面白いのと面白くないのの境目が大事/ワゴンセールで見つけた作曲家/地上にはもう存在しないセンス

Posted at 20/06/02

昨日書いた文章。

本棚を整理しながらどうも気持ち悪いなと思って家を出て車を走らせながらつらつらものを思っていたのだが、これはどうも外国現代文学の本を何冊か並べているうちに無意識に悦に入っていながら実はあまり読んでなく、面白いとも思ってない、というかあまり読む気のしない作品群だということに気づいて、それでも文学界隈で著名だから読んでるとかっこいいかもしれないみたいな意識が出てきていたことに気づいて気持ち悪さが出てきていたのだということに気づいた。

つまりはコンプレックスということだが、文学に関しては本当に好き嫌いがあって嫌なものは全然読めないのだけどそれが引目になっているところがあり、特に外国文学に関してはそういうところが強くあるのだなと思った。日本文学でも町田康・川上未映子あたりは全然読めなくて、どこが良いのかわからない。多分こういう作品は映像や舞台で見たら面白いのだろうという気はするのだけど、自分が持っている範囲での文学的想像力みたいなものを拒絶する表現なんだろうなと思う。

まあそんなふうに考えてみると特にコンプレックスを感じることもなく、ただ「自分にとっては面白くない」で良いのだけど、それを読んだふり、面白いフリをしようとしている自分がいることに気づいて気持ち悪いなと思ったのだろうと思う。

しかし考えてみるとこれは結構重要なことで、面白いと面白くないの境目がどこにあるのかというのは結構大事なことだ。その境目上にある作品がある日急に面白くなることがある。そのあたりを時々探っているうちに、面白いと思う作品が増えるのではないかという気がする。

最近はあまり文学を読んでないので世界を広げるのもなかなかできないけど、時々やった方が人生を少し豊かにする気もしなくはない。
車を運転しながらこのところ聞いているCDの作曲家が気になり、iPhoneでググってみたら日本語のWikipediaがない。そんなマイナーな作曲家だったのかと思ってさらに調べると英語のWikipediaはあった。エフゲニー・グンスト。ロシアの作曲家で帝政ロシア時代に育ったが革命でラトビアのタリンに亡命し、さらにパリに移って定住した。ラフマニノフと行動を共にしていたが、政治的主張の違いで袂を分かった。プーランクと親しかったらしい。1950年に亡くなっている。

聞いていたのはドビュッシーと抱き合わせたピアノとバイオリンの曲集なのだが、とても良い。このCDは銀座の山野楽器のワゴンセールでジャケ買いしたものだと思うが、時々こういうあたりがあるからCD漁りはやめられない。山野楽器のワゴンセールはバイヤーのセンスで仕入れたものの一般受けしなかった、みたいなものが多いと思うので、運が良ければ自分のセンスに合ったものを見つけられる。骨董の掘り出し物を見つけるようなものだと思う。

来世であいましょう (1) (バーズコミックス)
小路啓之
幻冬舎コミックス
2017-05-01



家に帰ってきて考えたことを書こうと思いながら本棚を見ていたら少し隙間があるのでダンボールにしまってあるマンガや本を少し出そうと思って探したら、小路啓之の作品がいくつか出てきてあっと思った。

今は読んでいるマンガが増えすぎて新しい作品や気になる作家の開拓をあまりしていないのだが、ちょうどまだマンガ読みを復活してリアルタイムの気になる作品を開拓している頃に見つけた作家さんの一人で、全てが好きというわけではないのだけど嫌な感じのところも含めて気になる、という感じの作家さんだった。2016年、突然亡くなって、自分の中ですごいショックがあったようで、持っている作品全てを段ボールの中にしまい込んでしまっていたのだ。

今取り出してみるともうあの時感じたショックはない。そして今でも読まれるべき作品だなあと読んでいて思う。もう4年経ったんだなあと思う。

亡くなったマンガ家の作品というのは読んでいて何か惹かれるものがあると、魂をどこかに持っていかれるんじゃないかと思ってしまうようなところがあって、読むのに慎重になるところがある。この人のセンスはもうこの地上にはないのだなと思うと、限りない愛惜の思いが湧いてしまうのだなと思う。マンガ家にはいつまでも生きていて欲しいと思う。まあ人間だからいつかはこの世をさるのだけど。

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by Luke Peterson

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