育ちのいい人たち/いらいらしたときに音楽を聴く/官位不詳の紫式部の娘が従三位という高位に上がったことなど

Posted at 24/01/16

1月16日(火)晴れ

昨夜帰郷。昨日は昼頃出かけて区役所に書類を出しに行き、ポストに年賀状の返事を入れる。教員時代に教えていた女子からの年賀状への返信だが、結婚して住所が変わっていたのでこちらから出したものが届かなかったのだ。そういう感じで、転居をきっかけにしてやりとりがなくなるということは割とある。向こうもそろそろ年賀状をやめようかな、と思っていて、転居もそういう機会になるのかもしれない。

その生徒がいた学校の元同僚から年賀状が来て、リタイヤして湘南に住んでいるという。夫婦で高校教員をやっていた人たちで、90年代に片方の給料で家賃40万の大田区の一戸建てに住んでいた人たちだが、こういう人たちが金の使い方を知っているというか、育ちがいい人たちなんだなと改めて舌を巻いた。私より上の世代だから、公務員の恩恵を十分受けた人たちではあるのだが、誰もがそうできるわけではない。

年賀状のやりとりというのも、こうして周りの人たちの人生や生き方みたいなものが年に一度だけでも確かめられるというのはいいなあと改めて思った。

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午後はどこかに出かけるには時間が足りず、変な寝方をしたせいで何かを集中してやる気持ちにもなれなかったので、ずっとレコードを聴いていた。最初にチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を聴き、後でマルタ・アルゲリッチのラヴェルを聞いた。特に「夜のガスパール」、いいと思う演奏がなかなかなかったのだけど、アルゲリッチの煌めくようなタッチで聴くとこの曲の良さがよくわかる。アルゲリッチはショパコンの印象が強いのだけど、ラヴェルのような曲が良いのだなと最近思っている。

なんというか気持ちがいらいらするときにうまく感情を整える方法を最近見失っていたのだけど、音楽を聴くというのはいいなと今更ながら思った。

夕方出かけて丸善により、3階のカフェで小倉サンドを食べる。できるまで呼び出しブザーを渡されるのだが、その間美術書など見ていた。欲しいのは結構あるが、時間と場所とお金の問題は常にある。7時15分頃店を出て東京駅で中央線。前回はいきなり中央線がストップして慌てたが、今回は大丈夫だった。割合余裕を持って新宿駅につき、弁当を買って特急もドア開扉が早かったから荷物を置いてから新南口の書店に本を見に行く。正直、これだけの本が揃っている書店が田舎の駅前にでもあればずいぶん便利なのになといつも思う。

帰宅後書類を整理して早めに寝て、朝は起きたら6時を過ぎていた。

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ロードサイド文化と地域文化、若者の人口流出という話についての自分の考えを書こうと思っていたのだが、ちょっとまとめている時間が今朝はないので改めてまた書こうと思う。

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今年の大河ドラマは今のところ見る気になっていない(録画はしてある)のだが、大河史上初めて政治史というよりも文学史の人を取り上げたというのはポイントだろうと思う。だからこの大河に関する情報は高校教材で言えば日本史年表より国語便覧の方が役に立つだろう。まあ紫式部は日本古典文学史上の最高峰である「源氏物語」の作者なんだから当たり前なのだが。

歴史的にいえば紫式部はいつ生まれていつ死んだのかさえわからず、本名もわからない。通称大弐三位と呼ばれる彼女の娘が従三位という高位に上がり、賢子という本名までわかっているのとは対照的だ。

大弐三位は後冷泉天皇の乳母になったので高位を授けられるのは当然と言えば当然で、当時の夫も二説あるがどちらも九条(師輔)流の高位貴族である。通説では道長のおいにあたる藤原兼隆の側室、一説には道長の祖父にあたる師輔の九男為光の四男公信の側室。恐らくは母・紫式部が致仕した後に代わってすでに太皇太后であった一条天皇の中宮彰子に仕えており、信任を得て孫に当たる後冷泉天皇の乳母に任ぜられたのだろう。のちに高階成章の正室となり、後冷泉天皇即位によって従三位に上がった。

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「神作家・紫式部のあり得ない日々」には高階成章は「若紫」を読んで影響を受けて幼い賢子を攫ってしまい、紫式部に怒鳴り込まれて娘を返すというエピソードが描かれているのだが、これは後の結婚から作られた話なのだろう。

賢子が乳母に任ぜられたことと母・紫式部の功績とが関係があるのかはよくわからないが、そのあたりは想像が逞しくできるあたりなのだろう。

もう一ついろいろ読んでいて思ったのが紫式部に正式な官位は与えられなかったのかということなのだが、これは「御堂関白記」(藤原道長の日記で、現存最古の日記)に記されている藤原香子という女性が1007年に掌侍(ないしのじょう)という役職についたという記事があり、これが紫式部ではないかという説があるようなのだが、確定はしていないようである。

まあこの辺り、描かれ方によって魅力的にもなり、またこれは自分の趣味には合わない、という作品になったりはするなと思うのだけど、楽しんでおられる方々の邪魔はしないようにしようとは思っている。


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by Luke Peterson

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