人間は一度に一つのことしか出来ない/手入れの大切さ/太極旗が泣いている
Posted at 09/03/28
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ここのところ寒い。昨日の朝のように雪は降らなかったが、今朝はマイナス3度まで冷え込んだ。朝用事をしに職場に行くのに、最近はほとんど車で行っていたのだが今朝は歩くことにした。久しぶりに川沿いの道を降りていく。川の音が懐かしい。雲の色にはっとする。車に乗っているとこういうことには気がつかなくなる。車に乗らないとわからないこともたくさんあるのだけど。人間は一度にひとつのことしか出来ないから、一つ経験したということは、別の経験が一つできなかったということでもある。何も経験しないよりは百倍いいけれども。
裏道を歩いていくと、変わった外観の家があることに気がつく。最近はみなツーバイフォー的な似たり寄ったりの家が多いけれども、少し古いとそれぞれちょっと変な感じになっていて、それが面白い。
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午前中に蔦屋に行き、コミックゼロサムを買う。時間がないので車の中で読んで、仕事その他。『ランドリール』は新展開。夏休み編が続いていたが、ようやく動き出したか。「革命の真実」とはなんだったのか、次号が待たれる。『拝み屋横丁』も新しいキャラクターが増えるのだろうか。
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本棚から引っ張り出してきた河合隼雄『いのちの対話』(潮出版社、2002)を読む。大平光代、中西進といった人たちとの対談集。養老猛との対談が面白い。私は養老という人が本当には何を考えているのか今までよく分らなかったところが大きいのだが、久しぶりにこの対談を読んで少しわかった気がした。まだ言葉で書けるほど分ったわけではないが、『手入れ』ということを大事にするという感覚には共感した。子どもも手を入れるほど成長するし(もちろん適切にだが)、手をかける、手数をかける、そうしたものはすばらしいものが出来る。花もまめに手を入れ、家もまめに掃除するといたまない。日本の教育は結局手入れによって成り立っていたのに、手入れの感覚がなくなりこうすればこうなるしか教えなくなってすべて崩壊した、というのはそのとおりだよなあと思った。手入れというのは伝統的日本人にとっては生の行為、つまり生きていることそのものなんだなあと思う。手入れの仕方が適切でないとこれほどうざったい物もないが。
こうすればこうなる、というのはいわば目的意識ということで、目的意識に疎外されてしまって教育が崩壊したということだ。それは、子どもを早く大人にしようとしすぎることで、本来子どもが子ども時代に経験することが出来なくなり、不完全な状態で大人になってしまうということになる。大人が子どもの領域に侵食しているというのはまったくその通りだと思った。
それはたとえば「分を守る」とか、「本分を尽くす」とか、そういう価値を語っているのかもしれない。
閑話休題。分を守るといえば、最近強く感じたのがWBCの原監督。原ジャパンと言う呼称を嫌ったのは「分を越えている」と思ったからだろう。その礼節というか、身の程を知るというか、そういう感覚が選手にも伝染してああいう爽やかな戦い方が出来たのではないかと思う。誰も彼も選手としての本分を尽くし、我を出さないのは気持ちいいくらいだった。
最近アクセスがあがっている過去記事を見てみたら、3年前のWBCで韓国選手が小さな太極旗をマウンドに立てたり、ファウルフライに倒れたイチローにキャッチした三塁手がボールを投げつけたりしたということについてチャイルディッシュだと評した記事だった。それを考えれば今回はまだましだったかなと思う。それにしても何というか、太極旗が泣いているなあと思う。
日の丸は心置きなく笑うことが出来、日本人が幸せな一日を過ごせたことをまた思い出した。
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