「人間嫌い」と「自分を嗤う自分」

Posted at 11/08/25

【「人間嫌い」と「自分を嗤う自分」】

自分の創作について問いなおしていると、どうしてもその基盤にある自分という人間についても問い直すことになる。それは断片的にツイートしたりウェブには載せてないがモーニングページに書いたりしているのだけど、自分を問いだすとどうしてもそういう自分のあり方が「いいのか悪いのか」ということが俎上に上って来る。それはなるべく考えないようにしているのだけど、客観的な認識に主観的な評価がどうしてもついて来て、自分が知らないうちにかなり気分が落ちていたりするときがある。ここの部分が足りないな、だからこの部分を足そう、そこをもち上げようという認識から方針へまっすぐに繋がればいいのだが、そこにどうしても「自分を嗤う自分」のようなものが介在してしまうようで、「自分を嗤う自分」に嗤われると「自分に嗤われた自分」が出てきてしまって必要以上に凹む、という現象が起こる。「人のことをなるべく嗤うまい」、と思うのはむしろ人のためというよりも、そういうときに自分に自分を嗤わせないためなのかもしれない。自分を嗤う自分というのが、むしろ私にとっての背負ってしまっている業なのかもしれない、と思った。わりとそれは、地獄の暗黒に続いているような感じのものだ。

この「自分を嗤う自分」というものを書こうと思ってこの文章を書き始めたわけではない。もともとは、自分は人間嫌いなところとその半面人間をどうしようもなく求めてしまうところの両面をもっているなあと思って、そのことについて書こうと思っていたのだけど、こうして書いてみると、「自分を嗤う自分」の存在というのは私の中に巣食っている「人間嫌い」というウィルスと同じ根をもっているのではないかなあと思ったのだった。

人間を拒絶する、人間嫌いの自分というのは、その対象が自分自身に向かうと「自分を嗤う自分」になる。これは人間を恐れるということなのかなあと以前は思っていたのだけど、そうではなくて人間を拒絶してしまうことだなあと今考えていて特定した。かなりぎらぎらした、黒々とした、虚無的な、吸い込まれてしまいそうな、そういうものを自分は抱えているなと思う。これはもともとは人間関係で極端にいやなことがあった経験からくるある種のトラウマがこじれている、あるいは膿んだり腫れたりしている部分なのかもしれない。子どものころだったそれが恐怖という形でトラウマになるかもしれないが、大人になってからのそういう経験は強い憎しみとか攻撃性、呪詛、嘲笑、みたいなものとしてこころの中のメラニン色素のように黒々と沈着していったもの、といえるのかもしれない。まあつまり、もともとは自分自身を守ろうとする、私にとってはなけなしの攻撃性(笑)を徹底的に動員して残った尖閣列島や竹島の防衛線みたいなものなのかもしれないなと思う。

自分を守るための仕組みが自分を攻撃するようになるというのは、そういう憎しみの肉芽がある種の癌細胞化しているという面があるのかもしれないなという気はした。まあ攻撃性というものはつねに諸刃の剣であって、自分自身をも傷つけることは間違いない。攻撃性をもちいなければ生きていけないような場所で生きるのはどうも私には無理があったんだなと思う。

まあそんなことを考えたのはなぜかというと、小説を書くときに、もっと人間を書かないとだめだなと思ったからなのだけど、「人間を書かないといけない」という言葉自体にアレルギー反応が起こったらしく、すごくいやな感じがしてきたからなのだ。「人間を書くということ」=「イヤなことを書くこと」という変換が自分の中で行われていたということに気づいたのだ。

人間というのは本当に多義性のある言葉で、人によって受け取り方が違うのはもとより、一人の人間にとっても何百通りにも受け取り方があるような気がする。私の中にだってもちろん肯定的に解釈される人間という語彙はないわけではない……書いているうちにあんまり自信がなくなってきたが(笑)、逆にいえばつまりよくないモノに対してよいものとして「人間的」という言葉を用いることはもちろんある。ただ考えてみると悪い面にもずいぶん取ってるなという気はしてきた。

そうだな。まずは「人間」という言葉について自分がとらえているイメージを整理して、もう少しこの言葉に対する無意識の地雷みたいなものを変に踏まないで済むようにしておいた方がいいなという気がしてきた。

月別アーカイブ

Powered by Movable Type

Template by MTテンプレートDB

Supported by Movable Type入門

Title background photography
by Luke Peterson

スポンサードリンク













ブログパーツ
total
since 13/04/2009
today
yesterday