ジェーン・バーキン/服を身につける喜びと天分を発揮して生きる幸福

Posted at 13/07/21

【ジェーン・バーキン】

Love!Jane Birkin―perfect style of Jane (MARBLE BOOKS Love Fashionista)
マーブルトロン

ジェーン・バーキンのことを書こうと思う。とはいえ、私はこの人をそんなに良く知っているとは言えない。映画も見たことはないし、レコードもちゃんと聞いたことはない。なのにどうして彼女のことを書こうという気になったかというと、彼女のファッションに魅かれるものがあるからだ。彼女は「自分らしさ」というものをよくつかんでいる。「本当の」――何が本当というべきなのか、という問題はさておき――意味での自分らしさをつかんでいる、と私には感じられる。それは「個性」を重視するパリの女性たちに受け入れられ、イギリス人である彼女がパリで――あの排外的な都で――ファッションの偶像になっているということからも、彼女がそういうものとして受け止められているということが分かるし、私もそう思う。

バーキンという名はきいたことがあったし、またエルメスの有名なバッグの名にもなっているが、そうしたブランド的な意味では私はそこに価値を求めたいとは思っていないし、また彼女自身もそんなことにはまるで関心がないかのように振舞っているところもまたいい。普通だとそういうブランドの名前などから彼女に対する関心を持つのかもしれないが、私が最初に彼女の名前を意識したのは『パリ流 おしゃれアレンジ』という本で彼女が取り上げられ、「パリジェンヌの偶像」という位置づけになっていたからだ。

パリ流おしゃれアレンジ!2 (大人可愛く着こなす41の魔法)
メディアファクトリー

この本を買ったのはもともと小説に登場させた女の子にどういう服を着せたらいいかを考えるためだったのだが、読んでいるうちにパリ流のファッション自体が面白くなってしまった。

男の服はつまらない。というのは、工夫する余地があまりないからだし、男が服について問題にするのはTPOに合わせるとか立派に見せるとかカジュアルに崩すとか基本的に「社会的な装い」がそのほとんどになってしまって、仕立てのいい服を着ているとか体に合った仕立てになってるとかそんなことばかりが問題にされるために男のファッションというものにほとんど関心が持てなくなっていた。

しかしこの本を読んでいると、どうやったら首を長く見せられるかとか、腕を細くとか足を長くとか、つまり自分をどう演出するかを徹底的に研究していることが分かり、そういう意味で自分がものを着るときにも参考にできることがたくさんあるということが分かった。そのあたりのことはこちらのエントリに書いてあるが、つまりは少ないワードローブでいかに自分を見せるかということを徹底的に考えて実践しているということが問題で、その典型的な例としてジェーン・バーキンが上げられているのが印象に残ったのだ。


【服を身につける喜びと天分を発揮して生きる幸福】

ジェーン・バーキン perfect style of J (MARBLE BOOKS Love Fashionista)
マーブルブックス
メディア・パル

ということで彼女のファッションブックを買ってみたりしたのだけど、確かに彼女は自分の見せ方を研究し尽くしている感じがする。特にフランスに渡り、セルジュ・ゲーンズブールと付き合うようになってから、その意味での才能が花開いたように思う。繊細な天才である彼氏と付き合うようになって、何でもしていいのだ、ということに突然気がついたように思う。それまで縛られていたファッションルールのようなものを突然投げ出して、自由気ままに自分の似合うものを身につけていく。往時の彼女の写真を見ていると、どれも「服を身につける喜び」に満ち溢れている。それが見る人をして共感せしめるのだし、またもともとの彼女のナチュラルな、スレンダーな魅力を存分に引き出すことに成功している。明らかに、彼女にとってセルジュ・ゲーンズブールとの出会いは人生で最も大きなものの一つであっただろう。

そう言った形での出会いは感動的だし、たとえ後年二人は分かれて別々に生きていくことになっても、その与え合った影響が永遠性を持って聖なるものになっていると思うし、それがおそらく人と人が出会うことの最も理想的なかたちなんだろうと思う。

私は人が幸福であるということはどういうことか、ということをよく考えるのだけど、結局は「その人らしく、だれにも遠慮することなく、自分自身の天分を遺憾なく発揮して生きること」以上の定義は見いだせない。写真で見る限りでは――そういう意味では私と彼女の「付き合い」は写真での付き合いに限定されているわけだけど――最もそうやって生きている人のように思える。人は幸福に生きたうえで、その幸福を超えてさらに世の中に何かプラスになるように生きることができればそれはもう理想的な行き方だと思うのだけど、彼女が東日本大震災に対する活動などもしているという話を読むと、彼女こそが幸福からさらに一歩先に歩み出した生き方をしている人であるように思えるのだ。

もちろん彼女にだっていろいろ大変なこともあっただろうけど、少なくとも写真に写された彼女にはそういうものは見えない。だから私も、そういう幸せな存在として、彼女のことを心にとどめておきたいと思うのだ。

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Title background photography
by Luke Peterson

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