ジブリの広報誌『熱風』の電子書籍特集/才谷ウメタロウ『ガズリング』はなぜ面白いか/小林よしのり『ゴーマニズム宣言スペシャル 大東亜論』/アーチスト・デート

Posted at 12/10/16

【ジブリの広報誌『熱風』の電子書籍特集】

やることがたくさんあるのだが、その一つ一つを丁寧に考えながら片付けて行くと膨大な時間がかかるということに気がついた。今までいかに適当にやっていたかということもよくわかるのだが、一度このペースに慣れてしまうとスピードは上がらないし簡単に妥協もできなくなるしなかなかいいんだけどただただ忙しい。今日も3時間半しか寝てないのに特急の中で寝ないでジブリの広報誌『熱風』の電子書籍特集を読みながら気になる言葉をツイートしていた。『熱風』は購読しているのだけど、本当に毎回面白く参考になることが多い。こういうセンスの集団が作っている映画なんだから、ジブリのアニメが面白いのは当たり前だなと思えてくるし、逆にそういう集団なんだから広報誌も面白いということなのかもしれない。

ジブリのプロデューサーと言えば鈴木敏夫さんだが、今回の特集はドワンゴの川上量生さんが企画したのではないかという気がする。川上さんはジブリでプロデューサー見習もやっているとのことで、また鈴木さんとは違って清新なセンスが感じられるなあと思った。電子書籍についてはまた書くこともあると思うが、紙の本でも電子書籍でも何とか自分の作品を流通させようと思っている私などにとってはとても参考になることがたくさんある。

【才谷ウメタロウ『ガズリング』はなぜ面白いか】

ガズリング 2 (芳文社コミックス)
才谷ウメタロウ
芳文社

才谷ウメタロウ『ガズリング』の第2巻を昨日入手し、もう何度も読み返したのだが、このマンガはなぜ面白いんだろうなあとつらつら考えた。まず第一に読んでいて元気が出てくる感じがするのだけど、基本的にみんな前向きで、キャラがひとりひとりよく立っている。話も分かりやすいし王道のスポーツマンガに作者の持ち味でもある萌系のお色気を加えて、ギャグの構成もダイナミックで、面白いなと思う。ツイッターにも書いたのだが、この作者の方は本当にマンガが好きなんじゃないかな、と思った。マンガの伝統の中で生きて、そのさまざまな方法論を面白く使っている。それから言うまでもないけど絵がやたらうまい。

ツイッターにも書いたけど、マンガの伝統文法に忠実という点でみなもと太郎を思い出したのだが、みなもと太郎がスタティックであるのにくらべて才谷ウメタロウの絵はダイナミックで、手塚治虫と永井豪くらい違う。ライバルはライバルらしく、スターはスターらしく、主人公は主人公らしく、余計なことを考えないでいいのもいい。こういうすっきりしたマンガを読みたいという気分が私の中にあるんだろうなと思う。週刊漫画タイムスでの連載も追いかけているが、第2巻で読み始めた号に追いついたのでいちおうストーリーの全貌も把握できた。今後が楽しみだ。


【小林よしのり『ゴーマニズム宣言スペシャル 大東亜論』】

SAPIO (サピオ) 2012年 11月号 [雑誌]
小学館

久しぶりにSAPIOを手にとって読んだら頭山満を取り上げていて、それが面白くて久しぶりに買ってしまった。頭山満という人は私も以前すごく興味があったし、右翼人士について調べていた時に頭山の伝記なども何冊か買って読んだのだけど、小林の視点は「いかに凄かったか」「いかに優しかったか」に中心が絞られていて、読んだことないエピソードが多かったしそのまとめ方で頭山のイメージが上手く固まるようになった。

頭山が待合の「浜の家」に居続けをしてたという話は読んだことがあるが、そこでも芸妓によくもてて、そこにやって来た伊藤博文が「あんな怖い男がどこがいい」みたいなことを言うと芸妓がのろけ、「聞いて怖らしい見て恐ろしい抱いてやさしい頭山さん」と歌ったりしてそれを聞かされた伊藤博文がかたなしなのが可笑しい。

また元勲たちの会合の席で浜の家のおかみが「頭さんは至って親切なやさしいお方でございます」というのに伊藤がいやな顔をしていて、陸奥宗光が笑いながら「お前たちには優しかろうがわれわれには少しも優しくない」と言ったというのが可笑しいのだけど、まあ陸奥は頭がいいから最初からモテ男にはかなわないという感じで鷹揚に放り投げるが、まあ稚気があって張り合おうとする伊藤がいるからこの話は面白いんだと思った。まあいえば伊藤が頭山の引き立て役になっているわけで、そんなふうに引き立て役まで演じてしまう伊藤博文というキャラクターが明治日本を明るくしてたんじゃないかという気がした。実際伊藤の人物というかキャラクターの明るさはいい味出していると思う。

頭山は生き物や女たちには優しく、国家を壟断しようとするものたちにはこの上なく恐ろしい存在であって、まあそれはただ私心なく行動しているからだというのは共感を感じた。まあ私心がなければすべてよいかというとそういう問題でもない(そういう問題にされてしまったところに戦前日本の問題があると言えなくはない)のだけど、でもそこにある種の明るさがあるなあと思う。

私が頭山の言葉で好きなのは、「一人でいてもさびしくない男になれ」という言葉だ。男というものはもともと自由で孤独なものであり、それに耐えられないと地位とか名誉とか金とかを求めたり頼ったりしてしまうのだけど、まあそういうことを相対化する力がこの言葉にはある。この人物を中心に小林が大東亜論をどう書こうとするか、それは楽しみだ。


【アーチスト・デート】

ずっとやりたかったことを、やりなさい。
ジュリア・キャメロン
サンマーク出版

昨日は久しぶりに神保町にショートトリップに出かけたが、帰ってきて思ったけれどもまさにこういうのがキャメロンの『ずっとやりたかったことを、やりなさい』で言っているアーティスト・デートなのだなと思った。ここのところずっと小説を書いていてだいぶ出す一方だったのだけど久しぶりにいろいろなものが吸収できたなと思う。本で読んだキャメロンのレッスンを実践してみてから5年、その後ずっとモーニングページは書き続けてきたけれども、ようやくその成果が少しずつ出てきたのかなと思う。

しかしこういう明示的・批評的な言葉をずっと使っていると創作的なオーラみたいなものがすっと引いて行ってしまう感じもする。こういうところはもう少しうまくバランスを取りながらやっていかないといけないなあ。

私は発想自体は古代的というか妄想的な部分がかなりあってそれが自分でも面白いのだけど、その表現を固めて行く過程で啓蒙的というか常識的というかそういうバイアスが強くなる傾向があると友人から来た手紙を読みながら思った。そのあたりとどうやって付き合っていくか、またそれも面白いなと思う。

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