フランス革命記念日と日本で西洋史を研究することの意味/期日前投票と戸籍の読み仮名登録/電車の中で転ぶ/自分と日本と世界
Posted at 25/07/14
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7月14日(月)曇り
今朝は蒸し暑い。昨夜は除湿をかけたままパジャマを着て夏掛けをかけて寝たが汗だくだった。起きてから何度も汗を拭いて布団をたたんでから近くのローソンにジャンプとヤンマガとスピリッツを買いに行った。店員さんと話をして、「台風が来てるんで」というから「ああそれで」と答えた。一度家に戻って荷物を置いて、少し歩こうと駐車場まで行ったら車が少し濡れていて、降ったのだなと思った。ドアを開けると車内は割とひんやりしていて、やはり降ったのかと思った。
今日はフランス革命記念日。236回目である。昨日は朝のうちに東京に帰ってきていて、午前中は家にいたのだが、実家の方で食べきれなかったおかずなどを持ってきていたのでご飯を炊いて昼ご飯はそれで済ませた。
2時前に出かけて区役所に参議院選挙の期日前投票に行った。普段の日曜日の区役所での期日前投票は閑散としているのだが、随分人が多いので何かと思ったらどうも「戸籍の振り仮名」関係で来庁している人が多かったようだ。うちにもきていたが私の戸籍としては問題がなかったので忘れていた。そのせいか、普段の期日前投票の時は1階から上がらなければいけない(2階の出入り口は閉鎖されている)のに今日は二階から出入りできた。知らなかったので入るときは一階から入ったのだが、帰りは二階から出た。平日の正面玄関はスロープで上がる二階なので、そちらの方が便利は便利なのだ。
そのまま駅まで歩いて地下鉄に乗り、立ったままスマホをいじっていたら、隣の駅で発車後に急停車し、わりと空いていたために私はバランスを失って尻もちをついて背中まで転がった。すると上から「お兄さん!」の声。見ると同じ沿線に住んでいる妹がいた。
流石に笑ってしまったのだが、妹も私が乗っているのは知らなくて、派手にひっくり返って転んだ人がいたから見てみたら自分の兄だったという妹も驚いただろう。
これから弟の還暦のお祝いをもう一人の妹と買いに行くとのことだったので、少し付き合うことにした。妹が「大きなけがになった時のためにちゃんと証明をもらった方がいい」というので時刻と場所を記録し、大手町で降りて係員のいる改札に行って申し出たところ、「そういう申し出があった」という証明は出せるということだったので、その時はそんなに痛くなかったのでもし必要になったら貰いに来る、ということでその人の名前と改札口だけ記録して外に出た。
東京駅の大丸の東急ハンズでお祝いを買い、そのあと三人でお茶をした。私は先に出て、丸の内の丸善まで歩いて本を探したりしていたが、やはり尻が痛いことは痛い。電車の中で立ったままどこにもつかまらずにスマホを操作するのはやはり危険なのだなと思う。気を付けよう。
***
期日前投票済は結局、東京選挙区は迷ったが鈴木大地さん。まあ私が入れなくても当選するだろうけど。比例区は山田太郎さん。いろいろな人に絡まれて大変そうだけど、頑張ってほしい。結局自民党に2票入れた。ただ参院選後は早急に石破さん交代を望む。
東京選挙区の投票先を考えながら選挙広報を読んでいるたのだが、日本人を守れ的な主張の候補がかなり増えた感じ。前からいたことはいたのだが、参政党の印象が強いのだろう。
その参政党だが、アピールの組み立てが上手いなと思う。1日本人を豊かにする 2日本人を守り抜く 3日本人を育む。パンデミック条約に反対、と言うのだけは?だが、それ以外は先入観なく主張を見たら投票したくなるなと思った。誰か腕のいい選挙プランナーがついているのだろうなと思った。ポスターだけ見たら平野雨竜さんがかっこいいのだが、まあ今後に期待という感じかなとは思った。
***
丸善で本を見ていたのだが、「史学雑誌」の2024年度の「回顧と展望」が積んであったのでぱらぱらと読んだ。この本は、昨年一年間の日本における歴史学界の動向のジャーナルのようなものだから職業として歴史学を志す人にはいろいろと参考になる情報が掲載されている。執筆者は割と若手が多いので若手から見た歴史学界の動向というふうに考えればいいのだが、基本的に博士論文あたりでその学者の力量は見えるところがあるので、他の学者をどう意識しどう評価しているかなども伝わってくる。ただ内部にいないとわからないことはあるから、微妙なニュアンスまでは読んだだけでは分からないのだが。
日本史の分野の活発なレポートや東洋史の分野の相変わらず癖のありそうな感じのレポートも面白いが、西洋史のところを読んでいると、いつも感じていた疑問が甦ってきた。それは、「日本で西洋史を研究することの意味」である。
日本において、ヨーロッパは明治以来、追いつき追い越すべき目標であり、また一方で異文化の先進国だった。現実に帝国主義国として日本近海にやってくる彼らを知ることは「敵を知る」という意味においても、「学ぶべき先進国を知る」という意味においてもずっと重要だった。戦後は民主主義を学ぶためにも、また来たるべき社会主義革命を考える上でも研究すべき対象であり続けたわけである。
私の学生時代はちょうどアナール派の社会史がブームになっていて、日本でも網野善彦・阿部謹也といった人たちがそれぞれ日本中世史・西洋中世史の先駆者として活躍していた。私も学生時代にはそういう方向に魅かれて西洋史を専攻していたのだが、これは語学力的にも史料読解力的にも今考えれば相当なレベルを必要とするものだったなと思う。学部時代は演劇をやっていたこともあり中途半端に終わってしまった。
