「健康で文化的な最低限度の日本ナショナリズム」/「絢爛たるグランドセーヌ」144話&28巻:世界のバレエの未来を守る日本人少女ダンサー/生産者&消費者主権/寝落ち:悪魔の誘惑
Posted at 25/07/19
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7月19日(土)晴れ
昨日は梅雨明けが発表され、朝の気温は涼しめだったが日中は28度くらいまで上がり、梅雨の中休みの時ほどではないがそれなりに暑い夏が戻ってきた感じだった。
午前中に母を病院に連れて行き、帰りに少し離れた書店へ行ってチャンピオンREDの9月号と「絢爛たるグランドセーヌ」の28巻を買おうと思ったのだが両方ともなくて、思い直してTSUTAYAへ行ったら両方ともあった。どちらの書店もマンガを置いている傾向が以前と変わってきていて、なかなか探しにくい。電子化と関係もあるのだろうけど。
昨夜はソファで寝落ちしてしまい、目を開けたら2時を過ぎていた。着替えて歯を磨き、寝床に入ったがうとうとして4時半過ぎには起きた。やはり寝落ちは良くない。というか夕食後に横になるのがいけないのだが、あれは悪魔の誘惑というかとても気持ちがいいのはなぜなのだろうか。
今日は夜妹たちがきて、明日は弟と母が来て、皆で旅行に出かける予定なので、朝起きてから座敷の片付けなどする。普段は下座敷を居間兼仕事部屋にしている(つまりこの文章もそこで書いている)のだが、ノートや本や書類などをテーブルや椅子の上に置いた本棚に置いてすぐ手が届くようにし、また起ききれない書類や本、漫画やその他のもの、また洋服などを上座敷に置いているのだが、そこも寝られるくらいには片付ける。梅雨の中休みでめちゃくちゃ暑かった時期は上座敷に布団を敷いて寝ていたが、ここのところは一応2階でも寝られるので上座敷に誰か寝てもらう予定ということもある。片付けるということもあり未整理のままだった書類などもそれなりに分類してBOXに入れたり、とりあえず2階に運んだりなどしていた。
だいたい片付いてから車でガソリンを入れに出かける。職場に出て少し用事をしてから国道を走って隣町のスタンドまで行ったのだが、最近いまいち高い。習慣化しているし24時間で開いているスタンドがあまりないこともあり同じところに行くのだけど、割と空いている。しかし周りのスタンドより値段が下がると激混みになるわけで、まあ痛し痒しではあるなと思う。入れるのは結局20ℓくらいなので5円違っても100円の違いだとも言えるのだが、100円あればコーヒー一杯買えるなということもあり、まあ車を運転する人は色々考えるだろうなと思う。
丘の上のデイリーまで行って塩パンとフルーツケーキの切り落としを買って、久しぶりに諏訪大社に行ってみることにした。前宮の前ではお辞儀だけして、本宮の駐車場に止めて参拝。空が青い。梅雨が明けたんだなと思う。帰りは西友の角を曲がって田んぼの中の道を通る。稲が青々とした田が広がる風景がやはり見ていて気持ち良い。当たり前のようでいて、なんだか貴重な気がするのは、この夏の米不足のせいだろうか。
***
https://www.nhk.jp/p/72hours/ts/W3W8WRN8M3/episode/te/N3V9X1RQ4P/
昨夜NHKでニュースを見た後に「ドキュメント72時間」で「千葉 100年の金物屋」というのをやっていたのだが、来る客来る客が大工だったり農家だったり内装屋だったり空港の近くの家の防音工事をする人だったり、クワを治しに来ていたり草刈り機を治しに来ていたり、なんというかみんな「生産」に従事する人たちで、見ていてとても気持ちが良かった。途中で一度チャンネルを変えて報道ステーションにしたら浴衣を着た女の子たちが甘えた発言をしていてなんだかみる気が失せてチャンネルを戻したのだが、日本を支え、動かしているのはやはり「生産」の地点にいる人たちなんだよなと改めて思った。「消費者主権」とか言い出したところからやはり日本はどこかおかしくなったのだろうなという気はする。
人間が生きる上ではやはり消費は重要な要素だし、学問や芸術も必要なのだけど、「主権」は消費者だけでなく生産者にもあるということをもう一度再確認しないといけないと思う。トランプが言っているのもそういうことだと思うし、日本でも「現役世代」というのはそういうことだと思う。
外国人問題にしても、日本のそうした生産点を担っている部分はすでに多くあるわけだけど、教育などの関係でグレーになったりブラックな方向に転落していくケースが多いから、文化的に日本のやり方と考え方を受け入れさせていく必要があると思うのだけど、その辺のフォローがあまり考えられていなかったりまだまだ不十分だったりするわけで、外国人を受け入れるならばその辺をもっとしっかりやる必要があるということもあるけれども、もともと特殊な部分の多い日本社会や日本文化に馴染めない人は絶対かなりいるので、受け入れは最低限にしていくべきだと思う。日本人で日本にしか居場所はないのに日本社会でうまくやれない、ないしは馴染めない人も多くいるのだから、ケアの中心はそちらにするべきだろう。
我々日本に生きる者は、日本国家とか日本政府、日本文化や日本の生産業というものをある程度以上は大事にしていかないと自分たちが不利益を受けるわけで、そういう意味ではどんな人でも「健康で文化的な最低限度の日本ナショナリズム」みたいなものは必要なのではないかと思った。
