今読んでる本を10冊あげてみる。

Posted at 21/02/01

意識しないでいるうちに、読もうと思って買った本がかなり溜まってきてしまった。ただこれはいいことだと自分では思っている。と言うのは、「読もう」と言うほどではないけど何か買っておきたい、と思って買う本がここ数年本当に多くなっていたからで、もともと読もうと言うモチベーションがあまり強くないまま買ってしまった本はなかなか読めない。最後まで読めない、と言う程度ならまだいいが、買ったのにページを開いてない本もある。

その一つの原因はこのコロナ禍にもあって、以前は都心の大きな書店や古書店に行ってじっくりと品定めをして買う、と言うのが楽しみでもあったのだが、去年の3月を最後にそう言うことは自粛しているため、書店で本を買うと言う行為は地元の書店でしかできていない。地元の書店では残念ながら新書クラスならある程度は手に入るが、アカデミックな初版本などは手に入らない。しばらく前にようやく松本まで行って丸善で何冊か本を買ったのだが、やはり楽しいものだった。

地元の一般書店で手に入りにくい本はAmazonで調べて注文するか、図書館に行って借りる。一般の市立図書館には専門書はそんなにないのだが、幸いなことに諏訪市には「信州楓樹文庫」があり、ここには岩波書店の出版物が、戦前出版の一部を除き、全て揃っている。これは諏訪市が岩波書店創業者の岩波茂雄の出身地であることから作られたもので、私のような人間にとっては大変ありがたい。

今読もうとしている本は自分の今の問題関心のために買ったものなので、どれも読むのにモチベーションがある。とりあえず10冊あげておきたいと思う。

まず、先日インタビューを読んだエマニュエル・トッドとその関連の本。これは「世界をどう捉えるか」、あるいは「現在の世界はなぜこうなっているか」に関する考察という点が一番興味深い。問題意識的にトッドの見方と自分の見方はかなり近い感じがするので彼がどういう考察からその意識に至ったのかを知ることは興味がある。

世界の多様性 家族構造と近代性
エマニュエル・トッド
藤原書店
2008-09-20


帝国以後 〔アメリカ・システムの崩壊〕
エマニュエル トッド
藤原書店
2003-04-30



順番に、「世界の多様性」、「帝国以後」、「「帝国以後」と日本の選択」、「大分裂」と4冊ある。目次等をパラパラと読んだ限りでは、特に重要なのは「世界の多様性」だろうか。これはトッドの主たる業績である歴史人口学による世界の見方について述べられていて本格的な研究書だ。邦訳も大きく重く、文字通り重みがある。それから「帝国以後」。これはアメリカの衰退について予測が述べられているらしく、興味深い。「日本の選択」は「帝国以後」を読んだ日本の論者の評価と対談等。「大分裂」は最近の本だが、学歴エリートと民衆の分断、それがもたらしたトランプ現象およびブレグジットについての見解という感じである。
それから、「中国とどう対するべきか」というテーマから、地政学関係のものを2冊。松本利秋「地政学が予測する日本の未来」と神野正史「地政学見るだけノート」。中国の大国化は近隣国である日本にとっても大変大きな問題なわけだが、軍事面での分析、経済面での分析、科学技術面、社会面、「人の移動」の面、そして感染症など「未知なものをもたらすリスク」などについて考えるべきだが、欧米諸国と違って日本は地理的に近いところにあるから物理的に影響を受けやすい面がある。地政学というのはもともと軍事分析のための学問であり、戦後の日本では胡散臭いものと扱われてきた面はあると思うが、基本的な概念は学んでおいたほうがいいと以前から思っていた。「見るだけノート」はコンビニで買って積読になっていたのだが、「日本の未来」を買った機会に参照しながら2冊を並行して読んでみようと思う。
それから成毛真「バズる書き方」。これはSNSやブログでの発信の仕方について述べられたものだが、著者はもともと出版に携わる人でないところが、好感を持てる書き方になっているように思う。この手の本は読み手をバカにしたような作りになっているものが多いが、この本はちゃんと考え方もはっきりしていて読んでいて色々考えさせられる。私とは考え方が違うところも色々あるが、示唆を受けるところも多い。
そして中山智香子「経済学の堕落を撃つ」。これはネオリベラリズムの道具と堕している経済学を批判するものという感じだ。「もともと経済学が持っていた志」のようなものから考えさせられる内容になっているようだ。この辺り、歴史学の方では「モラル・エコノミー」の概念もあり、そのあたりとも照らし合わせながら読んでいきたいと思う。
それから歴史関係。南北朝時代史を扱った呉座勇一編「南朝研究の最前線」は昨日書いたが、順不同で大体半分読み終わった。新しい研究がどのように進んでいるのかがわかり、とても興味深い。それから小林和幸編「明治史研究の最前線」。最近、歴史研究の「最前線」と銘打った本が色々出ていて、それぞれに興味深いのだが、明治史も関心のあるところなので、これもしっかり読んでおきたいと思う。

明治史研究の最前線 (筑摩選書)
小林和幸
筑摩書房
2020-02-28



Twitterで色々な議論に首を突っ込んでいると色々な興味が生まれ色々と本を読みたくなるので、なかなか面白いなと思う。またそれぞれの問題意識に沿った内容の文章にも反映させていきたいと思う。






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