高市総理の所信表明演説:「知性派国家主義者」としての高市さんの面目躍如/「優しげな時代」を求めた左派に返ってきた「国会でのヤジ」批判/「現代の音楽」
Posted at 25/10/25
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10月25日(土)曇り
今朝は少し曇っているからか最低気温は昨日より少し上がって9.3度。寒いことは寒いけれどもすごく寒いというほどではなく、2、3度の違いがかなり大きく感じるのがこの時期だなと思う。
昨日はいろいろ疲れが出てしまったのだが、今朝は5時前に目が覚めて、体調はそんなに悪くない感じ。そろそろ髪の毛が伸びてきたな、と思ったり。5時半ごろ出かけて昨夜出し忘れた郵便を投函し、職場へ行って少し用事をしてから隣町まで車を走らせて給油。山の上のデイリーまで行って塩パンを買って帰ってきた。
途中FMで「現代の音楽」を聞いていたのだが、向井航という人の作曲の「クイーン」というのが、ギリシャ神話のバッカスを主題にしているとのことだが、なんというか演劇みたいで面白かった。ソプラノの人が演技のような叫び声をあげていたのだけど、声楽にもそういう訓練はあるのだろうか、と思ったり。
https://www.watarumukai.com/#works
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高市早苗・新総理大臣の所信表明演説がどんな感じだったかを調べようとTwitterで検索してみたら、ヤジがひどかったということばかりが出てきて、なるほどそんな感じだったかと思ったり。立憲民主党の若手議員の2人が槍玉に上がっていたけれども、演説が聞き取れなくなるほどの野次は限度を超えているし、高市さんが総理大臣になったことで初めて政治に関心を持ったという人も多いと思われる中で、国会の議場で行われているのがこういう演説妨害だった、というのはそういう人たちが政治に幻滅するのを止められないのではないかという気がした。
ヤジというものは帝国議会の時代から議論や議場を活性化する要素の一つではあり、聴衆たる議員たちの気持ちをある意味代弁するものでもあるから全く意味がないとは言わないが、演説の進行を妨害するようなヤジは暴力的であるし、そうした議員たちはむしろ有権者から白い目で見られるようになってきたように思う。昭和の時代からどんどん暴力的なものに対する忌避感は強まってきていたけれども、そうした問題は主に野党側・左翼側が強く主張し、優しい社会を実現するという方向できているわけで、今のようにしばき隊的な人たちが自民党や参政党の演説を妨害するようになると、彼らの方に批判が集まるようになってきている。
権力や右派による対応が極めてソフトになってきている現在においては、左派の方がむしろ野蛮で暴力的だと思われてきている中でこうしたヤジは顰蹙を買うようになってきた、というのはある意味時代の変化である。ただこれは、「お前が始めた物語だろ」と言われて仕舞えばそうだろう、ということにはなる。ヤジのあり方のようなものも国対で議論されてもいい時期なのかもしれない。
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高市総理の施政方針演説全文。
https://www.kantei.go.jp/jp/104/statement/2025/1024shoshinhyomei.html
内容的には高市さんらしい主張が多く盛り込まれていて、「高市カラー」が出ている、という評価が強いが、そういうことなのだろうと思う。ここの政策についてはおそらくツッコミどころは結構あるだろうとは思うが、これらは今後の実施状況揉みながら評価していくべきことではないかと思う。まずは経済政策、というのは安倍元総理が長期政権を実現したのもアベノミクス政策が国民に支持されたからであり、この辺りのところは高市総理も踏襲しているのだろうと思う。
安全保障政策その他いわゆる保守的な政策についてもこの演説単体で評価すべきでないところが結構多いと思うので、その辺りはまた機会があったら描いてみたい。
今回書きたいと思ったのは、演説の特徴、方針や政策を説明するのにどういう内容の言葉が使われているのか、というところを考えたい。
石破前首相が前回の総裁選で高市現総理を破って当選したのは、決選投票で「夏祭りの夜」への郷愁を語り、そんな日本を取り戻したい、と述べたのが大きく功を奏した、という印象を私は持っているのだけど、そういう分学生のようなものがある意味石破演説にはあった。
そういう面においては、高市さんはあまりないようには思うが、別の面で高市さんらしさを出してきたと思う。
それは例えば「地域未来戦略」を語るのに吉田松陰の「講孟余話」から「事を論ずるには、当(まさ)に己れの地、己れの身より見(けん)を起こすべし、乃(すなわ)ち着実と為す」という言葉を引用した。吉田松陰は言うまでもなく明治維新をもたらした思想的指導者の一人であり、そう言う意味で近代日本の始まりを画する思想家でもある。また長州は安倍元総理の出身地でもあり、安倍さんもよく「吉田松陰先生」と口にしていたから、今回の高市演説も「安倍路線を踏襲する」と言う意味合いも込められているようには思う。
ことを論ずるには、すなわち日本の未来を論ずるには、まさにこの地、孔孟の先師たちの中国を論ずるのではなく、日本について、またその一部である長州において、またこの地に生きる自分自身について知り、識見を持つことから始まる、と言うようなことだろうか。そして「この地」と言う言葉を「日本の各地方」と読み替えて、地方自らがその地方を発展させていくこと、その力、活力が大事だ、と言う意味に使っているわけである。
これはアベノミクスの時代の経済回復を思い起こさせ、そうした積極的な金融政策や財政政策を持ち、また長州藩が自ら軍備を固めたり佐賀藩が反射炉を築いたりしたような「地方の力」が明治維新を起こした、と言うような連想につながり、日本を良くするためにはまず地方から、と言う言葉に説得力を持たせているのだと思う。
またもう一つは締めに使った聖徳太子が定めたと日本書紀にある「十七条憲法」の第十七条の言葉、「事独り断(さだ)む可(べ)からず。必ず衆(もろとも)と与(とも)に宜(よろ)しく論(あげつら)ふ可(べ)し」が引用されている。
ここはおそらくは明治維新の際の「五箇条の御誓文」の「広く会議を興し万機公論に決すべし」でも良かったと思うのだが、それを引用すると「明治国家色」が強くなりすぎると言う判断から、より時代を遡った聖徳太子の事績を引用したのだろうと思う。国会の論戦の中で民主的に議論を行い、その結果として日本の未来を前進させていこう、と言う呼びかけであり、それ自体には反対できない内容だろう。今のところこの引用の揚げ足を取ろうという動きはないから高市総理の配慮は成功したと思うのだが、いずれにしてもよく勉強されている高市総理らしい演説になったと思う。
内容的に考えるとつまり、こう言う古典を重視すると言う面から「反知性主義」ではない、と言う宣言であると言うようにも取れるし、実際高市さんは反知性主義ではなく、その点においてトランプ米大統領や安倍元総理などとは立ち方がやや違うところもある。かといって、引用されているのは吉田松陰にしろ聖徳太子にしろ日本「国家」の歴史そのものに深く関わる人たちであり、インテリ受けしやすい斜に構えた内容ではないところも高市さんらしいわけである。まさに高市さんの「知性派国家主義者」としての面目躍如という感があり、伝わる人には非常にメッセージ性のある所信表明演説であったと思う。
今後の高市総理の手腕に期待したいと思う。
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