***
「絢爛たるグランドセーヌ」144話、チャンピオンRED9月号。感動した。もう何年もずっとこの作品を読んできたのだけど、主人公の奏(カナデ)がどういう子なのか、もう一つ掴めないできたのだけど、この144話でようやく心底が掴めた感じがする。
奏をロイヤルバレエ学校に導いてくれた先生であるアビゲイル・ニコルズの新作バレエ「パエトーン」の主役・ケレスに再挑戦するために、奏はそれを踊ったことがある友達のエブリンだけでなく、本公演でケレスを踊ったバクスターの終演後に押しかけて話を聞くのだが、ヒントを与えるために「何かを守りたい気持ちはある?」とバクスターに聞かれて、奏はコロナや戦争によって苦境に立たされたバレエ界を思い、「あります。バレエを、そしてバレエを踊れる世界を守りたい」と答える。
友人や家族、恋人という答えが返ってくると思っていたバクスターは驚いて、「スケール大きいね!?」と言い、しかし改めて奏を頼もしく感じる。
奏は自分が過小評価しているけれども「パエトーン」の生徒の公演としては十分に成功したとバクスターは思っているし、コロナ禍の中で奏が「何かやれることを」と考えて「オンライン・ガラ」を企画・成功させたことも「明るいニュースだった」と評価しているので、余計に奏の姿勢を評価したわけである。
私は今回のエピソードを読んで本当に感動したのだが、つまりは奏というダンサーの心底は「リーダー」なのだ、ということだと思った。今までも奏は「コミュ力お化け」と言われたり、常に前向きで明るく、常に貪欲で、怪我をしてチャンスを逃しても焦りすぎることなく、練習を重ねていくことが描かれていて、優等生的ではあるけどそれに収まらない何かを感じてはいたのだが、彼女の心底がなかなか掴めないな、という感覚があった。
もともと私はこの作品がコロナ禍やウクライナ戦争の衝撃を正面から描いていることに感動し、そこを高く評価してもいるのだけど、それが単に現代史の1ページの記録としてではなく、ドラマの中の「超え難い困難」としてそれらを扱っているのだ、ということが今回よくわかって改めて本当にすごいと思った。
当然ながら、作品連載中にコロナ禍が起こり、ウクライナ戦争が起こったというのは偶然なのだが、マンガを含め多くの長期連載作品が何事もなかったのように「コロナが来なかった世界」を描き続けているのに対し、この作品は明確にそれに向き合っていることは飛び抜けている。
そしてその困難を奏の立場なりにできることとして、バレエの世界に希望を与える「オンライン・ガラ」を企画して全世界に見てもらうと共に、その行動力は先生であるアビゲイル・ニコルズをはじめ暗い予感に心が折れかけていた多くのバレエ関係者を前向きにさせているわけで、この描写は本当に舌を巻くなあと思う。
キャラクターの心底ということに関していえば、今までもライバルである「さくら」が「弱々しい流される女を演じる」ということに激しい拒否反応を示したり、そしてその壁を乗り越えていくところ(そういう意味でフェミニズム的な部分もあるのだが、役との向き合い方とかで十分納得できる描き方である)とか、今日出た28巻では、同じバレエ団で育った「翔子」が自分がなりたいダンサー像として「美しいひとときの夢を見せたい」と見定めつつ、奏の圧倒的な生身の強さに対して恐れを持つ場面が描かれていた。おそらく翔子は「共演するためには自分がもっと力をつけなければならない」、という方向にいくのだと思うが、それぞれの将来が描かれていく中で奏だけよくわからない感じがしていた。
奏は恋愛にも鈍いし、そもそも関心がない。そうした「バレエ馬鹿」の自分では自分の経験から踊りも演技も作れない、という限界を感じていたのが、ニコルズの「物語と同じ経験がなくても踊れる、だけど理解してなきゃお話にならない」という教えを受けて、体当たりで理解していこうという姿勢が周りの人間を巻き込んでいく熱さこそが奏のリーダーシップの根源なんだなと思った。ふつうのバレエマンガかと思っていたら「ワンピース」とか「キングダム」みたいな部分も出てきて驚いているわけである。
実際、今までのバレエマンガって感覚的にダンサーになる大変さとか、つまりは「踊り」にまつわることだけが描かれてきたと思うのだが、この作品のスケールは本当に大きくなってきた。外国のバレエ学校での授業内容や他の生徒たちとの交流が描かれているのを読んだのも初めて(最近では「ダンス・ダンス・ダンスール」もそういうところが描かれているが、主人公の潤平の置かれている環境は大規模バレエ団のバレエ学校ではなく、よりプライベートな一流ダンサーが教える場所である)で、その辺もすごいなと思っていたのだけど、つまりは本当の意味で世界のバレリーナを育てている現場に取材し、それを描いていくことで世界を視野に入れたバレエマンガになっているのだなと思う。
本当にこんなにスケールの大きな作品になるとは全く思っていなかった。作者のCuvieさんの野心にも脱帽だなと思う。日本人のティーンの少女が世界のバレエ界を守ることを考える、逆にいえばそういう立場におかれた少女を描く、というのは本当に前人未到だと思う。これから先も、楽しみしかない。
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