「麻生氏の力を借りる」高市新総裁の人事/日本近代史における牧野伸顕の重要性を再認識:幕末から続く開明派保守の伝統/交通機関の試行錯誤/坂口志文氏がノーベル医学賞
Posted at 25/10/07
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10月7日(火)
昨日は午前中9時過ぎまでかかってブログを書いた後、散歩に出て郵便局でお金をおろし、以前はよく行っていた古本屋に出かけた。以前はマンガなどもここでよく買い、特に横山光輝「三国志」などはほとんどここで揃えたような記憶があったからなのだが、昨日行ってみた感じでは古いものは割とあるけど最近のものはそんなにない感じで、「花織さんは転生しても喧嘩がしたい」はなかった。まあ今世紀になってからのものは普通の古書店よりはブックオフなどを探した方があるのかもしれないと思ったり。帰りに和菓子屋でトンカツ弁当と豆大福を買って帰った。
出直して、11時過ぎに大久保に仕事の買い物に出かける。どうやって行くのかいつも迷うのだが、昨日はバスで地元の地下鉄駅に出て、ファミマで買い物に必要なお金をおろし、駅でスイカにチャージしてから東西線で大手町に出て東京駅で中央線に乗って新宿まで行き、総武線に乗り換えて大久保に出た。先日は欲しい本が揃わなかったが、昨日は必要なものは買うことはできた。少し重かったが。
帰りは総武線で飯田橋まで行って東西線に乗り換える。ここは乗り換えで歩くのが多少面倒なのと、昨日は乗り換えた東西線が混んでいた。ただ、東京から大久保までJRで行くよりはこちらの方が安い。さてどう行くのが一番いいかなあと考えているうちに、大久保から錦糸町までそのままJRで行ってそこでバスに乗れば乗り換えも少ないし二社で行けるから一番安い、ということに思い当たった。地元の地下鉄駅に出るのもバスを使わなければ高くはないのだけど、使うならJRでずっといった方が安いし、昨日のように荷物のある時はそちらの方がいいなと思い当たる。地元に住んでもう40年以上経つのに、いまだに試行錯誤がある。
帰ってきて弁当を食べて部屋の本棚を見て実家に持ち帰るものをいくつか考えていたのだが、ショウペンハウエル「読書について」(岩波文庫)、塩沢実信「人間 吉田茂」(光人社NH文庫)、升味準之助「日本政治史3 政党の凋落、総力戦体制」(東京大学出版会)の3冊を持ち帰ることにした。そのほか書類はいくつかあるが。洗濯したりゴミを捨てたりして3時過ぎに自宅を出る。
近くのローソン併設のスタンドで給油したが、ローソンの駐車場がいっぱいだったので買い物はせず、そのまま出る。高速に乗るまでは割と空いていて、乗った後も割と順調。三宅坂のジャンクション手前で少し渋滞したが、時々流れが悪くなる程度で西新宿でもそんなに混まず、三鷹料金所を通過したあたりまではスピードは抑えめだったがそこからはほぼ順調で石川PAについたのが4時20分くらい。昨日は配送的な大型トラックと工事の後のようなダンプ的なトラックが多かったのだが、時間的な問題なのだろうか。石川でコーヒーとバウムクーヘンを買ってそのまま走り、境川に着いたのが5時20分くらい。あとは休憩せず地元のインターで降りて書店で少し本を見て、スーパーで買い物して帰宅。到着は7時ごろで、まずまずだった。
夜はご飯を仕掛けてからニュースを見ながらコーヒーを飲む。ノーベル医学生理学賞を坂口志文氏が受賞とのニュースがトップだった。免疫に関する研究で、免疫の暴走を抑制する「制御性T細胞」の発見者だという。この細胞は聞いたことがあったが、発見者が日本人だということは知らなかった。昨年の受賞は被団協で科学系の受賞ではなかったが、坂口さんで個人の受賞者は29人目、医学生理学賞では6人目だというのはすごいと思った。こうした基礎研究の受賞は国力の反映でもあるし、日本が世界に貢献できる分野でもあるので、しっかりサポートしてもらえると良いと思う。
夕食はシューマイと鯛の刺身(安かった)、ビールを飲んだら眠くなり、9時ごろにうたた寝してしまって気がついたら12時過ぎ、布団に入って5時まで寝た。今日は割とちゃんと眠れたと思う。
***
こちらのブログは朝起きてからなるべく何も見ずに書くことにしたので、「朝入ってきた最新のニュース」は反映せずに書いているので、少し違っていることもあるかもしれない、ということを前提に。
昨日は高市新総裁の党役員人事のニュースがいろいろ流れていて、麻生太郎氏が副総裁、鈴木俊一氏が幹事長、小林鷹之氏が政調会長、総務会長はまだ未確定っぽかったが有村治子氏、とのことだった。税調会長の宮沢氏が交代、というのもあり、かなり刷新感はある。麻生氏が影の親玉、みたいな揶揄もどこかで読んだが、高市氏が麻生氏と麻生派の力を借りて党内運営を行うということだろう。高市氏は党内基盤が弱いし他党との人脈もそうあるわけではないので海千山千の麻生氏の力でそこをカバーしようということなのだろうと思う。報道としては茂木氏が外務大臣、林氏は地方に行ける職務を希望、小泉氏はどうか、というところだが、まあそれらはこれから出てくるのだろう。また幹事長代理に旧安倍派の不記載問題があった萩生田氏を起用とのことで、すでにいろいろ反響があるようだが、このあたりのところはちょっと高市氏にとっても正念場かもしれない。
