村上春樹インタビュー「みみずくは黄昏に飛びたつ」や「One Piece」85巻の感想など。

Posted at 17/05/03

買った本、読んだ本。先週末から今日にかけて(4月30日〜5月3日)。
4月30日村上春樹・川上未映子「みみずくは黄昏に飛びたつ」(新潮社)日比谷シャンテ八重洲ブックセンター。

村上春樹に川上未映子がインタビューする、という本で、これはかなり面白かった。村上春樹の本は基本的にすぐ読んでしまうのだが、でも紀行文とかエッセイとかはあまり読めないな、そういえば。私は彼の感性に共感するから読むというのではないからなのだと思う。エッセイとかで彼の感性が現れているような文章は読んでても正直あまり面白くない。それが小説の中に書かれていることならそうも思わないのだけど、村上さん本人の感覚として述べられると「この人には共感出来ないな」と思ってしまう。

インタビュアーの川上未映子さんの作品は私は「乳と卵」しか読んでないが、正直よくわからない。よくわからないということはあまり面白くなかったということだ。それにこの本の中でも自分はフェミニストだと言っているし、また村上さん本人がよくいう「僕はとても個人(主義)的な人間なので」というところにも必ずしも共感出来ない。

しかし、この本がとにかく面白く、最後まで割合一気に読めてしまったのは、小説を書く、あるいは文章を書く、物語を作る上での方法論みたいなものがかなりふんだんに明らかにされていて、また川上さんが聞きたいことに対してかなりしつこく食い下がっていて、村上さんがかなり返答に窮したり考えてから答えたり、あるいは川上さんが意気込んで質問したことがするっと透明人間みたいに村上さんを通過してしまったりするそのやり取り、つまり二人の丁々発止がとても面白かったということもある。

最初は感想をツイッターでツイートしながら読んでたりもしたのだが、途中からとにかく読もうという感じになってじっくり読み、またもう一度読み返したいという感じもあって、途中からはツイートしなくなった。

しかし、300ページを超える本を間然とすることなく読み切ったのは村上さんの「騎士団長殺し」以来で、年に何冊もない。(「応仁の乱」さえ途中で渋滞してる)すごく自分にとっても色々なものが刺激される本だった。
5月1日アゴタ・クリストフ「文盲」(白水uブックス、2014)丸の内丸善。これは前の日に銀座の書店(だったかな)で少し読んで結局買わなかったのだが、彼女の「昨日」という自伝的な作品を読んでとても面白かった記憶があって、(「悪童日記」は最後まで読めてない)買うことにした。まだ途中なのだが、ソ連侵入前のハンガリーの寄宿学校の様子とか、興味深い。本好きの子どもが亡命することで母語を失い、新しい国では「文盲」になってしまう。その痛烈さが、まだそこまで行ってないのだけど、反響している感じがする。

5月2日。ジャンプコミックスの発売日が連休の間に入っているというのは、連休進行でジャンプが一週抜けになることを考えると偶然かもしれないが上手い戦略だなと思った。
今回はKindleで3冊、紙の単行本で2冊買った。まずKindle版で読んだもの。
附田祐斗・佐伯俊「食戟のソーマ」24巻(200話〜208話)。あらすじを紹介するのも何なので感想だけ。主人公の幸平創真たちが通う遠月学園(料理が全ての学校)がライバルにしてヒロインの薙切えりなの父・薊に乗っ取られ、創真の友人たちも退学になってしまう。それを覆すために創真たちが立ち上がると彼の父・才波城一郎や追放されたえりなの祖父・仙左衛門たちが助力に立ち上がり、薊たちと遠月のトップに立つ十傑たちに「連隊食戟」を挑む。その一回戦で創真は十傑6席の紀伊国寧々と対戦するが、彼女の得意とする蕎麦での対決になってしまう・・・ってあらすじそのものだな。少年マンガの感想ってなかなか難しいのだけど、私はこの巻では204話でえりなが薊に対し十傑の任を返上し、「ただの薙切えりな」として戦う、と啖呵を切る場面が一番好きだ。
田畠裕基「ブラッククローバー」11巻(91話〜100話)。そうかブラクロ、もう11巻100話なのか。中世的な魔力が全ての世界で、魔力のない少年アスタが魔法騎士団に入り、活躍するという話。この巻では反魔法の剣を操るアスタが剣の魔力に目覚め、それを制御出来るようになる。これは誰かが何かで書いていたが、中学生が考えたようなストーリーですごく上手い絵でそれが展開して行く、というのは言いたいことはわかる感じ。ただこの作品、この作者が持ってる全てが反映しているかと言えばそうでもない気がする。このノリをもっと見ていたい気もするし、次回作を読んでみたい気もする。
 
