人に響く文章を書きたい。

Posted at 21/09/09

しばらくの間、自分の中がしんどくなって、ブログもあまり書けず、仕事にも色々と支障がある感じになっていたのだが、だいぶ落ち着いてきた。

文章を書くのも、なんのために書くのかを見失っていたところがあるなと思う。こういうことはしばらく書かない時期がないと客観的に見られないものだなと思う。

結局、私が文章を書くのは、自分自身を表現することなんだなと思う。自分自身というのは生身の自分自身というのとはちょっと違うのだが、自分がこう思うということ、こう感じるということ、これはおかしいと感じるということ、これが好きだということ、こういうことをしてこう感じたということ、こういう本を読んでこう思ったということ、自分というものの輪郭のようなものを表現していくということなんだろうと思う。

こういうことを考えている人間がいる。こういうことを思っている人間がいる。そういうことを表現することがまず第一に大事なんだろうと思う。

その人がいなくなったら跡形もなく消えてしまう何か、というものはたくさんあるわけだけど、文章というものは残る。もうすでに書いた人がこの世からいなくなってしまったけれど、ネット上に漂っている文章というのはすでに無数にあるだろう。そしてそういう文章に励まされたり、発見があったり、もっと調べたくなったりすることも多いに違いないと思う。

ネットの文章というのはある意味ヴァーチャルな存在で、あると思っていたのにいつの間にか消えたていたりする。だから、紙の本にして自分の思ったことを残したいという気持ちもある。しかし紙の本は売れなければ、あるいは売り終わられれば流通するチャンスは失われる。運よく図書館に収納され、それが読まれている間は誰かに伝えることもできる。

言葉としては、そういうネットを漂っている文章よりも、書籍になってどこかに埋もれたり、あるいは図書館でほそぼそと読まれている文章の方が価値のある文章も多いだろうと思う。ただ、そういうものよりも、いつともしれない時間にネットの海に投げ込まれたなんらかの文章の方が、何かの偶然で誰かの目に留まることがあり得るというのは、不思議な話だなと思う。

文章を書籍として残したいと思う一方で、ネットでものを書くことの魅力も見捨てがたいのは、そういうところだろうと思う。

文章は自分を表現するもの、というと「自分という存在を認識させたい」というふうに考えられるしもちろんそういうこともあるのだけど、自分というものが認められなくても「こういうことを考えた人がいる、誰が言ったのかよくわからないけど」ということで伝わればそれも嬉しい、ということもある。文章やテキストの無署名性というのはネット掲示板が有力なメディアになったときにすでに言われていたけれども、そういう形で共有されていくものも確かにあるしそれもまた現代の文化現象として面白いとは思うのだけど、断片的な自分の文章を誰かが読んでいくうちに、その人の中にホログラムのようにヴァーチャルな「自分」というものが立ち上がっていく感じというのも割と面白いと思う。

だからそこで表現される自分というのは、先に書いたように「生身の自分」ではない。最近はなかなか機会がなくなったが、以前は時々いわゆる「オフ会」というものに参加して、色々な人の話を聞いたりしたこともあったのだが、面白いのは会ったときに「想像通りの人だった!」と言われることもあるし、「女の人だと思っていた」と言われることがあったり、「想像がつかないでいたけどこういう人だったのか納得w」みたいに言われることもあって、それぞれの人の中に立ち上がった自分というホログラムの多様性が面白かったりすることもあるわけだ。

しかし実際のところ、自分が「よく知っている」と思う人に「意外な一面」があるというようなことは、普通に生活していてもよくあることだ。その人の文章の中でも自分が面白いと思うことしか本当には読んでいないから、そうでない部分のその人、というのは全くの異邦人に感じたりすることもなくはない。

人を理解するということもそういう意味で曖昧さと多義性を避けられないものであるから、その人の中の幻のようなホログラムがその人に何か響くものがあればそれで十分面白いとも言える。

政治のことを書いてもマンガのことを書いてもこういうなんとなく思っていることを書いても響き方は読む人次第なので、できればどの文章も色々な人に読まれて響いていくといいなと思うのだが、まあそういうことを考えながら書いていきたいと思っている。

五大にみな響きあり。空海でした。

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