「大学の研究活動は日本のために大事」と言えずみすみす予算を削減される大学教授連/ニュートラルな顔をした<左翼的>専門用語/能登の被災者についてのハフポストとは思えない素晴らしい記事

Posted at 25/09/07

9月7日(日)晴れ

日曜日はなるべく早くブログを書いて他のことに手をつけたいのだが、「ふつうの軽音部」の更新があるのでついそれをじっくり読んで楽しんでしまうのだけど、まあせっかく生きているので楽しみにしていることくらいはちゃんと楽しんだほうがいいとも思うからまあいいかとは思う。

「ふつうの軽音部」については例によって考えることが多いのでまた考えがまとまってきたら書きたいと思う。

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「知性の構造」は第1章読了。西部さんという人は著書や対談などを含めて保守の思想家たちの紹介と時世についての論評などしか読んだことがなくて、本質的にどういうことを考えていた人なのかよくわからないところが多かったのだけど、この本は本当に言ってることがよくわかる感じがして、いいなと思う。

国立大学、特に地方の国立大学の予算がどんどん削られているという話、東京一極集中と私立大学の発言力拡大が背景にあると思うのだが、官僚にしても東京出身者が多くなっているように思われるし、また左翼系が支配的な大学に対して反感を持って政治家や官僚も予算を削っている面もあると思われるが、大学側もきちんと文部省や財務省、あるいは自民党や内閣にものを言える人が減っているのだろうなと思う。経済学系だとまだ緊縮予算を唱えている人も多いようで、それなら大学の予算を削られても文句は言えないよなという感じがする。

戦略的に自分たちの仕事の重要性をきちんとアピールできな人が大学教授をやっている現状は本当に良くないのだが、学問の進歩が「国のため」「日本のため」なのだ、ということをきちんとアピールしないと日本の納税者は大学に金を出すことに賛成しないだろうなと思う。日本人がノーベル賞を取るためだとか、日本の文化を守るためだとか、日本の文化力・科学力を世界に誇るためだとか、そういう論理がなければ学問に金は出さないだろう。

自分たちの仕事がいかに大事なのかをちゃんと説明できないというのは、西部さんの本を読んでいるとつまりは自分たちの仕事の意味に虚無を感じている部分があるから、ということがあるのではないかという気はするのだが、学術会議をめぐる東大新聞が調べた東大の教授たちのアンケートなどでも実際には学術会議をしきる左派への反発はかなりあることはわかるし、そういう「声なき声」がちゃんと反映されるように関係者の努力を望みたいようには思う。現状はアカデミズムの左傾化が日本全体の緩慢な自殺を招いているように思われる。

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沖縄の年中行事についてちょっと考えていたのだが、これも近代以後に「つくられた伝統」の部分も多分あるだろうになあ、ということを思ったのだけど、どうもなんというかその言葉にしっくりしないものを感じていた。

で、よく考えてみて突然思い当たったのだが、左翼の人たちが「つくられた伝統」というときは明治以後に「気に入らない天皇制国家」によってつくられた、という意味を付加して使ってる、ということなのだと思った。伝統なんか誰かによってつくられているに決まっているのにことさら「つくられた」というのはそういう党派的な意味があったのか、と今更だが思った。

「歴史修正主義」というものそうだなと思う。歴史なんて常に修正されるに決まっているのに、自分たちが修正した場合はそうは言わないけど国家や自分たちの敵である右翼や保守派によって主張されたら口を極めて罵る。御託だと思ってないで、まじめに相手をしたらバカを見る言葉の一つだなと思った。

左翼の人たちがいう「ニュートラルな顔をした偏見用語」、というのは実際気をつけていないといけないと思う。Twitterで見かけるときはその欺瞞性を喝破する人が結構多いので読んでいてなるほどそういうことか、騙されるところだった、みたいに思うが、他の場所で見ると違和感はあるのだけどどこが不当なのかすぐには気がつかないことがある。気をつけよう、甘い言葉(ニュートラルな顔をした専門用語)と暗い道。

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能登半島の地震に関連して、被災者に対するアンケートがTwitterにあったので答えようと読んでいたら、その中に上のツイートの相本記者のこの記事が出てきた。

https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_6892d4b9e4b0d3424bc43bed

https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_68a53d47e4b021f222361a7a

