ジャンプ新連載「逃げ上手の若君」と「南朝研究の最前線」、「諏訪信仰」など

Posted at 21/01/29

週刊少年ジャンプで「暗殺教室」の松井優征さんの新作『逃げ上手の若君』の連載がスタートし、鎌倉幕府北条得宗家の遺児・北条時行が主人公とされ、ストーリーも大変おもしろく、主人公の8歳の少年・北条時行と、その補佐をする御内人の諏訪頼重、ラスボスらしき足利尊氏とそれぞれのキャラクターも大変魅力的であり、先に大いに期待が持てることもあって、ネットでもマンガファン・歴史ファン問わず大きな話題になっている。


私自身も、最近はほとんど出していなかったジャンプのアンケートはがきを出したし、この作品には大いに期待している。

それに伴って北条時行や南北朝関係のことを調べる人も急増したようで、ウィキペディアの「北条時行」の項目もかなり更新・編集されているようだ。

このように急に時行への関心が高まったのは、「暗殺教室」というヒット作を出した松井氏の新作ということもあるけれども、「北条時行」という歴史好きにとっても今まで盲点となっていた人物の人生の意外な面白さに、多くの人が触れ、また強い関心を呼んだ、ということが大きいのだと思う。
中世史に関してはここのところ一般にも話題になる書物が多く、呉座勇一氏の「応仁の乱」、亀田俊和氏の「観応の擾乱」(いずれも中公新書)など、歴史ファンのみならず新書で広く読まれる作品(研究)も多く出ているが、鎌倉末から室町初期にかけてのいわゆる「南北朝時代」に関する研究としては、両氏を始め多くの研究者が寄稿している「南朝研究の最前線」(洋泉社歴史新書)が参考になると思われる。
北条時行に関しては第5章、鈴木由美氏の「鎌倉幕府滅亡後も、戦いつづけた北条一族」の中で多く取り上げられているが、幕府滅亡時に北条一族は全て自刃したという一般に強いイメージと違い、実際には生き延びた一族もいて、時行のように建武政権や足利尊氏に対する反発から反乱の中心として担ぎ出される人物もかなりいたということなど、興味深い事実があげられている。

他にも一方の主役とも言うべき新田義貞の新田氏に関する谷口雄太氏の論考など、従来のイメージを覆す研究も多く掲載され、まさに「最前線」の印象がある。

私は長野県諏訪市出身で、現在はコロナの影響もあり諏訪市に長期滞在中なので、その間諏訪大社や諏訪氏などについて調べたり本を読んだりした中でも「北条時行」や「諏訪頼重」は出てきていて、特に「諏訪頼重」は同名の人物が二人おり、従来取り上げられてきたのは戦国時代、武田信玄に滅ぼされた諏訪氏の棟梁としての頼重の方で、中先代の乱の頼重はあまり取り上げられることがなかったのだが、今回強く注目を浴びていてまた一般の関心や啓蒙、それに合わせての研究も盛んになるのではないかと思った。

諏訪においては諏訪湖の御神渡りや諏訪大社で7年に1度催される御柱祭など諏訪信仰に関連するものは多いわけだが、なかでも御柱祭は来年行われる予定になっていて、コロナが終息すれば多くの人が諏訪に集まる、そのきっかけにもこの「逃げ上手の若君」はなるのではないか、と思ったりもする。

そのような点も含め、いろいろな方面から関心の集まるこの作品の、これからの展開を期待して行きたいと思う。

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