ベンヤミン:繊細で多才な天才/ガリレオとかトクヴィルとか

Posted at 24/01/24

1月24日(水)晴れ

今気温を見たらマイナス4.3度なのだが、もっと気温は高いと思っていたので、多分今朝は元気だということなのだろう。すでに車を走らせてセブンでマガジンを買ってきたので、(サンデーはフリーレンが休載だったので買わなかった)外の空気は浴びているのだが、そんなに寒いと思っていなかった。まあ風がないということは大きいかと思う。

昨日は午前中母を病院に連れて行ったのだが、それでいろいろと疲れてしまい、母を施設に送り届けて報告し、帰りにコンビニで昼ごはんを買ってツタヤで「だんドーン」2巻を、平安堂で「刷ったもんだ!」11巻を買って(蔦屋に置いてなかった、最近新刊でもないことがままある)帰って食事をして、横になったら動けなかった。

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それでも夜は少しは本を読めるくらいには回復し、「フランクフルト学派」のベンヤミンのところをかなり読んだ。読んでいると、ベンヤミンはフランクフルト学派の枠に収まり切れる人ではないが、フランクフルト学派にとっても重要な人物の一人だ、ということはわかった。アドルノがベンヤミンの信奉者で、しかしそれゆえに鋭い批判者ともなり、彼との応答の中でベンヤミン自身も思想を深めた、みたいな感じのことが書かれていて、フランクフルト学派に関わる人たちの中にはベンヤミンと深く関わりながらもフランクフルト学派のことは嫌っていたブレヒトやハンナ・アーレントなどの人たちもいたが、ベンヤミン自身は「社会研究誌」掲載の原稿料によって生活を支えられてもいて、また「複製技術時代の芸術」をはじめとしてこの雑誌に掲載された論文が彼の主要な仕事にもなっているというところは面白いと思った。

ベンヤミンという人はベルリンで十本の指に入るほどの資産家の家庭に生まれたというこの時代の「ドイツのユダヤ人」の中でもかなり特別の位置にいた人で、しかしワイマール時代のインフレによる打撃と父との訣別によって経済的にも苦境に立ってはいたのだけど、彼が若い頃にパウル・クレーの絵画「新しい天使」を手に入れ、一生それを手放さなかったとか、やはり裕福な家庭に生まれたからこその繊細さと、それゆえのある種の生きる力の弱さみたいなものを持っていた天才なんだなと思った。

ベンヤミンの多様な仕事は彼に関わる様々な人々が彼の仕事の違う部分を重要視していて、アドルノにとっては芸術論、アーレントにとってはカフカと同じような「ドイツのユダヤ人」としての文学者、ゲルショム・ショーレムにとってはユダヤ神秘主義の思想家であり、劇作家ベルトルト・ブレヒトとの交流においては先頭的なマルクス主義者でもあったわけだけど、現在彼が評価されているのは複製芸術論の延長線上のポストモダンの先駆者であり、メディア論の先駆者であるという点だったりして、まさに書いているだけで「群盲象を撫でる」という感じすらしてくる。

ベンヤミンはスイスに、そしてパリに亡命し、ナチスによる占領後にはアドルノらを頼ってアメリカに亡命を決行したが、当時の一つの亡命ルートであったピレネー山脈越えのスペイン潜入の最中にスペインの国境警備兵に捕まり、大量のモルヒネを飲んで自殺するということになった。多くの可能性を秘めたままの彼の死はある意味で彼を伝説の天才にしてしまった面はあるのだろう、というか絵に描いたような伝説の天才である。48歳だった。

アート論を考えている時にベンヤミンは少しは読んだのだがどうも彼の実態が捉えられなくて困っていたのだけど、この本は彼のイメージを捉えるのにかなり役だったと思う。彼はあまり近くから見るよりも少し引いて周りの思想家達との関係の方で見た方が捉えやすい、全体が見えやすい思想家なのだと思った。

***

あとは読みかけで止まっていた「天文の世界史」のガリレオのところを少し読んで、ガリレオがピサの斜塔で二つの物体を落下させてアリストテレスの力学論を否定したことは事実ではなかったとか、興味深いことがいくつかあった。この辺もまた読まないとと思うが、時間と気力のあるときに少しは読みたいと思う。

また、これも読みかけで止まっていたのだが村上陽一郎「エリートたちの読書会」でアレクシ・ド・トクヴィルの「アメリカン・デモクラシー」を取り上げたところがあったのだが、トクヴィルに関しては割と理解が中途半端になっていたこともあり、また読み直すきっかけになるかなという気はした。

マンガについてもいろいろ書きたいアイデアはあるのだが、とりあえず今日はこんなところで。

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