まず、これがハフィントンポストの記事だというのは正直驚いた。本当にちゃんとしている。これに対して、アンケートを企画した東大の開沼研究室は「「ハフポストへの不信感があったが信頼できるメディアだと見直した」とする投稿がXやYahoo!コメント欄に多数見られました。これはメディア不信が拡大し社会課題として大きくなる中、メディア自信が自浄作用的に信頼回復を果たした珍しい事例とみることも可能です。」としていて、全くその通りだと思った。

しかし、逆に言えばこれらの記事の中に出てくる大新聞、特に毎日新聞は本当にひどい。朝日新聞もひどいが毎日の方がずっとひどい感じはする。毎日新聞は直ちに能登の人々に対して謝罪すべきだと思った。というか、福島に対しても酷かったが、なぜ被災者を攻撃するのか。よく言われるように、政府を攻撃する材料にしたいから被災地で復興を頑張っている被災者たちの明るいツイートに否定的な反応をするというのだとしたら、いくらなんでも人の心がないし、理解もできないなと思った。

大阪大学大学院准教授・宮本匠氏の「僕は、ボランティアや一般車両が現地で渋滞を起こして支援車両の妨げになっている、というのが『今回最大のデマ』と言っています」は、この記事を読むと母の死を知り一刻も早く現地に入りたいのに自重している人たちが、渋滞を慮って入れないでいたということを考えるとおかしいと思うし、彼らの思想が「ボランティアが主体になって被災地を再創造する」というような思想であることを以前読んだので、支援者にすぎないボランティアを主体として持ち上げることに強く道理に外れた「ボランティアの特権意識」を感じたし、被災者の心を踏み躙るものだと思った。このような考えでボランティアを進められたら被災者との間に軋轢が生じてしまう。

生徒たちの集団での避難について「親元に戻れる保証はない」「保護の名を借りた誘拐だ」「治験のために連れ去られる」などと言ったり「ビルゲイツ別荘か日本版エプスタイン島に連れて行かれ食べられる」に2800のいいねがついたりしたそうだが、ちょっと人間だとは思えない所業だと思った。

しかしこれらの記事の中で、最もひどいと思ったのは、能登で頑張ろうとしている人たち、復興を信じて頑張っている人たちに「能登ウヨ」という言葉を浴びせたということで、被災してボロボロになっている人たちがなぜそんなことを言われないといけないのか、と傷ついているのは本当に気の毒だと思った。

これはもちろん「ネトウヨ」という差別語をもじってさらに差別感を倍増させた、よくない意味で悪魔的な造語センスであるわけだが、本来「右翼」というのは政治的立場を示すだけで差別用語ではないはずなのだが日本では戦後民主主義が【公式】になって以来はほぼ「人外」というのと同じような意味で使われている。ネットでそれらの傾向が出てきたときに「ネット右翼」という意味でライトな感覚で使われ始めたのが差別語化したのが起源だが、「政府や行政の支援を頼もしく思う」とか「自衛隊の活動に感謝する」とか「故郷である能登をなんとか昔のように復興させたい」という人間として当たり前の感覚をさして「能登ウヨ」と切り捨てようとしているのは、凄まじいまでの人外の所業であると思った。

私などは、「能登を復興させよう」というのが「右翼」なら「右翼」でいいじゃないか、と思うし、あるいは、「能登や福島などの被災地はいつまでも悲惨であるべき」という願望をちらつかせる人たちの方が正しいはずはないので、「右翼であることこそが正義」であるとも思う。

まあそれは私の個人的な思いの部分もあるが、ともかく、もともと本来こんなことに政治を持ち出すことがおかしいのであって、日本という災害の多い国に住んでいる以上助け合うのが当たり前なのに、それを政治的に捻じ曲げ利用しようとする「新聞」や山本太郎氏などの「政治家」、誹謗中傷を広げる人々、「ボランティア特権を主張する専門家」など、おかしいところは多い。こういうことにしっかり反論しなかった岸田政権も問題が多い。これは福島の時の民主党政権もそうなのだが。

まあ、いずれにしてもハフィントンポストの記事は大変良かった。そしてアンケートの内容(回答する質問)にも非常にウケた(回答して貰えばわかる人にはわかると思います)のだが、その内容を引用してしまうと結果にバイアスがかかる恐れもあるので、結果が発表されるまでは自重しようと思う。


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