ロシアのウクライナ侵攻がもたらしたいくつかのこと:周辺国の紛争再燃/北朝鮮/戦争が分断する親子兄弟

Posted at 22/03/27

3月27日(日)晴れ

疲れがどっと出て、昨夜も10時に寝てしまい、起きたら5時過ぎだった。少しずついろいろやろうとするのだが頭が動かず、朝はNHKの日曜討論で出演者が林芳正(外務大臣・1961生)、藤原帰一(国際政治学・1956生)、中山俊宏(アメリカ政治学・1967生)、東野篤子(EU対外政策・1971生)、小泉悠(人・ロシア軍事・1982生)という豪華なメンツで割と面白かったのだが、頭があまり動かなくてちょっともったいないことをしたと思った。それにしても藤原さんと小泉さんでは26歳も違うのだな。

番組の印象もそういう感じで、新しい世代のリアリズムに直結した議論が藤原さんなどの既成の議論の論者とは噛み合いにくい感じがあって、林外務大臣も藤原さんの話には頷きやすいけど小泉さんや東野さんの議論には反応に困っている感じがしたところがあった。

ワンピースアニメの方を見ようと思っていたのだが再放送だったので結局日曜討論を最後まで見た。

午前中は何を書こうかといろいろネットを見ているうちにお昼になってしまい、お昼を食べてから書こうと思ったら疲れがどっと出て3時間ほどうたた寝をしてしまい、もう5時近くになっている。

ロシア・ウクライナの戦いの現況は、キエフやハリコフに対しての進軍は止まっていて、リビウに巡航ミサイルが撃ち込まれ、ドンバスからクリミアにかけての東部・南部戦線ではマリウポリの人道危機や住民連れ去り・強制移住等が指摘されている、というような状況はあまり変わっていない。一度ロシアに制圧されたヘルソンに対してウクライナ側が反攻を企図しているという話もあり、焦点は西部ポーランド国境での補給ラインへのミサイル攻撃と南部でのウクライナの反攻に移っているように思う。もちろん生物化学兵器・核兵器の使用などの攻撃手段のエスカレーションの問題はあるのだが、通常兵器段階ではウクライナがよく戦ってロシア軍を押し戻しつつあるという状況はさらに進展しているのではないかと思う。

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大量破壊兵器の問題以外にもロシア周辺では新たな問題・懸念材料が起こってきた。一つは長期間の戦争が続いていたアゼルバイジャン・アルメニア間のナゴルノ=カラバフ紛争だが、ロシア側が「アゼルバイジャンが停戦違反をして侵入してきた」と主張している。アゼルバイジャンは否定しているようだが、これだけロシアが偽旗作戦を盛んにやっていると、本当なのかフェイクなのかよくわからない。戦場ジャーナリストの取材等に期待したいがウクライナに移ってしまった人も多いのではないかと思うし、この辺りは気になる。

まだはっきりした動きはないが、ロシアが支援しているシリア政府と反政府勢力の戦闘や、ジョージアにおけるアブハジアやオセチアでの動きも、変化が起こらないともいえない。もちろん抑圧されている側がこの機を狙って反攻に移るということも十分あり得るわけだが、逆にいえば国際社会の指示がどれくらい得られるかはちょっと難しい可能性はある。それがウクライナへの側面支援になると判断されれば動くかもしれないが。

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もう一つは北朝鮮の弾道ミサイルだが、これはかなり本格的なものが打ち上げられたようだ。小泉さんはこれに関しては当然の計画が進捗しただけという見解だが、日本政府や政治学方面では日本のEEZ内に落下したという事実を重視しているのだろう、割と強硬な姿勢のようだ。まあ元々日本には届くミサイルをたくさん保有しているのだから今更、というのが小泉さんのスタンスのように思えるが、国内政治力学的にアメリカ東部海岸を射程に入れる力を持ってあまりあるものを手に入れたという国際政治力学方面をむしろ逆用しようというのが政府の狙いのようにも思われた。三流ハリウッド映画的な記録映像の公開といい、相変わらず面白国家であるという印象はあるが、気違いに刃物的な危うさは相変わらずなので、注視していかなければいけないことだけは間違いない。

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もう一つ、これはニューヨークタイムズのオピニオンの記事がTwitterで配信されたのを読んで思ったことなのだが、ロシアのウクライナへの侵略戦争を「内戦」のように感じる人たちがいる、という内容だった。

記事自体は有料で読めなかったのだが、旧ソ連時代からの続きで人々の動きは盛んだったようだから、ロシアとウクライナの双方に兄弟や親戚がいる人は多いのだろうなと思う。それを考えると朝鮮戦争後の南北の分断のような要素はあるんだろうなと思った。

1970年代に朝鮮戦争で生き別れになった兄と妹が朝日新聞記者の尽力によって中継で繋がれた時があり、その感動の再会は大きな反響を呼んだことを思い出したのだが、今回の戦争でもそういう人たちが多く生まれたのだろうなと思う。

そして一つの深刻な事態は、両国間の全く違う情報環境によって、たとえ兄弟であっても全く話が通じなくなることがあるということだ。

南北朝鮮の兄妹の時も、朝鮮北部に住んでいて終戦時に南にいたために帰れなくなった兄が故郷の教会を懐かしんで妹に話したら、妹はその存在を全く忘れていて兄がショックを受けた、という下りがあった。北朝鮮ではキリスト教の信仰は認められていないのだなとその時思ったのだが、当然ながら、というか現在では誰でも知っていることだが南北の状況の違いはかなり際立ったものになっていた。

今回の戦争でも、ロシア国内にいてテレビ以外の情報取得手段のない親と全く話が通じなくなっている日本在住のロシアの若者の悲嘆などもよく聞かれている。戦争は親子兄弟でも容赦なく分断する。マリウポリからロシア側に連行された人々とウクライナ国内に残れた人々、西側諸国に脱出できた人々との間にはまた新たな溝が作られていくのだろう。胸が痛む。

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