に入ったが寝られず、いいや、と思って0時過ぎから第85話「合同ライブ」を読んだ。
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https://shonenjumpplus.com/episode/17107094911687897051
プロトコルの田口が遅れている、という情報が前回あって、7巻の巻末に収録されているおまけ漫画で「2ヶ月に一度くらい不運に襲われる」キャラとして読者に認知されていたため、きっと何かに巻き込まれているのだろうと読者の間で噂されていたのだが、案の定その通りで鷹見が「まずいな、今日は田口運悪い日か。こんなもんで済めばええんやけど」とマジで心配していて、田口の不運ネタだけで話を相当引っ張ったのが読んでいて笑ってしまった。
https://shonenjumpplus.com/episode/17106567265033403690
こうした番外編で予告?された設定を本編に持ち込むというのは83話もそうで、キャラの番外ネタだと思われていた「カップリングダービーで部員のカップル成立や破局を予想する古旗さん」というネタが鳩野の水尾への恋愛ネタに絡んで出てきたのは結構驚いた。今回はそういうこともあったから読者の方も予想していたのだが、予想以上に不運が炸裂していてコメント欄が田口の名前が溢れていてそれも笑ってしまった。
新しいキャラとして合同ライブの相手の七道高校の軽音部顧問や部長が出てきたり、文化祭編で出てきた二楷堂まわりがはーとぶれいくメンバーと打ち解けて話したりレイハをdisったりしているのが面白かった。
で、設定としてへえっと思ったのは七道高校軽音部では固定したバンドを作らず、ライブごとに担任が顧問がメンバーを決めてその都度バンドが組まれるという話で、そんな軽音部があるのかと驚いたが、コメント欄を見るとそういう軽音部に在籍した人の話などが出てきて、へえっと思った。同じバンドでまとまってバンドとして成長していく、というのがこのマンガだと思っていたから、そうでない学校もあるんだというのは新鮮だったし、そうなるとレイハやまわりがどういうバンドでどういう演奏をするのかとか、割と予想と違う感じで出てくるのだろうなと思ったり。
七道の顧問の最初の挨拶でも「お互いの演奏を見て勉強して自分の課題を見つけて成長に繋げましょう」と言っていて、「個人としてのスキルを磨くのが軽音部の目的」みたいになってる感じがし、それがある意味「個人主義の偏差値もスキルも高い七道高校軽音部」と「みんなでわいわい楽しくやる谷九高校軽音部」の違いとして描かれるのかなと思った。
もちろん固定したバンドを作らない理由として、「人間関係で揉めて解散とかがない」ということが挙げられれていて、「私はずっと同じメンツでバンドやりたいけどなあ」という鳩野も桃に「うちの軽音部は解散多過ぎたからそれもどうやねんて話よな」と言われて「それはそう・・・」と答えたりしている。現に彼女ら自身もそれぞれ2バンド目ではあるわけである。
この「ふつうの軽音部」は「個人の成長」や「バンドの成長」を描くストーリーだ、と思って読んできたから、「軽音部としてのあり方」みたいな話にまでテーマが拡大するとへえっと思うし、やはりその辺は原作担当のクワハリさんが元高校教師で軽音部顧問、という経歴が生かされた話なんだなと思う。おそらくは「部活のあり方」みたいなところで結構他の部活でも参考になるところは出てくるのではないかという気がした。
これは考えてみると演劇などもそうで、ずっと固定した座組みでやる劇団制の制作の仕方もある一方で企画ごとに座組みを変えてプロデューサーがその都度人を集めて芝居を作るというやり方もある。映画なども昔は俳優を東映や日活などの会社が抱えていて、他の会社の映画に出ることはほとんど無理な状態だったことを考えると今はそうでもないわけで時代の流れはそういう企画ごとの人集め、という方向に来ていたことは確かである気がする。
これはまあ一長一短という感じがするから決めつける必要もない感じではあるが、そういう問題提起がこの設定の中にはあるなと思ったのだった。
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ただ読んだら案の定コメント欄を読みまくり、またTwitterのコメントも読んだしてて結局眠れなくなり、1時半に寝床に入ったが、おそらく眠ったのは2時ごろだと思うし、6時に近くの寺の鐘の音が聞こえたがもう少し寝ることにして、起き出したら7時だった。
というようなことをやっていたらどうもペースが狂ってしまい、午前中にはブログに手がつかず、昼食を取ってしばらくしてからようやく書き始めた。昨日買った本もまだ全然読んでいないし、まあ疲れているのだから休めば良いのだが、いろいろ立て直していかないといけないということも思った。
