無意識の沼からメタンガスのように噴出するもの/クリミア大橋爆破とマスク氏の「さいきょうのウクライナ・台湾問題かいけつ」案/「東のひろゆき、西のイーロン・マスク」

Posted at 22/10/09

10月9日(日)曇り

一昨日の夜は夜更かししてまともに寝られなかったせいか、昨日は仕事が終わって帰ってきてブラタモリを見ながら夕食をとって横になったらうたた寝ではなくガチで寝てしまい、左足がつってきたのでとりあえず入浴して着替えて歯を磨いてベッドに直行したら、4時過ぎまで爆睡した。7時間も途中で起きずに寝たのは久しぶりで、これは快調快調と思いながら起きたのだが、こういう「よく寝て体調いいぜ!」という時に限ってなんだか細かいことが気になったり不快なことを思い出したりするということがよく起こる。恐らくは普段「あえて気にしないようにしている」とか「とりあえずいいことにしている」みたいなことが体調が良くなるとポコッポコッと無意識の沼の中からメタンガスのように噴出してくるのだろうなと思う。

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北朝鮮が矢継ぎ早にミサイルを発射しているニュースと、クリミア半島とロシア本土を結ぶクリミア大橋が爆破されたというニュースを同じ日に聞くと、世界全体がきな臭くなってきたなという感じはするのだが、クリミア大橋の爆破に関してはウクライナだけでなくスロバキアなど東欧諸国で快哉を叫んでいる人たちがいて、ロシアがいかに嫌われていたかがわかるしまたその権威の凋落に溜まりに溜まった不満を爆発させてる人がたくさんいるということがわかって、確かにこれは象徴性のある出来事だったなと思う。

ウクライナでの戦争が始まったのはまだ今年のことなのだけど、その中でキーウ急襲失敗、黒海艦隊旗艦モスクワ轟沈、ハリコフ戦線での潰走に続き、クリミア大橋崩壊はウクライナ領土のロシア支配の崩壊を象徴する出来事だっただろうと思う。ウクライナ軍の指揮はまた上がるだろうけれども、破れかぶれでの核使用があるのではないかという懸念もまた起こってはくるだろうとは思う。

そうした状況の中で、ウクライナでの戦役の初期にスターリンクの使用をウクライナ側に提供し、一躍英雄視されたイーロン・マスク氏がこの戦争の終結についてかなりロシア寄りの「現実的な解決策」と主張するものを言い出して波紋を広げている。ウクライナ側は即時にこれを否定したが、戦争初期に英雄視され評価が高まった人だけに、残念な印象を残すことになった。

https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-musk-idJPKBN2QY24G

そのマスク氏が、今度は台湾問題の「現実的」解決、つまり香港と同じような一国二制度を導入したらどうかと言い出して、これも「香港の現実」を見て言っているとは思えない「ぼくのかんがえたさいきょうのかいけつあん」を示していて一体どうしたのかという感じになっている。

https://jp.reuters.com/article/china-taiwan-musk-idJPKBN2R3028

今のところの判断ではあるが、ロシアや中国からマスク氏に利益が供与されたとかそういう形での発言ではないように思われる。恐らくは、「ここに巨大なビジネスチャンスがあるのに政治問題のような「くだらない」問題でそれが進められないのは歯痒くて仕方ない」ということなのではないかと思う。つまり徹底的にビジネス脳なんではないかという気がする。ノルドストリームの破壊とかクリミア大橋爆破とか、経済開発的立場から言えばあまりに大きな無駄が出ているのが残念だという判断なのではないかと思う。

しかし、マスク氏のような世界に影響力を持つ事業家の発言は影響力はある。中国政府はスターリンクを目の敵にしているようだし、その中での中国よりとも思えるような発言は政治的な方向から考えると理解はできないが、ビジネス的な方向から考えれば「現状で大体双方が妥協して破壊をこれ以上行わない方が現実的」という判断はあり得ないことはないだろう。

これは日本の財界や経済人が概ね中国よりの発言を繰り返しているのと似ているわけで、問題があろうとも現実に権力を握っている人たちがその国を強権的であっても安定させているのだから、その国のやり方は一応受け入れた上でビジネスをやっていこうということになってしまうのだろうと思う。つまり、ある意味で「悪気はない」。

正義が暴走すると危険なのはBLMやポリコレの暴走を見ていればよくわかるけれども、ビジネス至上主義に走るのも大変問題が多いことは明らかなわけで、アダムスミスがなぜ経済学の基礎を築きながら「道徳感情論」も表しているのかなど、つまり人間は多面的な存在であり社会や経済、国家や権力のあり方も正義やビジネスのそれぞれ一面から見て判断してそれで良いということにはならないということなのだけど、どうしてもそうなりがちなのがどうしたものかとは思う。

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こういう世界的な次元とは違う話だが、ひろゆき氏が沖縄の反基地運動の「座り込み」が「座り込んでないw」と発言したことが日本の左翼界に激震を呼んだらしく、大騒ぎになっている。まあこれは「王様は裸だ」と言ったにすぎないのだけど、「裸ではない!」ということを前提として全てのものが成り立っている界隈では存在を全否定された感じになってしまうのだろうと思う。彼もある意味で「悪気はない」(悪気しかないとも言えるが)が、インターネットの初期から彼を見ている人たちはいくつも訴訟を起こされていたりそれに真摯に対応してきたとは言えない態度で来ていることとかを知っているからそんな人だと思っているけれども、近年また色々なところで取り上げられるようになって奇妙に支持されるようになってきていて、恐らくはその態度の不真面目さが権力批判的・反権力的に見えて「かっこいい」ということなのだろうけど、なぜか左翼方面からも好感を持って見られていたようなので、その辺で激震を呼んだということなのだろう。

大正時代に永井柳太郎という政治家がいて、原敬内閣の政治について「西にレーニン、東に原敬」と言って批判したために懲罰を受けたのだが、まあスケールは違うとはいえ、「東にひろゆき、西にイーロン・マスク」みたいな状態になっているのは面白いなとは思った。まあウクライナでの大戦争に比べれば日本で起こっていることはまさにコップの中の嵐なので、比較にはならないのではあるが、「五円玉と月の見かけの大きさが同じである」みたいなレベルで大きいように感じられたりはするかもしれない。


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