「どんな女性が好きなのかわからない」/思想と信念のない人物がトップになる怖さ/高市早苗出馬会見と小泉進次郎氏の資質/清朝末裔の眼科医と中国の「歴史の地層」

Posted at 25/09/20

9月20日(土)曇り

朝から時々雨が降ったり、曇ったり。最低気温は17度台、今の気温は19.2度。最高気温は24度の予想。9月中旬の普通の気候なのだが、つい数日前まで30度超えだったから急に寒くなった感じがする。明日は東京へ帰る予定だが、東京の明日の最高気温は33度の予想なので、また気温のギャップが大変になるだろうなと思ったり。落ち着いた気候が欲しいものだなと思う。

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昨日は午前中母を病院に連れて行き、帰りにツタヤに寄って「君のことが大大大大大好きな100人の彼女」23巻を買ってきた。「チャンピオンRED」の11月号が昨日発売だったことにあとで気づいたのだが、まあ今日出た時に買ってこようと思う。

軽い躁状態を過ぎたからか、軽い鬱状態みたいな感じになっているところはあるのだけど、自分に向かい合える時期なのかもしれないなと思ったり。Twitterでいろいろ会話をしていて自分の恋愛観のこととかを改めて考えてみたり。少女漫画によく「理想の王子様」みたいなのが出てくるが、男性でもおそらく「理想の女性像」みたいな物を持っている人はいると思うのだが、自分には頭で考えた「理想の女性像」みたいなものはなくはない、というかスクラップアンドビルドされてる感はあるのだが、純粋に好みの問題としてこういう女性が好きという意味での理想像はないかもしれないと思ったりした。漱石の「坊ちゃん」の「マドンナ」とか、「年上の女房は金の草鞋を履いてでも探せ」みたいなある種の理想像は昔から語られているが、この辺は「どんなことをしたいのかよくわからない」みたいに考える傾向が強いのと同じで、「どんな女性が好きなのかわからない」という感じなのかもしれないなと思ったりした。

まあこのテーマはこれ以上書くようなことがない感じもするし、むしろ小説とかにしたほうがいいテーマのような気もするので書く気になったらまた改めて。

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牧野伸顕「松濤閑談」を読んでいたらアマゾンから茶谷誠一「牧野伸顕」(吉川弘文館人物叢書、2013)を読み始めたのだが、面白い。今読んでいるのはちょうど原敬内閣が成立したところなのだが、原の牧野に対する評価は非常に高く、最初は外務大臣になるよう依頼したが断られた(原より、政友会よりと必要以上に思われたくなかったようだ)ので、パリ講和会議の全権になるように依頼し、それにも難色を示していたが西園寺公望が首席全権になるという条件で引き受けた、という過程がとても納得度が高かった。

牧野は大久保の次男ということもあり、また官途の始まりがイギリスでの公使館勤めということもあって外交観も持っていて、薩摩派でありつつ官僚派でもあり外交官畑でもあるというさまざまな要素を持ったキーマン的な存在で、個人的に評価している人の元で働くという姿勢がはっきりしていて牧野が大臣になったときは二度の西園寺内閣でも山本内閣でも常に原が内務大臣を務めるという関係にあったから、「国家的な視点を最も重視し、党派にとらわれない」というのがおそらくポリシーの牧野にとっては原の内閣で大臣を務めることは完全に原・政友会よりと思われてしまうという判断があったのだなと思った。

パリ講和会議の全権を結局引き受けたのは元老的な地位になっていた西園寺とともに臨むことで「原内閣の代表」ではなく「日本国家の代表」として臨むという立ち位置を確保できたと考えたからなのだろうなと思う。そういう過程を考えると、牧野がそのまますんなりと総理大臣への道を歩むのではなくて、宮中・内大臣というまさに天皇に近侍する「国家そのもの」の中心に活動の場を求めていくのはある種の必然だったと考えることはできるなと思った。

で、結局原内閣で外務大臣になるのが内田康哉な訳だが、内田といえば満洲事変後の満洲国問題をめぐって「国を焦土にしても満洲の権益を譲らない」という「焦土演説」を行ったという記憶が強いので、昔から彼が政友会系のどちらかというと国際協調路線の内閣で外務大臣を務めてきたことに違和感を持っていた。昨日Wikipediaを読んでいたら岡崎邦彦の「彼についての記録から彼の思想信念を知ることは難しい。おそらく特に哲学のない単なる有能な事務官僚だったのだろう。したがってその行動も時流とともに変わっていく。」という評価があって、腑に落ちた感じがした。

有能な官僚ではあるが、一貫した政治的思想的信念がない、という人がトップに立ってしまった時、国は迷走するということはありがちなことだと思う。まあ国に限らず会社などでもそうだろうと思うが。内田は何度も国際協調的な姿勢で外務大臣を務めたあとで満州事変直前に満鉄総裁になり、事変後に関東軍司令官の本庄繁に会って、そこで「急速な拡大派」に転向したのだという。焦土演説については多くの関係者の失望を買ったというが、確かに日本の将来がそこで決定してしまった予言の自己成就のような感じがあるわけで、そういう人物は民主主義社会においても現れるわけだから、気をつけた方が良いと思う。

