中国の内部矛盾と日本の防衛政策:エマニュエル=トッド・インタビューを読んで(4)

Posted at 21/01/27

トッドのインタビューについて毎日少しずつ書いているが、今回は第4回、中国の内部矛盾の問題と、日本の防衛政策について。

https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/00119/00104/

この辺り、トッドは遠くヨーロッパからアジアを見ているということにおいて、東アジアの実情の細かいことを知らないんだろうなと思うところがあることと、だからそれゆえに現実にアメリカや中国の圧力にさらされている我々、「くびきとしての日本国憲法」から逃れるのが難しい我々では思い付かないことが意見として表明できるという利点も感じた。

中国は輸出貿易に頼りすぎていて国内の需要が停滞している、というのがトッドの見立てだが、この辺りは私も統計をちゃんと見ていないのでよくわからないところがあるが、国際的な保護主義によって救われるのはむしろ中国である、というのはそうなのかもしれないと思った。

中国の現況は改革開放政策が続けられてきたことで今なおいわゆる開発独裁が続いているとも言えるが、韓国や台湾などの規模の国と比べて桁違いに国が大きいので、極度に発展した沿岸部とまだ立ち遅れの目立つ内陸部・西部というような状況になっているのだろう。

中国の出生率は下がっているというが、もともと一人っ子政策だったわけだから人口抑制策が続いていたわけだけど、それとの関連についてもちょっとよくわからない。この辺り、日経の記者の方もトッド本人も中国については研究不足なのではないかと感じた。

中国のナショナリズム的な対応は、内部の不平等の広がりを抑え込もうとしているように見え、それを理想によって抑え込もうとしている見える、と。西部大開発とかそういうことかと思うが、中国の少数民族政策の問題性には触れていない。

それから中国の問題点として、アメリカに追いつけ追い越せはできるが一番になった時にさらにイノベーションを続ける文化がないので、そこで崩壊してしまうのではないかといっている。この辺りは清朝の洋務運動などを思わせるが、この辺りもそう言い切れるかどうかはわからない。

ただこのあたりを読んでみて、自分はここ20年ほどの中国の状況について、きちんと押さえていないことが多いなということは思った。

それから中国に対する日本の防衛政策については、これは彼の持論だと思われるが、「核武装」を提案している。これはドゴール以来のフランスの政策を日本にも当て嵌めようとしているのかなという感じはする。これは対米従属からの独立という意味もあるのだろう。今の日本においては右派には提起する人もいるが、今のところ非現実的な政策であると思われるが、核武装も必要かもしれないがまずその前にもっと通常の武装が必要だと思われる。ただ、方向性としては防衛政策については基本はトッドの提案には割と賛成の面が大きい。日本はアメリカの世界戦略の中で居場所を見つけるという方向ではなく、日本独自の防衛戦略を持つべきだと思う。

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