読者とは誰か/歴史人類学とは/スマホを忘れて目を休める/「読書とは他人にものを考えてもらうことである」/睡眠導入剤に「神曲」を読む/メディアの小泉上げと高市下し

Posted at 25/09/22

9月22日(月)晴れ

昨日は午前中に実家を出て車で帰京。地元の道で何となくのたのたしてしまった感じ。八ヶ岳で休憩し境川で弁当を買おうと思ったがまだ復活していなかったので釈迦堂まで行ってすき焼き弁当を買った。あとは石川PAで休憩し、高井戸あたりから渋滞ではあったが動かなくなるほどではなく、割と順調に帰宅。午前中は雨は降っていなかった。

お昼を済ませて自宅でゆっくりし、夕方近くに出かける。二週間前に豊洲図書館で借りた大室幹雄「月瀬幻影」が返却日なのでまだほとんど読めていなかったが返すことにしたのだけど、江戸時代の儒学者や漢詩人たちの風景観、その風景の背後にある農民の営為、などについて書かれている感じではあったのだが、著者の専攻を見ると「歴史人類学」とあり、これは自分の認識ではエマニュエル・ル=ロワ=ラデュリのようなフランスのアナル派歴史学の主張のように思っていたのだが、グーグルで検索してみてもあまり納得のいく説明がなくてちょっと難しいなと思った。

(ちなみにルロワラデュリの本をポチった)

ル=ロワ=ラデュリらアナル派は文献が残っているような上層階級だけではなく民衆の生活の歴史に迫る、みたいな考え方だと思うが、大室さんの著作はそういう歴史系統というより文明批評・文化批評・文芸評論みたいな感じに思えたが、史学というより批評という感じに思えた。

私は歴史学(西洋史)が専攻なので歴史は誰でも割と読むもの、みたいな意識があるのだけど、実際には関ヶ原の戦いで徳川家康が勝利したことも知らない大学生も結構いるわけで、本当はそれほどは読まれていないのだろうなと思うが、どのくらいの内容のどういうテーマのものならどのくらい需要がある、ということの見当はつく感じはある。もちろん具体的な部数までは分からないが、新書などで出版されてるということはそれなりに買う人がいるということだろうと思う。

一方で、こういう本を読む人がどのくらいいるのかということはあまり見当がつかない。読者は誰なんだろうという感じである。現代文学の人とかのツイートを読んでいても、たとえば中村真一郎の『頼山陽とその時代』のような江戸時代論などをどのくらいの人が読んでいるんだろうという気がする。文学や小説などはそれなりに部数は出るしおそらくは出版に進む人はそういうものが好きでその仕事についた人が多いとは思うのだけど、読者があまり分からない。

どんなものも横断的に読む、という人は昔はそれなりにいたと思うし私も基本的にはその傾向なので、ただ当然と言えば当然だけど網羅的に読んでいるわけではなくて面白そうだと思うものを読んでいるだけだから、ジャンルには偏りがある。そういう「何でも読む」読書人とか読書家、あるいは読書階級と言われるような人も、おそらくは以前より数は減っているだろうなとは思う。

だから「月瀬幻想」のような江戸時代の風景論、儒者論のような本を誰が読むのかと想像してみると、読書家だろうなと思うし、現在の出版や執筆に関わるような人以外で本をよく読む大人というのを想像してみても、石破茂首相くらいしか思いつかない。いったい誰が読んでいるのだろうか。自分が本を書くことを考えているけれども、どういう人たちが読んでくれるのだろうと思うとなんだか難しいなと思い、考えているところである。

地元の図書館で本を返却し、駅まで歩いて地下鉄に乗る。この駅は最近あまり使わないのだが、東側からするとそんなに不便でもないなと思った。西側からの利用はとんでもなく不便になったのだが。

大手町で降りて千代田線に乗り、新御茶ノ水まで行ったが、電車に乗るときにスマホを家で充電したままにしてきていることに気づき、電車の中では目を休めることができた。気になるとすぐスマホで調べものをしてしまうし、周囲が気になったら音楽を聞いたり、手持無沙汰になったらゲームをしたりしてしまうので、歩いているときや運転しているときくらいしかスマホを気にしないときはない感じだが、当然ながら歩いているときや運転しているときは目を使っているので、目は休まっていないわけである。こういう時間が出来てしまったのはむしろ良かった気がする。

