「レンマ学」:中沢新一さんの描写する華厳経世界

Posted at 21/07/07

ネット上でもリアルでも毎日いろいろなことが起こるし、今日は七夕なのに朝からずっと雨が降っているのだが、世界は豊かなのか貧しいのかよくわからない状態の中、物事はなんだか動いていく。

「レンマ学」は第2章まで読み終わって、第3章の華厳教に関する記述を読んでいるのだが、ここで描写されている「法界」の姿がすごくリアルに伝わってくるというか、中沢さんの描写力が優れているなと思う。仏教世界のことをそんなに知らないので自分に見えてくる景色のリアルさがそのような解釈でいいのかどうかはよくわからないのだけど、例えば法華経に依拠して日蓮が描いた釈迦の「本来の姿」とか、あるいはダンテの「神曲」の中で描写される天国の描写などから得られたイメージにかなり重なり合うものを感じる。

それにしても描写される「法界」の姿の中で行われているのが仏たちによる「説法=真理の伝達」であるというのが面白いなと思った。キリスト教にしろなんにしろ普通に行われる天国ないし極楽の描写は「楽園」であってある意味肉体的欲望・精神的欲望が成就している世界であるように思うのだが、法界では行われているのは「説法」であるわけだ。

しかし、考えてみるとこの「説法」というのは言語=ロゴスによるものだけではなく、もっと暗示的なものを含む表現全般のもの、例えば拈華微笑であるとかジャータカ的な物語的なものであるとか与える方も受け取る方も一を聞いて十を知るくらいの精神的身体的知力を要求されるというか、なんだかそういうある意味「魔法少女まどか☆マギカ」の中で描写されるイヌカレー的な世界というか、光とか熱とかそういう言葉ではないものもまた一つの説法、みたいな感じの世界なんだろうなと思う。

まあ法華経とか観音経とかも昔は全然わからんというかむしろ私と無縁なものだと思っていたけれども、日蓮の説法の解釈について読んだり花輪和一のマンガで扱われる観音経について考えることで理解はしてないまでもある種のイメージができてきたりはしていて、レンマ的世界というものを見るだけでなく華厳経世界というものに触れるという意味でもこの本を読む意味はあるなと思った。

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