こうの史代「空色心経」を読んだ:反ワクによる国民分断と教えを否定して混乱させる仏教らしさ/トランプ支持の宗教右派による「隣人を憎め」運動/駐車券を無くしてモタモタ

Posted at 25/04/10

4月10日(木)晴れ

今朝は時間があるなと思いいろいろ考えたりネットを読んでたりしているうちに書きたい物も結構溜まってきてしまって何を書こうかと考えているうちに時間が経ってしまって書く時間がなくなってくるということになった。まあよくあると言えばよくあることなのだが。

昨日は午前中松本の整体で体を見てもらい、帰りに松本市街に出て丸善で「魔法使いの嫁」22巻、「魔法使いの嫁 断片集」2巻、「応天の門」20巻を買って、バスセンター地下のスーパーで昼食の買い物などして久しぶりに松本インターで長野自動車道に乗って帰った。整体ではちょっとびっくりしたことがあったが、この件はまた何かあった時に書こうと思う。

松本の丸善はもともとマンガは置いてなくて、上の階に入っていた文教堂が扱っていたのだけど、文教堂が閉鎖されて丸善にマンガコーナーが新設されたのだが、どうも売り場配置が掴みにくく、昨日は時間もなかったので店員さんに聞いて見つけたのだが、まあ構造的にマンガのような発売日が集中するものを扱うにはしにくい感じになってるんだろうなと思った。そう言えば地元の蔦屋も前の配置は良かったのにマンガの扱い場所が変わってとてもわかりにくくなった。限られたスペースはうまく生かしてもらいたいとは思うのだが。

そう言えば昨日は駐車場に入った時、車を降りようとしたら駐車券がどこにいったかわからなくなって、ゲートの人に聞いたら一度出て入り直してくれと言われ、そうしたのだった。家に帰ってきてからその駐車券は出てきて、一体どういうことなんだと思うのだが、まあ松本に狐でも住んでいるのだろうか。

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家で昼食を食べて少し休んだ後職場に出たらこうの史代「空色心経」が届いていた。すぐ読んだのだが、般若心経の内容=観音菩薩とサーリプッタの会話にコロナ禍の日本を重ね、「反ワクチンの思想に取り憑かれて結局罹患して死んでしまった夫」に対して「どうすればよかったのか」という後悔の念を持った女性の心の葛藤の物語を重ねて描いている。ちなみにこの作では舎利子はシャーリプトラと訳されているが、これはサンスクリット語の発音らしく、私が認識していたサーリプッタはパーリ語の発音だと調べて知った。

内容はこうのさんの多くの作品のように丸みのある手触りのある線で市井の人間を表現しながら、鋭い批評性があるところは「夕凪の街・桜の国」や「この世界の片隅に」と同じである。この作品では、反ワク思想に取り憑かれた夫の描写、そしてそれにおろおろしながら対応し、彼が死んでからもずっと彼のものを消毒し続ける主人公という形で描かれている。それは滑稽でありつつ悲劇的で、この国で生まれた分断が夫婦間に起こったらどうなるのか、ということが容赦なく描かれていて、キツいなと思った。

もう一つの物語は般若心経の内容の世界で、観世音菩薩がシャーリプトラに様々なことを教えている話なのだが、内容的にはまだシャーリプトラが何も知らない頃、ブッダに感銘を受けて弟子入りしたばかりの頃の話なのかな、という印象はある。天上界でのそういうやりとりが青色のインクで、地上界での出来事が黒色のインクで描かれ、それが自由自在に交流する(というか般若心経の思想が地上界に飛び散り浸透していくイメージ)有様は、さすがこうのさんという表現の達成があるよなあと思った。

観世音菩薩のイメージは、昔高野文子さんが「絶対安全剃刀」で書いた「蒲団」の中に出てくる「かんのん」のイメージがあり、それでも個性としては高野さん的ではなくこうのさん的なところが面白かった。シャーリプトラは悩める青年的でありすぎる感じだが、「何かを得られたか」と観音に問われて「多分」と答えた彼に、観音は「そもそも得る必要などない」と言い出し、混乱させるところが「これが仏教だよな!」という感じがした。そして最後に「羯諦羯諦波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆訶」という例の「呪文」を授けるところがお話としての救いになっているのだけれども、この救済の仕方は弥陀の称号を唱えれば極楽往生できるという浄土系の思想の水源になっているのかもしれないなと思った。

面白かったです。

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今日は他にも書きたいことが結構あり、特にトランプ政権を支える宗教右派の思想として「共感は悪」という思想があるという指摘を読んで、これについて考えたいと思っていたのだが、もう時間がなくなってきたので改めて書きたいと思う。

https://x.com/kemohure/status/1909979568649404503

この連ツイで指摘されているガーディアンの記事はおそらくこれだと思うので、後で読んでまた書きたいと思う。

https://www.theguardian.com/us-news/ng-interactive/2025/apr/08/empathy-sin-christian-right-musk-trump


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