新御茶ノ水から神保町に歩いたが、自然食品の店の前の道が路上駐車のパーキングに結構空きがあったので、1時間300円とそのあたりの駐車場に比べれば断然安いし、わりと使えるかもと思った。東京堂を見てから書泉グランデに行って一回りしたが、「織田ちゃんと明智くん」の3巻がスマホスタンド付きで売っていて、わりとよかったので買ったのだが、スマホスタンドとコミックスとコミで1980円かと思ったらグッズのみの値段だったのであれとは思ったがまあいいかと。それから画材店の喫茶店へ行ったら窓際の席が空いていたのでケーキとダージリンを頼んでマンガを読んでいたのだが、となりの席に吉本の劇場帰りの女の子たちが来てそういう話を始めたので、神保町に吉本の劇場が出来たのは知っていたが、そうなるとそういう客層も来るのだなあと思ったりした。

神保町のディスクユニオンが閉店し、うちのアンプも壊れたままなのでレコードを見るのはやめにして、神保町で半蔵門線に乗って大手町へ。丸ビル地下の成城石井まで歩いて夕食を買い、丸善で少し本を見て地下鉄で帰った。傘を持って行ったけど結局使わなかった。

夜はNHKのニュースを見たりいろいろしていたが、早めに寝ようと思っていたのだが何となく寝付けなくてスマホをずっといじったりして、昼間に仕えなかった分を取り返す意識があったのかどうかわからないが、せっかく目を休めたのに、みたいになった。喉が渇いて外の自販機にジュースを買いに出たら雨が結構降っていて、まったく無防備だったので結構濡れてしまった。

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11時過ぎにさすがに寝ようと思って床に入ったが寝つけず、本棚をなんとなくみていたら岩波文庫のショウペンハウエル「読書について 他二篇」が目に入り、読んでいたら

「読書は、他人にものを考えてもらうことである。本を読む我々は、他人の考えた過程を反復的にたどるに過ぎない。習字の練習をする生徒が、先生の鉛筆書きの線をペンでたどるようなものである。・・・だが、読書に勤しむ限り、実は我々の頭は他人の思想の運動場にすぎない。・・・ほとんど丸一日を多読に費やす勤勉な人間は、次第に自分でものを考える力を失っていく。・・・しかしこれこそ大多数の学者の実情である。彼らは多読の結果、愚者となった人間である。」

というくだりが目に入ってきて、ああまあそうだなあと思った。要は「学びて思わざればすなわち暗く」という状態である。

「多読すればするほど読まれたものは精神の中に、真の跡を止めないのである。・・・従って読まれたものは反芻され熟慮されるまでに至らない。だが熟慮を重ねることによってのみ、読まれたものは真に読者のものとなる。食物は食べることによってではなく、消化によって我々を養うのである。」

この辺は整体に行って「消化不良ですね」と言われたことそのままなので笑ってしまった。まあ読めばいいというものではないのだよな確かに。消化するという過程が必要なのだが、その過程を自分の精神に委ねていると、極めてゆっくりのスピードながら自分にとってその時必要だとか関心がある内容については自分の中に定着していったり発想のヒントになったりする。読んだからといってすぐ消化できるわけではないのは仕方ないのだが、まあこのようにして読書ノートをつけるということも一つの消化の過程ではあるのだよなと思う。

それでも結局あまりよく眠れないので最後の手段というか、いつも使っている手を使ったのだけど、それは永井豪作画のダンテ「神曲」を読むことで、さまざまな罪と罰あるいはその罪を浄めること、のような話しを読んでいると何というか心が落ち着いてきて、わりとすんなり眠れるのである。昨日もこの作戦は割とうまく行って、浄罪篇を少し、地獄篇を少し読んでだいぶ頭と心がリラックスし、眠ることができた。

昨日からツイッターを見ていて日本とヨーロッパを含めて「外国人の振る舞いがどんなに酷いか」みたいなツイートばかり、特にイスラム系の人たちの行状が多く表示されるようになり、さすがにげんなりしていたのだが、やはりこれはと思うものをRTしたりしているのでそういうのが表示されるのだろうなと思い当たった。しばらく「おすすめ」ではなく「フォロー中」を見ていた方が精神的にいい感じがした。

***自民党総裁選についてはマスコミは露骨な小泉びいき、高市おろしをやっているようだけど、今回高市さんにならなければ自民党は終わりだろう、と思っている人はおそらく自分だけではないようには思った。

今回は高市さんではないのではという意見もあり、そういう人は林さんを推しているのだが、つまり今のような急場は林さんのような安定感が必要なのではということなのだろうけど、高市さんが満を持しても出番があるかわからない状況になってきているから、ここは高市さんに頑張ってもらった方がいいと私は思う。

***

今日は「読者とはだれか」とか「読むということ」自体を振り返る感じになったので読書メモはないのだが、「いかに消化するか」を考えながら読んでいきたいと思った。寝る前に外を見たら雨はまだ降っていた。これを買いている月曜の朝は晴れている。

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