オークショット「保守主義とは何か」が私に喚起するもの/「友情」という劇のような関係と好きな連載漫画への感情/「地獄先生ぬ〜べ〜PLUS」と「不滅のあなたへ」

Posted at 25/05/14

5月14日(水)曇り

昨日は午前中あまり外出せず、セブンに牛乳を買いに行ってお金をおろし、銀行に行って預金を補充したり記帳したり。お金の動きを今チェックしてみたけどほとんど動かしてないので、昨日は大体家の中で物を整理したり本を読んでいたりしたのだなと思う。

久しぶりに本をちゃんと読んでいる感じで、オークショット「保守主義とは何か」は読み応えがある。全部で4節あるうち昨日は2節の途中、10ページくらいのところまでしか読めなかったが、考えることとか自分の中でイメージすること、自分の中で喚起されることがたくさんあってなかなか大変な感じ。「今あるものに愛着を持つのが保守的性向」みたいな文章を読んで、普段あまり手入れしていない道具だとか適当に扱っている洋服とかが気になってきたり、不義理の多い人間関係が改めて気になったりしたわけだ。

洋服に関してはよそ行き(人に会う時など)・普段着・作業着の三段階に分けていて、まあ最近はよそ行きみたいな物を着る機会はあまりないのだけど、作業着クラス、つまり着古して汚れそうな仕事の時に着ているものとかをちゃんと洗濯したりとか、あまり普段思い付かないことに手をつけたりしていた。さあ今日は整理するぞ!みたいに頭で思っていてもなかなか整理できないのだが、自分のなかの「保守的性向」が起動するとそうなるのだなと思って面白くはあるのだが、なかなか自分でも予測し難い行動を結構するので保守という行動もある種の過激性がなくはない、というふうには思った。

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「マサイ族はかつての故郷から家にある居留地に移動させられた時、新たな土地の丘や平原や川にかつてのそれと同じ名前を付けた」というのが興味深かった。テキサスの荒涼たる田舎町にParisとつけたのも同じ保守的な感覚なのだろうか。「新しいヨーク=ニューヨーク」「新しいオルレアン=ニューオーリンズ」みたいな名前にはある種の変化に対するパッションみたいなものは感じるが、「聖ルイ王=セントルイス」「天使たち=ロスアンジェルス」「聖フランシスコ=サンフランシスコ」みたいな名前はやはり宗教的な情熱から来るのだろうな。「兄弟愛の街=フィラデルフィア」もそうか。

「アトランタ」はウェスタン・アンド・アトランティック鉄道(テネシー州チャタヌーガに至る)の起点として建設された街で1845年に命名されたというのは少し驚いた。「風と共に去りぬ」で描かれていた1864年の南北戦争の時のシャーマン将軍によるアトランタ炎上は、それから20年も経っていなかったのかと。

少し話がずれたが、アメリカという全く新しい土地に来ても人は自分の親しんでいた町の名前や聖人の名前を町につけるというのはやはりある種の保守性の現れなんだなとは思った。

人が保守的性向を持つ理由として、「変革という活動は追求されている「進歩」ばかりでなく、新たに複合的状況を生み出すものであり、「進歩」はその構成要素に過ぎない」から、変革はいつも予想以上の変化が生まれることは確実で、その利益と損失は平等には分配されない。」ということが挙げられていて、まあその通りだなと思う。夫婦別姓の法制化や戸籍の廃止などがある種の人々によって主張されているようだがそういうものに強い抵抗を示しているのはまだ日本がまともな意味で保守的だからだなと思う。慣れ親しんだ制度を変えることでどんな不都合が起こるかわからない、というのはここ数十年の一連の新自由主義的改革の中で感じた人は多かっただろうと思うし。

2節は人間の営みや人間の諸関係の中で保守的性向がよりふさわしいと感じられるものとそうでないものについて述べられている。まだ飛ばし読みしかしていないが、保守的性向がふさわしい人間関係として「友情」が挙げられているのはなるほどと思った。友情とは、友人が欠点を持っていても続くものであり、それを改善させようとは基本的にはしないわけで、もしそういう関係になってしまったらそれは普通の意味での友情とはまた違うものになってしまうというのはなるほどと思った。2人の間に親しみが維持されるなら多少の欠点には目を瞑るのが確かに友情というものの本質かもしれない。「友人という関係は、劇のようなものであり、功利的なものではない」というのは、好きな作品の連載が終わってしまう悲しみみたいな物を思わせたが、長い連載=劇に読者として付き合うということは、人間にとっては友情に近い物を感じるということなのだなと思ったり。

***

ジャンププラスで「地獄先生ぬ〜べ〜PLUS」が新連載。私がジャンプを読んでなかった時期(1993-99)の作品(つまりいわゆるジャンプ黄金期か)なのであまりよく知らないが、新連載を読んでみると昔の漫画というのはこういう絵柄だったよな、という感じがして懐かしい作品だった。

https://shonenjumpplus.com/episode/17106567265642185635

この作品の名前は聞いたことがあって、どこで聞いたのだろうと思って少し調べたら、「進撃の巨人」の諫山創さんが影響を受けた作品として挙げていたことを思い出した。大体20年ぐらい連載時期が違うから、そういう感じのサイクルで影響を受けた作家が育つのだなと思う。今の漫画としてはかなりレトロな感じがあるが、こういうのも面白いなという感じはするので、楽しみにしたいと思う。

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もう一つマンガの話では、マガジン連載の「不滅のあなたへ」があと2回で最終回とのこと。本当に壮大な作品というか、これは大今良時さんの「火の鳥」だなと思って読んでいた。最終話に向かってフシと仲間たちがどうなっていくのか、最後まで見届けたいという感じである。これも「友情」の一種だろうか。


 

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