肥谷圭介・鈴木大介「ギャングース」ともんでんあきこ「エロスの種子」

Posted at 17/04/22

だんだんブログを更新するペースが戻って来たかな。気持ちが文章を書くほうにも向いて来たというか。やはり何か書いていたほうが自分の中に変に溜まるものが少なくて済むなと思う。まだ読んで面白いものになっているかどうかは何とも言えないが。

昨日は午前中、銀行に行ったあとユニクロと平安堂書店に行こうと思っていたのだけど、銀行の仕事が思ったより手間取ってユニクロにしか行けなかった。一冬ずっと着ていたカーディガン・セーターのたぐいが皆どこかしら穴が開いて来ていて、もうそういう季節ではないのだけど買っておかないとと思い買いに行ったのだが、結局グレーのと紺のとをVネックのを買った。少し季節としては暖か過ぎる感じではあったが、寒い日もあるからそれはまあいいかと思った。

で、結局午後、用事と用事の間に平安堂書店に行って、特に何か買うつもりではなかったのだけど、目についたマンガを二つ買って来た。
肥谷圭介・鈴木大介「ギャングース」最終16巻(モーニングKC)。親もなく少年院に入れられた子どもたちがどん底で仲間を作り、半グレの不良集団をタタイて世の中を変えようとする、という、日本残酷物語現代版と言うか、という話なのだが、作中に紹介されているオレオレ詐欺の手口やリフォーム詐欺の手口など、実際に行われている犯罪がリアルに語られていて、そういう意味では防犯にも役立つ、みたいな作品。

最終巻ではついに半グレ集団のボス、「六龍天」の安達を叩くことに成功し、100億超のお金を手に入れて高飛びし、主人公は死んでしまうが仲間たちは皆その後成功し、「オレ達みたいな子どもが出ないような」社会を作ることを目指す、というラストになっていて、まあ現実にはなかなかファンタジーなのだけど、まあこういう感じで占めてくれると少しは慰めになる、という感じでもあった。「「子どもの貧困」なんてない」、という、それはそれでかなりのファンタジーがいまでも信じている人がまだまだいることを考えると、そういう人にはぜひ読んでもらいたいと思う作品。私は結局全巻揃えた。実際、この作品は「稼業人」もずいぶん読んでいるらしく、そういう意味でもすごい作品になっている。
同系統の作品としては「闇金ウシジマくん」があるが、どちらもさすがに重いテーマなので、ギャグタッチでファンタジー的なところもある「ギャングース」のほうが私は好きだ。まあ簡単に言えば、「ギャングース」は少年マンガ寄り、「ウシジマくん」は青年マンガ、ということなんだろう。

「ウシジマくん」は読み終わるとどーっと来る。それは「ギャングース」みたいに最底辺の不良少年達だけでなく、普通の一般家庭も一つ間違えば最低最悪に転落しかねない、というのを描いているからだろう。それはそれでリアルだし意味はあると思うのだけど、「貧困」が親から子にその状態が継続してなかなか這い上がれない、日本には延々とそういう「這い上がれない貧困」があった、ということは、むしろ「ギャングース」の方が描かれているように思った。「ウシジマくん」は全巻読んだわけではないのでそういう部分もあるのかもしれないけど。




もんでんあきこ「エロスの種子」1巻(ヤンジャンコミックス)。ツイッターでフォローしているもんでんさんの作品は全部追いかけているわけではないのだが、最新作を少し読んでみようと思って買った。かなり古風な感じなのは、今より少し前の時代を描いているから、だけではない気がする。

エロスを描いていてもクラシックな雰囲気があるのは、作者のもともと持っている格調の高さのようなものが現れているからではないかと思う。女性作家の描く女性の裸体というのは男性作家のようにファンタジーにまみれてはいなくて、どちらかという醒めている、冷徹ささえ感じることが多いが、もんでんさんもどちらかと言えばそういう方向だろうか。ただ、ちゃんと男性目線も感じるので、その複合性もまた格調と言うべきだろう。

収録されているのは4話、グランドジャンププレミアム(月刊)に一話完結の読切りで掲載されたもののようだ。40ページ〜60ページと言うかなり自由な量で描かれていて、自分など生まれていない時代のことが描かれている部分でも、生まれていないのに懐かしい、という感じがする(もちろん作者も生まれていないだろう)ところが作品の力というものだなと思った。

「因果」は戦前、「人形」は戦中、「ジゴロ」は現代、「マリーゴールド」は戦後。この作品群の時代配置も見事というしかない。

女性は男性をシビアに見ているということがよくわかるし、まあだからこそ愛しい存在だ、ということもある。描かれている男性はまあ何というかだめんずなんだけど、まあだからこそ愛しい存在だ、というふうにも見ているのだろうなとも思ったり。

この先、どのような話が描かれて行くのか、楽しみだ。

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by Luke Peterson

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