トランプ関税25%と日本の対米外交の未熟さの裏にあるアメリカ理解の貧困/参政党は「オウム」ではなく国民の不満を呑み込んで巨大化する「カオナシ」である/「ほぼ熱帯夜」と「暑い夏の蜂の巣」

Posted at 25/07/08

7月8日(火)曇り

昨夜はほとんどずっと24度台という四捨五入して熱帯夜、という状態で、夜9時過ぎには2階の部屋で就寝したのだが部屋に熱がこもっていたせいか一度寝てトイレに起きたらまだ10時半で、え?と思った。それからもう一度寝て起きたら3時過ぎで汗をびっしょりかいていて、もう一度寝るか風呂に入るか迷ったがもう一度床に入り、結局4時過ぎに起き出して布団を出して一階の座敷でも寝られるようにした。そういえば去年もこの時期は暑くて2階では寝られなかった気がする。七、八、九月くらいは一階で寝るつもりにした方がいいかもしれないな、と思ったり。真冬は寒くて1階で寝る(暖房の残りの暖かさがあるため)こともよくあったが、在来工法の日本家屋というものはなかなか気候変動の時代には苦しいものがあるかもしれない。

朝起きてから新聞をまとめたり郵便物や書類を整理したり。少し前の新聞に親戚の人がイベントの主催者として顔写真入りで出ていて、そういえば母が言ってたが新聞を確認してなかったなと思ったり。1週間の予定を確認して、今週の仕事のイメージを掴んだり。日月が休みなので、火曜日が1週間の始まりという感じがある。私は元々めちゃくちゃ汗をかく方なのだが、調子が悪い時はあまり汗をかかないので、最近は本当に汗をかくからまあそれはいいことだと思うのだけど、1日に何枚もシャツ(下着)を替える感じになるので困る。

今朝も、室内を一通り片付け、ゴミをまとめて車で出かけるついでに出しに行き、少し離れたセブンでカフェラテと水を買って、最近は駐車場が渋滞を起こすほどの混雑らしい湖が一望できる公園(「君の名は。」の聖地になってるということもあるらしいが)に朝のうちに出かけて、パノラマで写真を撮ってみたりした。地元の人と思われるおじさんたちが草取りやトイレの掃除をしていたのでトイレは使えなかったが、戻ってきて作業場でマンガの整理を少しして、少し草刈りもした(昨日もやったが10時過ぎだったから暑くてすぐギブアップした)のだが、少しやっただけなのにめちゃくちゃ汗をかいて、結局帰ってきてからもう一度シャツを替えることになった。

昨日は10時過ぎに作業場の周りの草刈りをしてきたのだが、あまりに暑いので適当に切り上げようとしたら車庫の中に蜂の巣ができているのを発見し、スプレーで追払いゴミバサミで挟んで退治。やれやれと思って実家に帰ってきたら、実家の軒先にも蜂の巣ができていて、こちらはまず竹の棒で巣を叩き落としたあと脚立を持ってきて上に登り、側面からまだウロウロしている蜂をスプレーで追払う、という二段階。蜂とはいえ続けて殺戮するのは気が重くはあるのだが、まあ人間様の生活のためには仕方がない。南無妙法蓮華経。草木国土悉皆成仏。10時から始めて11時前には終わるつもりだったのに、アクシデント二連発でお昼までかかった。暑い夏は、なぜか蜂の巣が目につくところによくできる。

***

トランプ関税、日本は25%とのことだが、これは結構手加減してる感じがある。イギリスと同じように10%で手を打っておいたら良かったのにと思うのだが、前例重視の官僚や頭の硬い石破さんなどでは要求貫徹しか頭にないのかもしれないなとは思う。トレンドが変わった、少なくともトランプは変えようとしているということに、どう付き合うかの方針ができていない。

https://jiji.com/jc/article?k=2025070800042&g=int

これでも正直言ってクリントン政権でやられた日米構造協議とかに比べれば全然マシだと思う。その辺のセンスや大局観が新自由主義パラダイムで育った官僚や政治家に欠けてるように思う。

日米関税交渉について特に思うのは、相手が現状をどう捉えているのか、相手がどういうふうに問題の解決を考えているのかをちゃんと理解すること、つまり「相手の話をちゃんと聞くこと」から始めるべきだと思うのだが、石破さんにしろ赤沢さんにしろ官僚連にしろ、その基本が全然できてないようにしか思えない。縁を切ってやってける相手ではないのだから、まず話を聞かないとダメだろう。

トランプが常々言っているように、アメリカの製品市場を日本をはじめとする各国にいいようにとられてきた、というのは端的に事実だということはしっかり認識する必要がある。それはもちろん日本側の努力の結果でもあるし、アメリカ側の製造業への不熱心さによるものでもあったわけだけど、だからお前が悪いんだ、ルールを勝手に変えるなと言っても関税をかける権利は基本的には輸入国にあるわけだし(まさに関税自主権)、トランプがそこを変えたいというのだから、じゃあ一緒に考えましょう、くらいやらないとダメだろうと思う。

話を聞いていると、日本側の都合だけ主張して、今までこういうルールでやってきたのだから変えるのはおかしい、変えないでくれと言ってるだけに見えるのだが、それでは話にならないだろう。石破さんは一方的な被害者みたいな顔をして断固筋を通すみたいなこと言ってるけれども、トランプが言ってるのはそういう筋論の問題ではない。自由主義世界の発展のために、アメリカは市場を世界に開いてアメリカへの製品輸出によって世界各国、特に日本をはじめとするアジア諸国が繁栄してきたことは確かで、アメリカでもITや金融関係は巨利を上げたけれども、労働者層はその恩恵から疎外されてきて、それがトランプ再選につながっている、という現状を認識した上で話し合わなければ仕方ないだろう。相手の事情や相手の主張をまずは聞かなければ、こちらの事情だって聞いてもらえないに決まってるだろうにと思う。