両院議員総会長として見事に臨時総裁選を実現させた有村治子氏をはじめ今まで十分評価されているとは言えなかった女性議員が登用されるのはいいことだと思うし、旧安倍派も「本会議に出席するだけではなく」ちゃんと仕事をさせる、という高市氏の判断は真っ当なのだが、どちらも高市さんらしい人事だと思うし、頑張ってもらいたいと思う。
***
最近牧野伸顕について読んでいて、この人は地味に見えるけれども歴史的には非常に重要なポジションにいる、まあ言えば戦前と戦後の橋渡しをする役割であり、また日本の開明派保守とでもいうべき伝統を担う人だと思うようになってきた。大久保利通→牧野伸顕→吉田茂という系統は麻生多賀吉を経て現在の麻生太郎氏にまでつながるわけだが、西郷らと対立して欧米文明の導入により文明開化の国力増強を図った大久保、パリ講和会議以降の欧米の理想主義的思潮を受け入れ、親英米的な路線に昭和天皇を導き、「君側の奸」とみなされて何度もテロの対象になった牧野、その女婿として戦争中投獄されたことを勲章に戦後はいわゆる「保守本流」を築き上げた吉田茂、というのが系譜でつながるというのはそう偶然のことではないだろうと思う。このことは私は今まであまり重視はしてなかったのだが、結構意味があるのではないかと牧野について読むことで思うようになってきた。
大久保をさらに遡ると開明派の大名である島津斉彬に遡り、彼ら一橋派が唱えた公武合体から一転しての王政復古、維新政府のさまざまな主導権争いの中での大久保独裁=有司専制の確立という流れはつまりは単純な王政復古を目指す尊皇攘夷思想だけでは説明できないわけで、ある種の江戸時代からつながる国家主義、国家あっての国民という立場の流れが明治政府や現代にまでつながっていると考えるのが妥当なのではないかと思えてきたということである。
そうしたことが現在進行中の高市政権の成立過程において吉田茂の孫である麻生太郎氏が全面バックアップしてやや保守的な意味での国家の再確立と親(英)米路線の再確立みたいなことをしているのが歴史に共鳴しているように感じているわけである。
それに対抗するものとしては主に保守的な方向からの対立者と革新的な方向からの対立者がある。保守的な方向から言えば神道や国学の流れの民間からの保守みたいなものが一つは右派の源流になっているわけだがそれだけではなくて、こうしたものに影響して生まれた幕末の尊王攘夷派が明治維新の原動力になり、それは明治政府の国家主義に吸収された人々もあったがそれに飽き足りない人々が政府を離れて自由民権などの反政府運動を起こしたが、その中でも一部はそれらを批判して頭山満の玄洋社をはじめとする明治以来の民族主義的な右派勢力を作って国学系の保守・右派と合流していくという流れがあるように思う。これらが軍部に影響を与えて血盟団事件や二二六事件などの直接行動につながったり、精神主義的な戦争指導につながった面はあるのだが、戦後は大きく勢力を失うことになった。ただこの系統は無くなったわけではないし、参政党などはそうした系統も引いているようには見える。
また尊攘派の系統からより開明的なフランス起源の民権思想に依拠した理想主義的な系統がキリスト教や社会主義の方向に転換していき、それらが近衛政権である程度の存在感を持つようになって戦後改革にも加わり、また共産党も独自路線で戦後にかなり大きな思想的影響力を持つようになった。
またこれらとやや一線を画す面があると感じられるのが江戸時代の読書人階級からの流れで、幕末から明治にかけて多くの西洋文物の流入とともに和漢の文明を受け継ぐ役割もし、明治のさまざまな思潮を担うとともに大正期には大正理想主義とでもいうべきものをになった教養人階級を形作り、昭和初期には保守でも左翼でもない「オールドリベラリスト」と言われる一群の人々を形作ることになった。
戦後彼らは勢力を失った精神主義的右翼に変わって日本の「戦後保守派」を形作ることになったわけで、小林秀雄や林房雄などがその系統になるということだと思う。こういう戦後のリベラリズムはより中道的な保守でも左翼でもない常識的なリベラル層(実際にはここが一番多いような気はする)にもなっただろうし、また心情的に左翼に近い層は冷戦後に勢力を失った左翼とある種の同盟関係になって「左翼リベラル」「いわゆるリベラル」な勢力になっていった人々もいるという感じではないか。
まあ江戸時代から続く政治史・思想史的な流れとしてそういう見取り図を書いているのだが、この辺りはまたしっかりちゃんと考えてまとめてみたいと思う。
大事なことはおそらく、戦後の流れだけでいろいろ見ようとするのではなくて、例えば江戸時代からの流れを踏まえた上でなぜ現代はこうなっているのか、を考えることだと思うし、特に戦後の「リベラル」のいわば解体みたいなものが現代の日本の思潮にとってかなり重要になってくる気がする。戦後だけでなく明治維新から疑え、というのは呉智英さんが以前書いていたことだけれども、明治以前から考えないと現代のことも本当には理解できないのではないか、という意味で、最近新たにその言葉に意味を見出したりしている。
また「保守」というものも当然ながら時代によって指すものが変わっていくわけだけど、「何が保守されてきたのか」を考えるときに、牧野が象徴するもの、たとえば開明的国際協調主義と皇室重視、が一番重要なのではないか、と思ったということでもある。
朝書いたメモをもとに書いているのだが、すでに読めない字があって意を尽くしきれていない感じはするが、今朝はここまでで。
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