『進撃の巨人』とテレビアニメの制作態勢

Posted at 13/07/02

【『進撃の巨人』とテレビアニメのてんやわんやの制作態勢】

進撃の巨人 1 [初回特典:未発表漫画65P「進撃の巨人」0巻(作:諫山創)] [Blu-ray]
荒木哲郎監督作品
ポニーキャニオン

少し表現の世界から離れている感があるが、受け取る方では全く離れているわけでもない。特にこの日月は『進撃の巨人』の13話を何度か見返し、いろいろなことを思った。ここは原作でも圧倒的に名場面の回なので、どのように演出するか、どのような画面構成にするのかなど、非常に関心を強く持っていた。最近割とゆっくりのペースの回が続いていたのでこの回もたっぷりやるかと思ったら前半で穴をふさいでしまい、後半はリヴァイの登場、死んだマルコの発見、地下牢の中で目覚めるエレン、と原作1話分を一気に進んでしまっていた(とはいえ1話1話の構成が原作とはかなり違うのだけど)からちょっと驚いたのだが、来週が第13.5話として今までの総集編的な構成にするようなので、本来14話にする分を端折って1話にしてしまったのかもしれない。今回はそんなふうに思わせるくらい、作画が間に合っていないことを思わせる粗がかなりあったことは、ネットでも様々に指摘されている。

一番致命的なのは塗り残しと思われるところが何か所かあったこと。それから場面が間に合わなかったために暗示的な演出にしたと思われるところもあるし、全体的に人手が足りていないことを思わせる。

テレビアニメは13週を1クールとし、半年ものが2クール、1年ものが4クールということになるが、この作品は2クールものとして一応スタートしているのだが、それだと大体「女型の巨人」編で終わりになってしまうように思われる。これだけ圧倒的な人気なのだから最後までやればいいと思うのだが、原作の進行もあるし作画のバタバタもあるだろうから1クールくらい休みを入れてそれから再度スタートさせるという手もあるのではないかと思う。

今回作画がかなり荒くなったのはおそらく、2クール目からオープニングが変わることと関係あるだろうと思われる。1クール目は『紅蓮の弓矢』が主題歌で爆発的な人気を読んだが、2クール目は『自由の翼』になる(同じLinked Horizonの曲)から、次回あるいは正規の14話から新しいオープニングアニメーションが採用されるのだろう。これも楽しみではあるが、中身が間に合わないとある意味本末転倒だし、そこはそれこそ1週休みにするかでなければ応援部隊をもっと呼んで頑張ってもらえればと思う。まあ予算的なものもあるだろうけど。

自由への進撃 (通常盤/CD Only)
Linked Horizon
ポニーキャニオン

作品の最終的な完成は結局DVD・BDの発売まで待たないといけないんだろうなと思いつつ、日本のアニメの完成度の高さと制作体制の貧弱さはもう少し何とかならないだろうかと思わずにはいられない。ものをつくるということの意味、特に資本主義体制の中で商業的なものをつくることの意味を考えさせられる事例ではある。そういう態勢に異議を唱えて作品の充実を図ったスタジオジブリという先例もあるし、まあこういうことも、ネットでは盛んに論じられているのではあるけど、こういう議論をきっかけにテレビアニメももっと体制が整えられていくとよいと思うのではあるが。

もちろん、荒木監督もそんなことは百も承知で無理無理のスケジュールの中にこれだけの意欲的な描写を入れて行ったのではあるんだろうと思う。制作側・プロデュース側・視聴者側の三者が納得し満足いくようなテレビアニメの制作態勢を確立して行くためにはどうしたらよいか、日本のアニメーションが日本の誇りであり続けるためにはどうしたらよいか、政府の援助等も含めて、そのあたりも考えて行くべき部分があるのではないかと思う。

月別アーカイブ

Powered by Movable Type

Template by MTテンプレートDB

Supported by Movable Type入門

Title background photography
by Luke Peterson

スポンサードリンク













ブログパーツ
total
since 13/04/2009
today
yesterday