アメリカというのは本質的に感情的な国なのだと思う。特にトランプはそうだろう。だからUSスチールの件のように、最終的に相手に花を持たせるようにすれば上機嫌で引っ込んでくれる。むしろ扱いにくいのは自分が頭がいいと思ってる民主党系で、彼らには根本的に反日・侮日感情があるので構造協議みたいに手も足も出ずに全面敗北になったりさせられる。

遡ってみれば、FDルーズヴェルトも対日レイシストだという本質が掴めていたら日本側ももっと慎重に行動できたのにと思う。テディ・ルーズヴェルトが親日的だったからそこが掴めなかったのだろうし、今より遥かに大統領の個人的思想やアメリカの事情を掴みにくかったことも事実ではある。

日本人は基本的にずっと親米で、でも時々ペリーにしろルーズヴェルトにしろめちゃくちゃ日本にかましてくる奴はいる。英仏の帝国主義がひどい時代は日本には基本的に親切だった。中国市場で競合したのがケチのつき初めで、うまく協調してやるチャンスはあったのに、こういう時になると出てくる「先行したために得られた利益を他の国と分け合うことを拒否するナショナリズム」に駆られた連中に潰されたという経緯はある。

もともと日本人が急に反米感情を高めたのは1924年のカリフォルニアの排日移民法だったわけで、右翼がアメリカを敵視し始めたのもそこからだ。これもいわば80年代の自動車輸出のような「集中豪雨的な」移民の増加とその活動が原因だったわけで、今の日本人なら当時のアメリカ側の気持ちも理解できるだろう。

いずれにしても親米だけでも反米だけでもダメで、アメリカという国と国民、また指導者たちの都合をよく理解してその動きに対処していく必要がある。明治の元老世代は本当に臨機応変だったが、官僚外交官・大国時代に育った政治家・軍人ばかりになると夜郎自大になって敵を知り己を知る基本がなおざりになったのが敗因だったのだと思う。これは日本の教育の、特にエリート教育の欠陥なのだろうと思うが、トレンド(天下の大勢)に乗ることばかりを重視して、トレンドが変わった後まで考えにいれる大局観が養われていないことが多い。つまりは、「自分の退職後のことなど知ったことか」という近視眼的な見方でもある。これは今なお日本企業や官僚機構の宿痾でもあるように思う。

また、日本がアメリカについて本質を全然掴めなくて石破さんを含めて頓珍漢なことばかりやるのは、日本の人文学のアメリカ研究の蓄積が対ヨーロッパや対中国に比して貧弱だから、というのも大きいと思う。人文学は役に立たないとよく言われるが、最も理解しないといけないアメリカに対する研究が手薄な人文学が重視されるはずはない。

例えていえば、みんな軽薄に教育問題について語るのは、自分が受けてきた教育についての感想を持ってるから好きなことを言う、と言うところがある。教育行政や指導要領の変遷について知ってるわけでもないのだから、本当は専門家でないとわからないことも多いのに、である。

それと同じで、最も出かける人が多い国であるアメリカに対しては、皆それぞれがアメリカ観を持っているから、分かったつもりになりすぎているということだろう。だからトランプ現象とかが起こると恐慌をきたしてあれは本当のアメリカじゃないとか言い出すのだが、ちゃんとした人文学者ならすでに十分予言していたことであって、単に勉強不足なのである。

戦前はアメリカについて分かってるつもりの松岡洋右外相が大失敗し、日本を破滅に導いたが、石破さんがそうならなければいいが、どうも怪しいと言わざるを得ないところはある。

***

オウム真理教が出てきたときに1990年の総選挙で展開した「真理党」と、現在の参政党を比べてる人がいるが、この両者は時代も本質も全く違う。オウムが出てきたのは80年代価値相対主義の果てであり、魅了されたのはむしろ高学歴な人たちだった。35年後の現在は、冷戦終結後の新自由主義の時代が終わり、その矛盾が爆発している状況であって、ある意味世界的なトレンドとしての反グローバリズムによって、「日本人ファースト」が支持を得ているわけである。そして魅了されているのは「普通の」人たちである。

この「日本人ファースト」をはじめ、反緊縮、反増税をちゃんと言ってるのがこの選挙で参政党しかないのだから、当然ながら支持は増えるだろう。支持される金城湯池をほぼ独占している状態なわけである。

調べてみると、参政党は怪しげなところとは大体繋がりがある(逆に言えばそこがすごい)。アムウェイとの繋がりが指摘されていたが、どういう繋がりなのか不思議に思って調べてみると、アムウェイが売っているものは 「化粧品や栄養補助食品、浄水器、空気清浄機など」とのことなので、やはり「オーガニック」とか「自然派」系での繋がりなのかなと思った。

参政党というのはおそらく「千と千尋の神隠し」の「カオナシ」のようなもので、なんでも飲み込んで大きくなってきたのだと思う。そして飲み込んできた一番大きな思いは「日本人が大事にされてない」という思い。外国人に迷惑をかけられても我慢しろと言われたり、犯罪に遭っても警察にまともに取り合ってもらえない、というような話をみんな聞いているのだから、「まず日本人のことを考えてよね?」と思うのは当たり前なのだと思う。

「千と千尋の神隠し」では、カオナシは理解してほしい相手である千尋に拒絶され、ニガヨモギの団子を食べさせられて全てを吐き出して元に戻るわけだが、日本の現実はまだどうなるかはわからない。参政党が飲み込んだ多くの日本人の感情をどのように着地させられるかが、今後の日本政治の課題になっていくことは確かだろうと思う。

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