まあなんというか本庄繁は「本庄繁日記」を読んだことがあるが強烈な人物で、永田鉄山暗殺後の昭和天皇とのやり取りなどは悪意に満ちている感じがするのだが、内田のような人なら強い影響を受けてしまう可能性はあるだろうなと思った。まあ岡崎氏もある意味強烈な人物なので、評価も厳しいなとは思ったのだが。

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自民党総裁選、保守派から見た本命と思われる高市早苗さんが立候補を表明した。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250919/k10014927061000.html

https://x.com/smith796000/status/1968918745369260155

「財務省には、これをやったら成長する、10年でGDP倍増するというマスタープランを出してもらう。財務省には本気を出してもらいたい。経済を伸ばし、月収が増えて、財政状況が良くなるプランを出してほしい。」

安倍さん以来の成長路線にブレーキをかけがちなリベラル寄りの候補たちのプランに比べて、成長路線にとっていちばんの足枷と感じられることが多い財務省に対してこの注文をつけたのはなるほど、さすがだ、と思った。

https://x.com/Cait_Sith_co/status/1968966304582586591

しかし情勢的には小泉農水大臣が一番人気だ、という評価が出ているわけなのだが、もし彼が総裁になっても参政党や国民民主党に流れたいわゆる「岩盤保守票」が戻ってくることはなく、次の総選挙までには自民党は野党に陥落する可能性が強いように思われる。それなのに彼の人気が強いのは何故か、というのは難しいが、「まだ進次郎人気は使える」という期待を持っている人たちがそれなりにいるということ、「高市だけはダメだ」と考える岸田・石破よりの人たちがいるということなのだろう。

小泉氏は環境大臣時代のレジ袋有料化やメガソーラー推進など今となっては批判される政策を推進したり、農水大臣では備蓄米の放出などによって農家の反発を買うなど「キャンペーンは上手いがポリシーがなく批判されると前任者や上位者に責任転嫁する」感じがあって、以前ほどの颯爽とした印象はない。

慎重派の牧野伸顕が初めて大臣になったのは大久保利通の息子であり人脈も多かったにしては遅い45歳だったが、小泉氏は44歳ですでに二度大臣を経験しているわけで、イメージとしては近衛文麿のようなスマートな国民人気の高さのように感じる。農水大臣を引き受けた時も石破首相に「米の価格を下げるためならどんなことをやってもいいか」と確認したらしく、備蓄米という最後の切り札を惜しげもなく使うという「あとはどうするのか」ということをやった。一部の消費者は喜んだ人もいるだろうが実際に買えた人はそう多くはないのではないかという気もするし、生産者は敵に回しただろう。

そういうことで言うと、彼の「総理大臣としての資質」と言うものにはちょっと疑問符がつく感じがするし、財務省やアメリカなどから強力な思想が注ぎ込まれたらどこに行ってしまうのだろうかという懸念がなくはない。内田康哉や近衛文麿に通じる部分があるのではないかと言う感じがする。

小沢一郎元自民党幹事長が竹下内閣がリクルート事件で崩壊したときに海部俊樹氏を総理大臣に持ち上げて、「シャッポは軽くてパーがいい」といったことなどを思い出すし、自民党リベラルよりの思惑の中ではうまくコントロールすればいいくらいに思っているかもしれないのだが、「岸田院政を目論んでいる」と言う見方もあった石破政権で全くコントロールが効かなかったように、そんなにうまいこと行くはずがないと考えるべきだと思うのだが、何故か世の中には自分の力を過信する人々がいるので、変な方向にいかなければ良いがと思わざるを得ない。

ただまあ、今回の高市さんの打ち出した路線は基本的によくできていると思うので、誰が総裁になっても積極的に取り入れたら良いとは思う。ただ、提案者がそれを実行するのがいちばん良いとは思うので、高市さんがいろいろな意味で今は適任だと思う。

出馬会見の司会をやった黄川田議員が記者の容貌をイジるなどちょっと大人気ない場面もあり、この辺りは派閥で政治家として鍛えられなかったことの表れなんじゃないかとも思うし、まあいろいろ気にかかることはあるにしても、高市さんには頑張ってもらいたい。

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中国を専門とするジャーナリストの安田峰俊さんによる清朝末裔の眼科医・愛新覚羅維さんへのインタビューが面白かった。3代目の順治帝の子孫だそうだ。

https://bunshun.jp/articles/-/48076

この記事を読んでいて面白いなと思ったのはインタビュアーの安田さんの言葉で、今のパワーエリートと清朝系の人や国民党系の人は雰囲気が違う、ということだった。

確かに「今のパワーエリート」は「改革開放」の恩恵を受けた人々、つまりは中国共産党支配のおかげで成り上がることができた人たちだから、彼らは自然に共産党に対して忠誠心を持つだろう、と言うことを改めて思ったと言うことと、清朝や国民党側の人たちはむしろ「奪われた側」な訳で、共産党に対しても心理的に自然の距離というものがあるだろうなと思う。もちろんそう言うのを口にすることはたとえ日本にいても憚られることだと思うので、相当遠回しにしか言っていないから「お察しする」しかないのだが。

その辺りについては台湾やチベット、モンゴルやウイグルの人たちとはまた違った、中国共産党への距離感なのだとは思うが、共産党支配が強固なように思える中国においても、やはり一枚岩と言うことはなくて、「歴史の地層の積み重ね」でできてるのだよな、と改めて思ったのだった。


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