金融政策こそがデフレ脱却の鍵

Posted at 17/12/27

昨日から主に読んでいるのが岩田規久男編「昭和恐慌の研究」。序章「金本位制以降から昭和恐慌まで:歴史的概観(中村宗悦)」読了。面白い。これは昭和恐慌の研究書であると同時に昭和恐慌というデフレから脱した高橋是清の財政金融政策についての研究書でもある、という指摘がなるほどと。

高橋の政策は普通「高橋財政」と呼ばれるが、国債を日銀に引き受けさせて通貨供給量を増大させる(いまもアベノミクスで行われてる)政策を取っているので「高橋財政金融政策」と呼ぶべきであるという指摘。なるほど。

この本は今まで読んだ範囲でもへえっと思う新しい知見がいくつかあって、「デフレによって採算性の低い企業を精算することによって創造的破壊が実現され新産業が台頭する余地が出て来る」という今日でも支持者の多いシュンペーター仮説は実証的には支持されないのである」というのは特にへえっと思った。デフレの効用として皆こういうことを言ってたのになあと。

また「昭和恐慌期のデフレを終息させたのは金融政策か財政政策かという議論は、金融政策であったという結論が得られた」というのもへえっと。つまり高橋是清の金融政策=通貨供給量の増大政策こそがデフレ脱却のキーになったと。

「戦争=カタストロフなど起こらなくても不況は必ず克服できる」というメッセージは本書の最も重要なメッセージである」という指摘も大事だなと思った。

基本的に経済以外の政策はともかく、いわゆるアベノミクスのような金融の量的緩和政策のみが、デフレ脱却を可能にするという主張は色々なものを読みながら、納得しつつある。

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