必要を伴わない欲望
Posted at 09/08/27
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![]() | 現代社会の理論―情報化・消費化社会の現在と未来 (岩波新書)見田 宗介岩波書店このアイテムの詳細を見る |
見田宗介『現代社会の理論』(岩波新書、1996)によると、現代社会では必要と欲望が乖離してしまっている、必要がないのに欲望だけが自己増殖することによって需要が必要の拘束を離れて伸張可能になり、戦争なき経済成長が可能になったのだという。私はたまたまこの本を仕事の必要で読んだので必要ないところは読んでないから読書記録としての感想は特に書いていないのだが、この必要と欲望の乖離ということについて思うことがあった。
これは資本主義的なことに限らず、欲望というのは必要だから起こる、つまり食べる必要があるから食欲が起こり、種族保存の必要があるから性欲が起こる、と考えられているけれども、欲望の中には本当に必要とは限らない欲望が多い。客観的に見て必要でなくてもその人の自我やその人の存立に関わる部分で必要である、ということもあるので一概には言えないのだが、ただそのひとの自我にとっても本当はすでに必要でなくなってからも、その欲望だけは残るということが現象としては結構あるのではないかという気がする。
つまり、もう必要ではなくなった、あるいはもしかしたら最初から必要ではなかった欲望、というものもあるのではないかということだ。そうであるならば、場合によってはそういう欲望に振り回されるのはバカバカしい、ということもある。このあたり、何が必要で何が必要でないかなど簡単にいえないことが多いからそう簡単に一般化できる話ではないのだけど、自分の中のある焼け付くような欲望について考えていて、ひょっとしたらこの欲望はもう必要ではない、あるいは必要に見えたけれども本当は必要ではなかったのかもしれない、と思ったのだ。もちろんそうした強い欲望は必要だのなんだのと言う理性的で客観的な思考の網にはなかなかかかるものではなく、それどころかその欲望が自分の奥底に煉獄のような強烈さで存在すること自体、つい最近気がついたに過ぎないのだけど、そうして客観化してみると自分でも不思議なくらい冷静にそれを見ることができて、上のような疑問が起こってきたのだ。
その欲望は、本当に必要なのか。必要でないとしたら、どう向き合ったらいいのか。
今考えている対象は、子どものような話で恐縮だが、承認欲求だ。自分を認めてもらいたいという思い。もちろんそれはどんな人間でも多かれ少なかれ持っているし、承認されるということは特に子どもにとって生存に必要な条件であるから、立場の弱い人間ほど強くなるだろう。
いま自分が自分を置いているポジションが、どれくらいの承認欲求を必要とするのか。少なくとも原始的な子どものような承認欲求を持っていてもあまり役に立つとは思えない。もっと戦略的に自分を認知させる方法を考えてそれを実行する、そのくらいのものに進展させなければ仕方がない。
一方で、最近気がついたことだけども、自分がやっていることは自分のある「必要」に応じて欲望されることをやっているだけ、ということが多いということだ。自分の興味が簡単にうつろっていく理由が自分にとって常々不思議であったのだけど、そのときそのときの自分の必要の変化に応じて欲望の内容も変化していくために、そういうことが起きているのだと。いつも自分は何かが足りない。それを求めると餓鬼のように求めつづけ、修羅のように終わりのないいさかいの中に自分を投じることになるような気がする。
承認欲求それ自体が自分の必要となって、いや必要と感じられていろいろなことに手を出す、ということも起こってきているように思う。考えてみれば、承認欲求というのは結局自分のやっていることに対する自信のなさの現われなのかもしれない。そうすれば全くの悪循環に自分ははまっていることになる。
この承認欲求から自由になることが、たぶんまず第一に必要なことなのだろう。認められたいという欲望でない欲望に基づいたことをやる。書きたいということ、表現したいということ。あるいは喝采の快感もまた、承認欲求に近いようで別のもののような気もする。その快感を求めることもまた、一つの欲望だと考えられる。
このへんぐちゃぐちゃになりそうだ。
ふと思ったが、やはり自分はこの承認欲求に淫しているところがあるんだなと思う。相手の目をつい気にしてしまうというのは、どうも承認欲求に酔っているということではないかという気がしてきた。そんなものによってもちっとも楽しくない、というか食べ終わったアイスクリームの蓋をいつまでも舐めているようなバカバカしさがある。
これ以上思考は進展しないようだ。本日はこれ切り。
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"必要を伴わない欲望"へのコメント
CommentData » Posted by KEN at 09/08/30
とても文章が上手なので、そして正直な内容なので深く感動して読みました。引き続き愛読していきたいと思います。41歳の僕にはとても勉強になるお話が多いので楽しみです。
CommentData » Posted by kous37 at 09/08/30
コメントありがとうございます。
どうぞ今後ともよろしくお願いします。