東京聖地化プロジェクト

Posted at 14/02/06

最近、いろいろなアイデアが出て来るのだけど、これはいいな、と思っているのが『東京聖地化プロジェクト』。

もともとは、ちきりんさんの日記のこのエントリに書いてあったこと。

「聖地」というのは、誰もが敬意を持って訪れる場所。聖地を訪れる旅を「巡礼」というように、それは聖なる旅であるわけだ。

東京を、その「聖地」にすること。

これもちきりんさんの日記に書いてあったことだけど、賛成するのは、世界的な都市には2種類あって、パリやロンドンのような伝統を持った都市と、ドバイやシンガポールのように戦略的に作られた都市があるということ。そして、東京は戦略都市ではなく、伝統都市だ、という点。

ウォーターフロントとか、一部を戦略的に発展させていくのはいいけれども、都市全体としてはやはり東京は伝統に根ざした都市。文化も自然も歴史もそれぞれ売りものになる都市だということだ。

便利だから人が訪れる戦略都市だけではなく、ただ物珍しい見ものがあるから集まる観光地でもなく、伝統に基づいた独自の文化があって、(秋葉原などの文化も、単に目新しいだけでなく、日本の伝統に続くものだと思うし、そういう見解もまた発信していくべき。村上隆さんのスーパーフラットなどはそういうものだと思う)その都市に対する畏敬の念を持って世界中の人を集める都市。

ニューヨークにはブロードウェイの夢が、ロンドンにはさまざまな物語や美術館や歴史。パリの革命やグルメや文学や美術や音楽。このカフェの子の椅子に、ドストエフスキーが座った、と言える都市が一体どれだけあるかということだ。

東京ならば、安倍公房が通った店とか、三島由紀夫が議論したテーブル、みたいなものだって用意できる。だからむしろスクラップアンドビルドは限定的にして、そういう「近代文学史跡」みたいなものは積極的に残した方がいい。補助金をつけてでも。

もちろんすべてを残すことはできないけれども、その現地の持つ力というものがある(それこそが聖地の力だ)から、そういうものを掘り起こしていくことはできるだろう。Vintageの持つ力は、東京にもあるという認識が必要だろう。

日本では、伝統都市とか文化都市と言うとどうしても「千年の歴史をもつ」京都や奈良になってしまうけど、「五百年の歴史を持つ」東京も十分その資格はあるわけで、江戸情緒の浅草とサブカルおたくの秋葉原、自然の残る高尾山、だけが東京とくくられてしまうのでは勿体ない。

東京を見直し、東京を再認識し、そして東京をリスペクトされる聖地として再プロデュースする。

ひとつの方法は、鳥井弘文さんたちがやっている訪日外国人向けのウェブメディアMatchaのように、東京の魅力を再発見し、それをしっかり伝えていくことだと思う。それも今までの紋切り型の紹介ではなく、若い人たちの目から見た東京の魅力、というところも重要になるだろう。

もうひとつ大事だと思うのは、東京の物語、神話を発信していくことだ。

東京にはいろいろなストーリーがある。映画のストーリーもあれば小説のストーリーもあり、歌舞伎のストーリーもあるし古代や中世にさかのぼるストーリーもある。

その中で、より「世界性」を持ったストーリー、「日本人だから理解できる」のではなく、世界中だれもが共感できるストーリーがあるはずだ。たとえば子どもを失った母の哀しみを描いた『隅田川』の物語のように。権力に抗い破れる悲しみもあれば、無味乾燥な仕事を嘆く工場労働者の悲劇もある。その物語の持つ聖なる力が、東京を聖化することが出来るだろう。

グローバル化とはただ単に市場に資金を呼び込むことだけではなく、私たちのうちにある世界性のようなものを、世界に訴えていくという面もある。

単に銀座に買い物に来て札びらを切る外国人たちだけでなく、より深い物語の地を求めて東京を訪れる人たちを大事にして行く。

物語を掘り起こし、また現在進行中の物語を作っていく。そういう努力がされていいと思う。

『東京を聖地に』。

そのスローガンで人々のアイデアを集めれば、必ず東京は世界の人たちからリスペクトされる都市になると思う。

そんな期待を、語ってみたい。

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