ウクライナ人のバビロン捕囚と出エジプト

Posted at 22/03/26

3月26日(土)曇り

なんとなく朝からパッとしない天気だ。

ウクライナのことなど、いろいろ考えることはあるのだが、あまり纏まっていない。

マリウポリの住人が救出という形をとってロシアに連行され、サハリン等に移住させられるという話があって、ちょっと空いた口が塞がらない感じがある。日本人はこういう出来事でシベリア抑留を連想するわけだけど、世界史的に言えばユダヤ人のバビロン捕囚などが有名だろう。ヴェルディのオペラにこれをテーマにした「ナブッコ」という作品があるのだが、その中で囚われのユダヤ人たちがパレスチナに帰ることを夢見て歌う「行け我が想いよ黄金の翼に乗って」という合唱がある。キリスト教徒であるロシア人はこのエピソードをよく知っているはずなのに、歴史上何度もこうした強制移住が行われているのは何故なんだろうと思う。

https://www.youtube.com/watch?v=XttF0vg0MGo&list=RDihjhGYGtH6Y&index=2

また聖書のエピソードで言えば、エジプトでファラオの元で暮らしていたユダヤ人たちが迫害を受けるようになり、モーセに率いられてエジプトを脱出する出エジプト記もロシアと共存していたウクライナ人たちがそのくびきから逃れて脱出する物語と似ている感もある。ということはゼレンスキーはモーセ的な存在ということになるが、彼の外交面での八面六臂、獅子奮迅の働きは山をも動かし、海をも割りそうな勢いがある。現地でこういう例えが行われているのかどうかはわからないが、今ウクライナではほとんど伝説というか建国の神話、サーガが作られているように感じられる。

ゼレンスキーがスウェーデン国会での演説で「青と黄の国旗の共通性」について述べていたが、スウェーデンの国旗はフィンランドに対する北方十字軍を企図したスウェーデン王エリク9世(位1156-60)が遠征に立つ朝に青空に黄色い十字を見たのがその起源なのだそうだ。ウクライナの国旗は諸説あるようだが金色の麦畑に青空と考えられていて、この色使いは中世キエフ=ルーシの国章に由来するのだそうだ。いずれも直接の関連性はなさそうだが、スウェーデンがヴァイキングの国を起源に持っていることと、ウクライナの源流であるキエフ公国の王がヴァイキングのリューリクの血を引くとされているという共通性がある。ヴァイキングはロシアの内陸河川を辿ってバルト海から黒海まで結ぶ交易を担っていたとされている。

ウクライナの旗といえば思い出すのは「風の谷のナウシカ」だろう。「そのもの、青き衣をまといて金色の野に立つべし」というのはまさにウクライナの国旗の配色だ。ウクライナ国民の奮戦は、聖書からアニメまでさまざまなエピソードを思い起こさせる。願わくはこの物語がハッピーエンドであってほしいということだけである。

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by Luke Peterson

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