修士に入ったきっかけは近代民主主義というものに対する疑問から、フランス革命史の見直しを進めていたフランソワ・フュレやリン・ハントといった人たちの業績を知って学び直したいと思ったことだった。ただ革命史においてはジョルジュ・ルフェーブルやアルベール・ソブールといった唯物史観からの革命研究の正統派よりはフュレらのグループの影響力が大きくなっていて、革命200年の1989年のあたりから、(ちょうど天安門事件とベルリンの壁崩壊の年でもあった)フュレらの議論が優勢になっていった。私が読んでいたのはその時代のものだったが、どちらかというと論争的なものが多く、正統派の議論をしっかり理解したうえでないと論争の意義もわかりにくい感じがあり、そこに精通していくことをやりたいわけでもないなと思ったので最終的には地方都市における革命はどのようなものだったのか、ということを指導を受けて研究する感じになった。
革命史は調べていてふつうに面白いのだが、文明論とか国制論とか考えてみたいことも多かったし、歴史以外のこともやりたいことも多くて結局最終的には大学を離れて自分なりに考えて調べていく方向になったかんじである。自分のやりたいことにちょうどマッチする進路を見つけられなかったことは残念だったが、まあそういうこともあって今でもこうして文章を書いているわけだが。
現代はすでに西欧諸国は日本が目標とすべき国々だとは必ずしも意識はされていないわけだし、社会主義圏が崩壊したことによって社会主義革命という目標もなくなった。私がフランス史の文献を読んでいても、フランスの地方の大学の研究者の論文など読んでいると、地元の歴史への愛みたいなものがあるし、私が研究していた都市の年代記的なものを読んでいても、自分たちの街への誇りのようなものが感じられる。私は読んでいて、そういうものは自分は共有できないわけだし、立場も違う。フランス革命史は世界史的な事件だというけれども、違う面から見れば「遠い国で起こった昔の出来事」にすぎないという側面もある。革命史はある意味フランス人のものであって、それなら日本人である私が日本で研究することにどれだけの意味があるのか、ということを考えてしまっていた。
勿論研究というものは人類に遺産として残すべきものでもあるから、どこの国の誰が何を研究しても構わない。しかし現代の弥助騒動を見ていても思ったが、日本史をきちんと研究していない外国の研究者が思いつきでわずかな事例からファンタジー的に話を広げ、それを日本側の研究者が擁護してもてはやし、多くの日本人が反発する、というような事例を見ていると、歴史研究やその国の歴史、またその国の人たちの歴史に対する見方へのリスペクトのない研究がどういうことになってしまうかの悲惨な例を見せられているわけで、同じようなことを日本人が他国についてやってしまうこともあり得ないことではないなと思う。
また現在の世界で一番影響力の大きな国は当然ながらアメリカなのだが、アメリカ史に関する蓄積はヨーロッパ史や中国史に比べれば非常に少ない。敵としても味方としても歴史からアメリカを知ることはとても重要だと思うし、トランプという現代においては特異な大統領もアメリカのわずか500年足らずの歴史にもっと精通していれば必ずしも特異な存在ではないし、アメリカ史においては関税政策もずっととられてきたことだから、そんなに不思議な発想ではないのである。少なくとも今ヨーロッパ史をやるよりは「日本のため」になるのはアメリカ史研究だと思うのだが、そのような方向の発想があまり見られない(「回顧と展望」においてもアメリカ史のページは非常に短かった)のは、歴史学、特に西洋史学というものの構造的な問題ではあるだろうと思う。
まあそんなようなことを考えていて、結局は立ち読みしただけで「回顧と展望」は買わなかったのだが、フランスにしても知るなら革命史研究の現在もいいけれども、まずは現代フランスだなと思い、明石書店のエリアスタディーズを少し立ち読みした後、地下鉄で地元に帰ってから図書館で「現代フランス社会を知るための62章」を借りてきた。
***
世界の未来を考えることも大事なのだが、まずはどの立場から世界を考えるかがはっきりしていなければ、まわりの国々やある思想の集団に絡め取られて終わることになるだろう。自分自身もそうだが日本のことを考えた先に世界のことがあり、また世界のことを考えた先には自分の国のことに、また自分自身のことに戻って来なければならない。
世界がどういう方向に動いているかというのは大体は知っておいた方がいいけれども、日本はそれに合わせるべき部分と合わせてはならない部分があるだろうと思う。それを考えるためには結局は自分自身の、また日本人としての、そして人間としてのアイデンティティというものがあるのだろうと思う。曲面や情勢が違うからそのすべてが常に一致するわけではないし、こういう世界が理想だとは思うが自分としてはそういう世界は住みにくいなと思ったり、世界情勢としてはこうだけど日本としてはその方向に動くべきではないということは常にある。そのあたりを区別しながら、それでいて自分らしさや日本人らしさ、人間らしさも失わず、自分自身を成り立たせ、また日本も世界もよい場所にしていくことを考えていく必要があるのだと思う。
今朝はそんなところで。マンガの感想などはまた書きたい。昨日転んだこともあるので今日は少し大人しくしていた方がいいかなとは思っている。それにしても毎日何かしらしでかすな。ブログ/noteを書くためにやっているのではないのだが、ネタにはしてしまっているけれども。
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