吾峠呼世晴「鬼滅の刃」6巻(44話〜52話)。大正時代を舞台にした鬼とそれを滅ぼそうとする鬼滅隊の戦い。鬼に家族を殺され、妹の禰豆子を鬼にされてしまった少年・竃門炭治郎が鬼滅隊に入り、鬼の総元締である鬼舞辻無惨を倒すために与えられた任務を遂行しながら鬼舞辻に迫って行く。私はこの妹の禰豆子のキャラクターが好きだ。大正ロマンと昭和初期に流行ったような絵柄、それに現代的な漫画とをミックスしたような絵柄で、独特の世界を描き出している。いまのジャンプの作品の中では一番マニアックかもしれない。最初はいつまで続くか危ぶんでいたが、ある程度のところまでは続くのではないかという気がする。鬼や鬼滅隊の面々の個性がそれぞれ魅力的だ。

以下は単行本で買ったもの。


 
「One Piece」85巻(849話〜858話)。この21世紀初頭を代表する大長編漫画は、しばらく前から「新世界」と呼ばれる領域を支配する四皇の一人・ビッグマムの本拠地ホールケーキアイランドで話が展開している。「ホールケーキアイランド」編の重要人物は女性が多い。ビッグマムと北の海の海賊集団・ヴィンスモークとの政略結婚により、主人公ルフィの「麦わらの一味」のコック・サンジ(実はヴィンスモーク家の3男)が一味から連れ去られ、それを取り戻しにルフィたちがホールケーキアイランドに乗り込むのだが、ひょんなことからルフィの命を救ったサンジの姉のレイジュ、サンジの結婚相手であるビッグマムの娘・プリンなど、重要な登場人物がみな魅力的だ。そして表紙にも描かれているがうさぎのミンク族のキャロットもいい味を出している。あ、だいたい強力な的であるビッグマム自身が女性だった。忘れがちだが。
古舘春一「ハイキュー!」26巻(225話〜233話)。以上2冊はTSUTAYA諏訪中洲店で購入。白鳥沢学園をはじめとした強豪を次々と打ち破り、宮城県大会で優勝し春高バレー全国大会に出場した主人公日向翔陽たち烏野高校バレー部。宮城県大会のレベルまでは同じライバル校が何度も出て来ていたが、全国大会なので初めて対戦する学校が多い。そのために強豪のメンバーを日本代表のユースで前の25巻で描いていて、早くその強豪との試合が見たい、という感じになっている。構成が上手い。

この巻では、いままでほとんど脇役だった3年生のマネージャー・清水潔子がまるまる一話主役になっていて、この巻では表紙もゲットしている。清水さん作中では大人気という設定なのに人気投票をやるとあまり上位に行かなくてなんだなと思っていたが、これでファンも増えるかもしれない。裏表紙は翔陽と妹の夏。オレンジ色の髪の毛の兄妹。

あと気がついたのは、春高全国大会初戦で翔陽はバッグを間違えられてシューズを持って行かれてしまって(清水さんが受け取りに行くのだが、それでこの回が清水さんが主役になった)、アップの時は裸足でボール拾いをやっていたのだけど、連載時にはその場面が裸足でなくて靴をはいて描かれていて修正が間に合わなかったのだなと思ったのだが、単行本では直っていた。

と、言うわけで、5作品ともジャンプ本誌ではすでに読んでいるのだけど、面白かった。

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