「海が走るエンドロール」8巻:カイの笑顔とうみ子の亡夫/「だんドーン」80話:薩英戦争/官僚の福澤諭吉と政治家の勝海舟/芥直両賞受賞者なし/シリア空爆/左派リベラルからの安倍支持
Posted at 25/07/17
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7月17日(木)曇り
天気がはっきりしない日が続く。昨日も午前中は晴れ間も出て28度くらいまでは上がったが午後は曇り、暗くなる頃から雨が降り出して夜遅くにはかなり強い雨が降っていた。関東甲信はまだ梅雨明けしてないのでおかしくはないのだが。今日も午前中は雨の予報だったが今のところ降っていない。雨雲レーダーを見るともうすぐ降るのではという感じだが、雲がかすめるように通過しているのでどうなるか。
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「海が見えるエンドロール」8巻読了。この作品を読みはじめたのは「このマンガがすごい!2022」の女編1位だったのがきっかけだが、それから3年半ほど経っているということか。次の9巻で完結とのことなので、物語もいろいろそういうことを暗示しているエピソードが入ってきているが、65歳で美大に入り直して映画監督を目指している主人公うみ子が乳がんと診断され摘出手術を受けるというエピソードの前後で今までほとんど出てこなかった亡くなった夫が出てきて、AKIRAのポスターが貼ってあるとかそういう年代的な手触りであるのが、ああそうかこの人は私より少し上の世代、という設定なんだなと思ったり。この巻で一番印象的なのはもう1人の主人公・海(カイ)がよく笑っているということだった。今までほとんど笑顔を見せていなかったので、少しギクシャクしていたうみ子と和解した時の破顔一笑の顔などはとても印象に残った。
低予算ドラマの現場でベテラン俳優がスタッフにキツく当たるのに出演者でもある海がクレームをつけて監督に注意されるのだが、監督の過去作を見て気を取り直した海が監督に元気をもらった、と伝えたことによって、監督も自分のプライドを取り戻す、みたいな展開は流石に青いというか女性マンガ的な正義感だなとは思ったが、この辺は海もまた単なる役者ではなく監督志望でもあるということが意味があるのだろうなとは思った。まあ描き方としては現場でこの言い方で本当に通るのかなとは思ってしまうけれども。
9巻も楽しみにしたい。
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Dモーニングで「だんドーン」80話を読んだ。薩英戦争直前の女子隊のエピソードが上手いなと思った。川路の祝言は藩命で何度も延期されていたが、今回はいきなり新婚になっていて、祝言が出てこなかったのが少し残念だった。薩摩の下士の祝言がどんなものだったかは少し興味があるのだけど。
今後の展開を予習したくなって薩英戦争についてWikipediaで読んだのだが、イギリス側が桜島側にも砲台があったのを知らなかったとか、かなり舐めてる感じがあった。可笑しかったのは戦後の薩摩とイギリスの交渉に幕府が仲介に立ったが文書を翻訳する担当だったのが福澤諭吉で、彼の急ぎの翻訳のためにイギリスの要求する処罰対象が生麦事件でリチャードソンを斬ったものたちでなく藩主だと誤解されて交渉が難航したという話だった。
その翻訳を福澤がした、という事実が興味深かったのでさらに福澤の経歴を調べると、咸臨丸での渡米時には福澤はまだ中津藩士で、木村摂津守の従者という立場として乗船していたのだが、帰国後は「幕府外国方、御書翰掛、翻訳方」に登用され他とのことだった。彼はその後も幕府の使節団のメンバーとして渡欧・渡米もしているが、日本にいる間は翻訳方として各国との外交文書の翻訳などにあたっていた、というのは初めて認識した。
咸臨丸と渡欧の間にはヒュースケン暗殺や水戸浪士英国公使館襲撃があってその関係文書の翻訳を行い、渡欧後は薩英戦争後の交渉文書の翻訳にあたったのだという。そして禁門の変後の元治元年には「外国奉行支配調役次席翻訳御用」として御目見以上の身分として正式に直参旗本になったということだった。
福澤に関してはどうしても海外渡航の経歴ばかりを今まで見ていたが、お雇だったり幕臣としてだったりにしても幕府の外交の中枢にかなり関わる位置にいたのだなと思った。幕臣に採用されたのも意見の言える立場にして献言を受けるのが幕府側の狙いだったという事だろうう。
福澤が明治維新後、旧幕臣として新政府の役職にはつかず、慶應義塾等教育その他の民間の活動に専念し、新政府の役職を受けた勝海舟を「痩せ我慢の説」で批判したことはよく知られているが、それはいわば「日本国全体を見る政治家」として江戸開城等に関わった勝と、割合純粋な意味で「幕府外交官僚」として幕府勤めをした福澤の立場の違いが、その後の身の振り方にも現れているのではないかという気がした。
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令和7年度上半期の芥川賞・直木賞の選考委員会が開かれ、両賞とも受賞者なし、という結果になったそうだ。これは1998年以来のことだそうだが、やはり該当作がないと判断した年に受賞作を出さないのは正しい判断なのだろうなとは思った。しかし作家さんたちのツイートを読んでると、「受賞者なしだと書店が大変・・・」みたいなポストが多くあって、ちょっとなんだか本末転倒な気もしたが、もちろんこの二つの章を始めたのは文藝春秋を経営していた菊池寛だが、当然「小説を売る」ことも狙いの一つではあるのだろうとは思った。そうなると逆に受賞者を出さないことが本末転倒ということになるが、どの作品も読んでないのでなんとも言えないけれども、選考についての各選考委員の意見はどこかで出てくるだろうから、それを読んでみたいなと思った。
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イスラエルでは連立政権から超正統派が離脱し、それと関係あるのかわからないがいきなりネタニヤフ政権がシリアに空爆を始めたらしい。ネタニヤフも政権を失ったら手ひどく失脚する可能性はあるので、どこに対してでもいいから戦争を継続したいという意図なのだろう。誰かがちょっと止めないと大変なことになるようには思った。
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安倍政権の支持者には実はリベラルな人や左寄りの人も結構いて、そういう人たちも含めて参政党に流れているのではないかという指摘を読んだのだが、そういうことも十分あり得るとは思った。リベラルと言っても「アベしね」などという異常な人たちばかりであるはずはないわけで、政治的には強硬であっても経済的には左派的な拡大政策を取る安倍政権を消極的にしろ支持していた人はいただろうなとは思う。彼らは簡単に言えば安倍元首相や自民党の政治家たちが有能だったから支持していたわけだから、何をやっても裏目に出るような石破政権に付き合う義理はないわけで、鵺的な参政党にそれぞれの魅力を見出して支持に回ったということは十分あるようには思った。
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