脱稿/平治の乱/西欧中世初期国家/処理水問題と中国問題、それと科学の普及について
Posted at 23/08/29 PermaLink» Tweet
8月29日(火)曇り
昨日は朝から原稿の最終点検、封筒を作って郵便局に持っていって送付。とりあえず終わった。今回は自分なりに書こうと思っていたことはかけたかなと思う。もともとの構想はずっとあったが、書いて何度か校正して梗概を作って、などしてほぼ1週間。だいたいこれくらいでこのくらいの感じのものが書けるという感じが分かったので今後に活かそうと思う。今までは書き上げるとその後の校正や送付の段階でエネルギー切れになっていてドタバタしてしまうのだが、今回はなんとかなった。エネルギーが回復してきているということかもしれない。またいろいろ書いていきたい。
昨日はそういうわけで送付後はぐでーっとし、頭を休める方向にいろいろやっていたのだが、こういう時には変な方向にイマジネーションが働いたりして結構面倒なこともある。頭を休めてから次の仕事に取り掛かりたい。
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昨日は夕方岡谷に出かけて食品の買い出しと共に書店へ行き、文房具を見たり何か読むものでもないかと思って探す。ポストイットはだいたいもらいもので済ませるので結構高いということを昨日ようやく認識した。次のテーマに関連する(まだ決めてないけど)ようなものがないかと思っていろいろ本を見たが、今ひとつこれを読みたいと思うのがなく、結局桃崎有一郎「平治の乱の謎を解く」(文春新書、2023)を買った。
呉座さんや亀田さんをはじめとして70年代生まれの日本中世史のスター学者のなかでこの方の本だけはちゃんと読んだことがなかった(論文はあるが)なと思い、読んでみることにしたのだが、平治の乱というテーマは平氏全盛と源氏没落をもたらした戦乱であり、その新解釈らしいのでちょっと興味深い。保元の乱よりも平治の乱の方がわかりにくいというのはその通りだなと思うし、その後の権力構造の変化にも大きな意味を持つと思われるので、楽しみにしたい。
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西洋史について少し復習しようかなと思って「論点・西洋史学」を抜き出し的に読み始めたが、II-1「中世初期国家論」について。中世初期に「国家」と言えるものがあったかという論点だが、政治学では近代主権国家を指すという指摘があって、これは現代経済学の対象が産業革命以後だというのと同じことだなと思った。しかし初期中世国家に関しては王などの支配者がその領域とされる範囲で暴力的手段によって統制しうる組織、みたいな定義を行えばそういうものは存在したということで、これは結構応用範囲が広いなと思った。
また7世紀以前のメロヴィング国家においてはローマの制度や法がある程度は生きていたが、カロリング国家においては王権が地方有力者を庇護関係に取り込み、彼らと協力して統治する方向を目指したと考えられているという。これは、私のイメージでは「伯」などの地方統治役職は官僚制的に登用された感じがあったのだが、日本古代で地方豪族が郡司に登用されたようなイメージで考えればいいのかなと思った。
「パトロン・クライアント関係」というのはローマにおける有力者とその庇護民の関係だけれども、私が修士課程にいた頃もこの概念を近代史でも使う話が出ていて使い勝手のいい概念なのだなと思ったが、今調べてみたら東南アジアとかの人間関係にもこの用語が使われているらしく、ずいぶん多様場所で使われているのだなと思った。
あとへえっと思ったのはカロリング国家において教会や聖職者が統治だけでなく軍役にも役割を担っていたということ、教会の信仰共同体とカロリング国家自身が同一視されていた、という指摘だった。これは例えば「ドイツ誕生」に描かれたカロリング国家の印象とはかなり違う気がするが、もう少しこの辺りは勉強しないとイメージが掴みにくい感じがする。
この時期に興味を持ったのはティエリ「メロヴィング王朝史話」上下を読んだ頃なのでもうだいぶ前なのだが、古代末期からゲルマン王朝時代の様子というのはいろいろ気になることが多い。
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処理水放出、結局はこれも中国問題として収斂してしまったが、この巨大な厄介な国と世界はどう付き合うかという問題は一朝一夕では片付きそうにはない。科学より政治の問題になってしまっているが、それはともかくとして科学をきちんと普及していくことは改めて重要だなと最近は思っている。
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