高校野球(部活動)における「教育」とは何か:握手拒否とACジャパン/死に体内閣とトランプ関税/将棋界における世代間ジェンダー観対立

Posted at 25/08/08

8月8日(金)晴れ

鹿児島や宮崎の方では線状降水帯が出ているとのこと。当地では朝の最低気温が19.1度、だいぶ涼しかった。今日の最高気温の予想は31度。昨日は午前中にかなり雨が強かったこともあって30度に乗らなかったようなのだが、松本でも32度近く行っているので、そう考えてみると当地の夏は他の地域に比べると凌ぎやすいのだなと思う。

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暴行事件を起こした広陵高校が甲子園に出場し、一回戦の旭川志峰高校に勝利したのだが、Twitter上ではほぼボロクソに言われていて、出場している選手の誰が事件に関わっているかなども示され、また新たな告発がFacebookに上げられるなどの状況の中、応援席もブラスバンドもチアガールもいなくて、試合終了後の挨拶でも対戦相手の選手たちに握手を拒否されるなど、ほとんど針の筵の状態になっていた。

試合に勝ったのはおそらく広陵の投手がかなり良かったことで、高校野球では基本的に投手のいいチームは勝ち上がることができるから、かなりいいところまで行く可能性はある。ただ、民放で放送された試合はコマーシャルが差し替えられてACジャパンになっていたということなので、なぜそこまでして出場させたのかに関し、疑問符はつく。

こうなったのは被害者が明らかにした暴行の内容がひどかったことと、開会式の後のタイミングで暴露されたこと、すでに「厳重注意処分」が行われ出場停止もなかったことが学校側から明らかにされたこと、広陵高校の校長が県高野連の幹部であったことによる「お手盛りの処分」であったのではないかという批判、こうした通常なら出場辞退をすると考えられた状況の中で強行出場したことなどがあるだろうと思う。

学校側も揉み消しに走り、警察も大会が終わるまで動かないと言っているらしく、原爆忌という広島にとって重要なタイミングの日に絡めて話が出てきたことなど、最悪の展開ではある。

高校野球、また部活は教育の一環だ、という建前で行われているわけだから、関係者にはこれが本当に教育効果が上がる判断だったのか、ということは考えを明らかにしてもらいたいし、教育行政の最終的な責任者である文部科学大臣がどう考えているのか、ということも示してもらいたいと思う。

こんなことが放置されているようだと今進んでいる部活動の見直しもさらに現場の願いと違う方向に動く可能性は大きくなるし、対戦校の校長や監督、また高校野球関係者や部活動、先日当選した鈴木大地スポーツ庁長官をはじめとする体育行政関係者も、見解を明らかにし対処について発言すべきだと思う。国民の部活動に対する目を厳しくしないためには、関係者による自浄がなければならないだろう。

しかしこういう事態になっているのも国政選挙に連敗しながら政権にしがみついている石破首相の妄念への反発も影響しているようには思われる。今日は自民党の両院議員総会。保守系の議員からは石破総裁に辞任を求める声が出るだろうと思うし、もう遅くはあるが今からでも首相は決断すべきだと思う。

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トランプ政権の関税措置が日本側で言われていることとかなり違っているという点について、赤澤氏がまた渡米して「ミスを指摘」しているようだが、どうなるのだろうか。確かにこれは交渉関係者の間の合意の細かい点が、合意文書がないために政策を実行する官僚の側が勘違いしている可能性はあるわけで、日本で伝えられている合意通りには少なくともなって欲しいとは思うが、交渉の仕方や文書を作らないという特殊なあり方が本当にこれでいいのかという点に関しては疑問がある。

こうした点も今日の両院議員総会では指摘されるだろうし、広陵高校の問題についても文相や首相に見解を尋ねる場面もあるかもしれないが、いずれにしても死に体内閣ではまともに対処できないということもあり、ここはもう一度総裁選をやればいいのだと思う。石破氏が再当選すれば総裁を続けられるわけだし、執行部の思惑通り2度の国政選挙で保守派の議員はかなり減っているのだから、そうなる可能性もゼロではない。

いずれにしても国政の停滞を作らないためには、少なくとも一度石破さんが辞任して出直したほうが良いと思う。左派が石破さんをどんなに支持しても、彼らは自民党に投票することはない。幻想の支持率に頼った世間運営は危ういだろう。

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日本将棋連盟では次期会長に女流の人が就任し、また女流のトップ戦である「白玲」を五期獲得したらプロ棋士(つまり四段)になれるという制度ができたわけだが、それに対して棋士のトップである藤井聡太7冠がその場で強く批判していた、ということが明らかになった。

https://www.dailyshincho.jp/article/2025/08070540/?all=1

「総会の参加者は誰もが“藤井さんが手を挙げた”と驚いていました。しかも彼は、最前列に座り、清水新会長や羽生前会長、理事たちと最も近い位置にいた。会場に緊張感が漂う中、藤井さんは“棋力の担保は取れているのでしょうか”などと発言したのです。その口調は、普段テレビのインタビューなどで見られるように淡々として、表情も冷静でした」

もともと棋界では男女問わず三段リーグで勝ち上がれば棋士になれるわけであり、年齢制限があって棋士になれないまま世間に出なければならない男性も多く、数多くのドラマやマンガなどの題材にもされてきた。一方女性は「女流」という制度があり、女性同士の戦いの中でそれなりの地位を得られるようにはなっているので、将来に対するリスクは男性に比べてもともと少ない。そうした状況の中で男子にはできない手段によって棋士になれる、というのは著しく公平性を欠く、というのはもっともな主張だと思う。これは大学入学試験や大学教員採用などに見られる「女子枠」と同じ問題であり、特に子供の頃からジェンダー平等の環境の中で男子の優位性を否定されながら育ってきた若い男性棋士たちには納得がいかないことだと思う。

まあこれに関する感想は、羽生さんもヤキが回ったな、とか麒麟も老いては駑馬にも劣る、みたいな感想になってしまうわけだが、明らかに次代の将棋界の中心となるべき藤井七冠がそうした発言をしたということは、若手の間では納得感が広がっただろうと思う。

今後は「女子枠」で棋士になった人に対してはより強いプレッシャーがかかることになるだろうし、本当に激しいプロの世界でやっていけるのかは制度が実施されてみないとわからないわけだけど、ジェンダーをめぐる世代対立は今後さらに激しくなっていくだろうなという気はした。


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