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https://x.com/CONTRAIL_info/status/1968143248775680307
「この世界の片隅に」の片渕須直監督が清少納言や「枕草子」を題材にした映画を撮っていて、その資料展が開催されているとのこと。片渕監督の動きはいつの間にかTwitterもフォローを外していたのであまり知らなかったのだが、またすごい作品を撮っているのだなと思った。楽しみにしたい。
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高市総理に向けられたTwitter上の暴言について、森奈津子さんがまとめていたので、リンク。これらはほとんど私も読んだが、Twitterおすすめにこれでもかと出てきたので本当に気分が悪くなった。予想外のところから出てくると不愉快だが、ここにまとめられている、と思って読めばまだ冷静に読める。「こんな人たち」が高市早苗さんにどんな罵詈雑言を浴びせたのか、ちゃん記録しておくことに意味はあるだろう。この中で10年後も言論活動をしている人がどれだけいるかは知らないが。
https://note.com/morinatsuko/n/ndec92cd41e0a
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昨日、リアルサウンドの以下の対談を読んだ。
https://realsound.jp/book/2025/10/post-2203434.html
内容についてはまた改めて書くこともあると思うが、今日は少し思ったことを。
それは、大きく言って安心、幸福、充足、敬虔、伝統保持といった「精神的な価値」を求めるのが右派・保守派で、自由・平等・弱者保護・グローバリズムといった「理念的価値」を求めるのが左派だと言えるのではないか、ということ。
もちろんその間には、経済的繁栄、合理的社会運営、安全保障、治安維持といった現実的価値を求めるリアリズムの人たちがいるわけで、また左派であってもそういうものを求めないわけではないが、右派保守派と少なくとも日本においては相性がいいということはあると思う。
これは言葉を変えれば宗教や伝統、皇室(王室)といった文化的価値を重視する保守派と、世界的な進歩と調和を目指す文明的価値を求める左派という違い、という言い方もできるかもしれない。フランスやアメリカは元々文化よりも文明に寄ったところにナショナルアイデンティティが見えるが、ただそれはエリート的なところに強く、民間では必ずしもそれが絶対的な価値ではない。進歩や文明というものは上の言い方で言えばリアリズム的な価値なのだが、19世紀や20世紀も戦後のある時期までは伝統に固執する右派よりも左派の方が幸福追求のためのリアリズム路線を強く主導してきたわけである。
ただ現在の左派はマイノリティやジェンダー、環境といったより理念的なある意味タコツボ的な関心、一言で言えばウォーキズムに引っ張られ過ぎていて、マジョリティの生活理念から浮き上がりがちになっているし、それが理念的に正しいというのも疑問符かつけられてきている。
これはやはり社会主義という壮大な実験が終わった後の30年で、左派に何ができるか、左派はどのように社会を進歩させられるのかという問いかけの結果がこうしたジェンダーやマイノリティや環境であったわけで、日本では太田竜氏や上野千鶴子氏やその後継がそうしたアフター冷戦の思潮を引っ張っていったのだと思う。
ただそれが行き詰まっていることがトランプ現象につながり、日本では参政党現象や高市内閣の高い支持につながっていることは今までも考察されてきた。
そういう意味でいうと、「右か左か」「保守か左翼か」という問いは今はあまり意味がなくて、「保守とリアリズムの複合体」か「左派のウォーキズム」のどちらを取るかという問いかけになりつつあり、それはどう考えても最初から勝負はついているだろう。
昨日私が買った「福音派」と「地経学とは何か」という2冊の本は二つとも「保守とリアリズムの複合体」の世界的傾向についての考察なわけで、今まで私はどちらかというと「思想としての保守」を重視し過ぎてきた感じはするけれども、「保守とリアリズムの複合体」という問題設定でそれらのあるべき未来、ということについて考えていった方が良いなと今書きながら思っている。
まあ、それを今のところ体現しようとしているのが高市政権なので、その辺りのところは期待しているのだけど、内閣の動向もよく確かめながらその方向性を考えていきたいと思っている。高市政権は安倍政権が比較的ふわっとしていた部分を、よりはっきりと詰めていく感じがあって、その辺りのところもよく見ていかないといけないと思う。
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