「ジークアクス世界」は滅びてしまうのか/「知の継承」におけるササン朝ペルシャの大きな役割とローマ・ビザンツ・スペインと続くキリスト教の「知の迫害」癖

Posted at 25/06/18

6月18日(水)晴れ

昨日は午前中に母を歯医者に連れていく。医院の前の道が工事中で、いつも車を止めるのに苦労するのだけど工事の誘導の人が指示で協力してくれてすんなり止めることができた。待ち時間に、図書館に電話して「近世イタリアの歴史」の貸し出し延長を頼んだり。診察・治療後、最近の顛末の話などを母にしたり。セブンイレブンで母が欲しいものを買ったりして施設に送る。自分は家に帰って本を読んだり、昼食を食べたり。昼食後眠くなってうたた寝して、午後銀行とスーパーに行った。

昨日は急に暑くなり、30度も超えたのだが、家の中はそこまで暑くはない。ただ、午後何か頭を使うことをしようとすると少し辛い、という感じはある。どこまでやるのが健康的なのか、掴みにくいところもある。

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昨日は「図書・図書館史」の「II 知の進化と保存 ギリシャ・ローマの図書館」と「III 知は東方へ 中世の図書館」を読んだ。現在38/130。知らないことが多くてその度にいろいろ調べて確認しながら読んでいるのでなかなか進まない。

キリスト教化したローマ帝国(と教会、また後継国家たち)による「知に対する迫害」というのは思ったより酷いものだったということがよくわかったというのが昨日読んだ範囲での最大の収穫かなと思う。

図書館と大学というのは知の世界の中心地という意味で意義が重なるところがあるわけだが、最古の大学と言えばイタリアのボローニャ大学、と一般的に言われている。

しかし考えてみればカイロのアル・アズハル大学はファーティマ朝時代の970年にできているし、「図書・図書館史」を読んでいたら遥かに昔、ササン朝ペルシャの「ジュンディーシャープール学院」というのが271年に設立されているというのを知った。この「学院」はシャープール1世によって設置され、医学教育が行われていたのだが、489年にビザンツ皇帝のゼノンによってエデッサのネストリウス派の学院が閉鎖されたため、迫害を逃れた神学者や科学者がこの学院にやってきて、その後も529年にユスティニアヌス帝によってアテネの「アカデメイア=学院(プラトンの流れを引く)」が閉鎖されて、哲学者や医学・天文学・数学者らがジュンディシャープールにやってきたため、新たな知の中心になった、というのは知らなかった。ササン朝の皇帝たちはインドや中国からも招聘し、ペルシャ語への翻訳も盛んに行われたのだという。

この学院はイスラム帝国による征服後も存続したが、832年にバグダードに「知恵の館」と呼ばれる研究・教育施設ができて、大多数はそこに移り、その後は衰退して後には遺跡しか残っていないようだ。

ギリシャローマの文化はビザンツからイスラムを経てカロリングルネサンスや12世紀ルネサンスに影響したとは知っていたが、その間にササン朝ペルシャが入っていたというのは初めて知った。ビザンツも文化的には異教のギリシャローマを否定していたわけだ。

いやしかし、キリスト教が学問や科学を憎んできた長い歴史をもう一度振り返ると、原理主義的に先祖返りすれば必ず反学問(反知性主義)・反科学の党派が生まれるのはもはや必然なんだなと思う。地球平面説とかキリスト教的にはおかしくない。本当に歴史の分野に限っても知らないことは山のようにある。

イスラム世界においての知の世界の発展についてはそれなりに把握していると思っていたが、その終焉についてはあまり認識がなかった。数度にわたる外部からの攻撃により、知の世界が衰微し衰退していくことになる。

最初の打撃は十字軍による地中海沿岸地域の図書館の破壊、それからサラディンによるカイロの図書館破壊。これはサラディンがファーティマ朝を滅した時、シーア派の知の体系を破壊したということなのだろうか。この辺りの事情はよくわからない。それからモンゴルによるバグダッドやシリア都市の破壊、そして最後にレコンキスタによるコルドバ・グラナダの喪失ということになるようだ。

イスラム王朝自体はこの後もエジプトのマムルーク朝やオスマントルコ、ティムール帝国やムガル帝国など17世紀に最盛期を迎える諸王朝があるから文化が衰退したという認識があまりなかったのだけど、繊細な知の体系は外部の攻撃には弱かったということになるのかなと思う。

そして1499年、グラナダのビバランブラ広場で、枢機卿シスネロスにより大規模なイスラム書籍の焚書が行われ、100−200万のイスラム写本が失われた、というのはショッキングな出来事だなと思う。やはりキリスト教にある本質的な知への反感というものが脈々と受け継がれているのだなと思う。ポルトガル人が日本に来るわずか44年前のことである。

この辺りはレコンキスタに関連するので少し前に読んでいた黒田祐我「レコンキスタ」(中公新書)を引っ張り出してきたのだが、13世紀あたりのところで読書が中断しているので、こういう事実までは読んでなかった。(出ているかどうかはわからないが)書籍というものは扱いがしやすいようにより軽くより薄く進化していったために、こうした意図的な害意には弱い。「ワンピース」でも学者たちの島「オハラ」の書籍を巨人サウロが身を挺して守り、巨人の島エルバフに運搬して守り続けたというエピソードが出てくるが、人間の歴史においてはうんざりするくらい繰り返されてきたことなのだなと改めて思った。

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「ジークアクス」11話「アルファ殺したち」、録画して朝見たのだが、相変わらず急展開である。展開がよくわからないところがあったのでTwitterを少し読んでみたが、古くからガンダムを見ている人たちの阿鼻叫喚が溢れていて、ガンダム初心者としてはなんだかよくわからないことには違いがない、という感じになった。

シュウジが「向こう側の世界」からきた人間だということは予想通りだったのだが、シャアを救うためにやってきたララアをシャアは「この世界を守るために」排除しようとするのだけど、シュウジは逆に「この世界を終わらせにきた」という。Wikipediaやオールドファンの考察などを読んでいると、シャアと元祖ガンダムの主人公であるアムロは何度もいくつもの世界で戦って必ずシャアが負けていて、ララアの力でシャアが勝つまで戦うということになっているようなのだが、そうなるとシュウジの正体はアムロなんだろうか。

ニャアンが最終的にキシリアを裏切ってマチュを救うためにキシリアを撃つ、という展開は意外だったが、この辺りはマチュの主人公力というか、ニュータイプ的な力なのかなという気もする。またコモリ少尉が突然覚醒してニュータイプについて語り始めるのも、つまりは彼女もニュータイプだったということなのだろうか。

いずれにしても来週で最終回なのでどこにどう落ち着くのかはわからないが、私はジークアクスが初めての参入なのでこの世界が滅ぼされてしまうと残念だなと思うので、そうならない展開になってくれるといいなとは思っている。

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