藤原正彦/小川洋子『世にも美しい数学入門』

Posted at 07/05/26

藤原正彦/小川洋子『世にも美しい数学入門』(ちくまプリマー新書、2005)

世にも美しい数学入門

筑摩書房

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以前から気になっていた一冊。お昼ごろ地元の書店で見つけ、読むことにした。『博士の愛した数式』の取材が縁になって作られた本なので、『博士の愛した数式』を読んだときについでに読んでおけばよかったのだが、小説の方を読んでしまうとどうもこちらの対談の方は蛇足のような気がしてしまい、読むのを避けてしまった。

とても読みやすい本で、ざあっと2時間足らずで読み通してしまった。

数学者の才能は、ひとつの問題をずうっと思い続けること、5年でも10年でも。これが少し以外ではあったが、なるほどと思った。私は気がすぐに変わるが、変わったからといって前の問題を忘れてしまうわけではないので、また改めて昔の問題の続きを考えたりするので、そういう意味では数学者的なのかもしれないと思った。若くてひらめきのある間しか数学などというものは出来ないのではないかと思っていたのだが、そういうわけではなさそうで、ちょっと認識が足りなかったかなと思う。

複雑な数学的現象をびしっと一行で表現する数学と、大自然を17文字でびしっと表現する俳句とは通じるものがある、という話も面白い。私も俳句の本質というのはそういう観察眼にあると思うので、ある俳句的な観察を発見することと、数学的な問題の所在、あるいは定理を発見することとが類似しているという言い方は納得できると思った。美しい定理と醜い定理があるという話も面白い。

ゲーデルの不完全定理が数学に及ぼした深刻な影響という話も興味深いし、数学だけはたとえ宇宙人が相手でも共通する普遍性を持つという話もなるほどと思う。物理法則などは現在でも新しい理論が発展中だが、数学の基本法則は普遍だからだ。

けっきょく、すごく印象に残った本というわけではないが、『博士の愛した数式』を読んで少しでも数学に興味を持った人が、次の一冊を読むためのステップとしてはいい本だなと思った。

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