冬目景「百木田家の古書暮らし」2巻を読んだ:恋愛密度と古書密度の高い作品だった。私は好きだ。

Posted at 22/10/20

10月20日(木)晴れ

今朝はよく晴れていて、その分冷え込みが強い。先程の気温は2.7度だった。秋も深まってきて、季節の流れを感じる。

昨日はこのところ懸案になっていた散髪にようやく行けて、だいぶ頭が軽くなった。天気がいいのと頭が軽くなったので少しハイになっていた感じがする。なるべく落ち着いて過ごしたい。

昨日はマンガを3冊買った。「【推しの子】」9巻、「かぐや様は告らせたい」27巻、「百木田家の古書暮らし」2巻。上記2作品はずっと読んでいるので、今日は「百木田家の古書暮らし」の話を。

「百木田家の古書暮らし」の「百木田」は「からきだ」と読む。作者は「イエスタデイを歌って」「空電ノイズの姫君」の冬目景さん。祖父から神保町の古書店を受け継いだ3人姉妹、特に実際に古書店を切り盛りする次女の二実(つぐみ)が主筋を担っているのだが、姉でOL(編集者)の一果(イチカ)、妹の高校生の三稔(ミノル)の二人もその個性や恋愛模様によって物語を華やかにしている。それぞれがそれぞれに思い人がいるのだけど、こじらせ具合が一番進んでいる二実が「高校生の頃に気になっていた人」が「隣の古書店の住み込み従業員(?)」であることが判明(梓沢和本・あずさわかずもと)し、3人姉妹が自由人で海外勤務で研究者の父に振り回されながら、父の兄であることが判明した画家・普世久講(ふせ・ひさつぐ)の残したものをめぐり、その部分においては少し、いわば「古書ミステリー」のような展開で話が進んでいく。
冬目景さんの作品では「イエスタデイを歌って」でもだいぶ男女の関係について考えさせられるところがあったが、今回もなんというかちょっとすっ飛んでいるけれども「濃い」人間関係が描かれ、恋愛濃度が高い作品になっているなと思う。

空電ノイズの姫君 (1) (バーズコミックス)
冬目景
幻冬舎コミックス
2017-04-24




「空電ノイズの姫君」はそうでもなかったが、「イエスタデイを歌って」の方を後で読んでいるので恋愛物の作家、というイメージがあるのだけど、この濃度の高さは最近の作家ではあまり見ない感じがするなと思う。

もちろん恋愛そのものは今でも描かれた作品は量産されているのだけど、何というか味が薄いという感じのものが多い。その分カジュアルにスッキリと読めるのだけど。冬目景さんの描く恋愛模様は味が濃い。キャラそのものも一人一人みんなかなり濃いと言えばいい感じがする。

こういう濃さは自分が恋愛の当事者だった頃のことを色々思い出させるのだけど、恋愛というものも時代によって変化している感じはするし、少し懐かしい感じはするのだけど、でもやはり「あーそうそう」というところもあって、やはりこの方の作品は面白い。じっくり集中して読んだし読後感もいい。

Twitterを見ていて神保町の文房堂という画材店が2巻の裏表紙に描かれているということを知った。私もよくいくし喫茶室もよく使っているので、こういうことがあると身近感があっていいなと思う。私自身神保町自体よくいくし、店の佇まいなどもこういう店あるよねという感じなので、その部分でも読んでいて面白いところはある。また古書の取引やお客さんとのやりとりなども、なるほどそういうものなのかと面白く感じる部分も色々ある。

冬目景さんの作品が好きな人はもとより、本や古書が好きな人にもお勧めできる作品だと思う。


「天才柳沢教授の生活」の山下和美さんが、世田谷の洋館「旧尾崎邸」の保存プロジェクトをやっていて、これは山下さんは作品にもしているのだけど、このプロジェクトに冬目景さんが協力してサイン本を出す、という話をたまたまこれもTwitterで読んで、20時から出品と書いてあったので10分後に見に行ったらもう完売。一冊5万円というのはその時知ったのだが、6冊出して瞬殺だったと。一瞬で30万。

世田谷の洋館の保存なんて無限にお金がかかりそうではあるのだが、なかなか5万円というのはパッとは出せない。きっと間に合っても考えているうちに売り切れになったパターンだろうなと思う。冬目景さんの人気を改めて知った感じがした。




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by Luke Peterson

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