150年後に構想通りになる森をつくるということ

Posted at 12/08/16

【150年後に構想通りになる森をつくるということ】

Tree(ツリー) (アニメージュ文庫)
C.W.ニコル
徳間書店

雑記のみ。昨日帰郷。6時新宿発に乗ろうと思っていたが、小説を書いていたら時間が遅くなり、結局7時発になった。東京駅の丸善で何か本を見ようと思い、ジブリのコーナーにあったC.W.ニコル『TREE』(アニメージュ文庫、1991)を買った。

読み始めたときはウェールズの森の話、深い森に住む小人や妖精の話がいろいろ出てきて、これはナルニアの原型だなとわりと感動しながら読んでいたのだけど、すぐに天然林が死滅しつつある話とか、人工林には手を入れて維持して行かなければいけない話とか、だんだん読んでいて憂鬱になる話が増えてきて、90ページくらいで止まっている。彼は国立公園レンジャーだとか要するに自然保護に関わって生きてきた人なのだということがはじめてきちんと認識されたのだけど、まあこういうこと言う人が必要なのはわかるが、いま自分が読んでも辛くなるばかりだなという気がした。

ただ深い山の奥の森の話でも住めば浮世なりけりで、いろいろ人事が絡んでいくことはたくさんあるんだろうなと思った。

voice style +plus 森のバイブル
ヴォイス

もう一冊ちらっと読んだのが『森のバイブル』(VOICE、2010)で、最初に明治神宮の森を「作る」話が感激した。明治神宮の森は明治天皇の崩御後に計画され、大正年間からはぐくまれた森で、ということはまだ100年しかたってない森だということなのだ。この計画ではこの森は150年経って構想通りの森になる、最初は松、次に杉やヒノキ、3番目には常緑広葉樹が増えてきて、最終的な形(極相)である常緑広葉樹の照葉樹林になるのが150年後という雄大な計画なのだ。ということはまだあの森は完成していないということで、あと50年ほどたてば一番天然自然な鎮守の森が完成するというわけなのだ。

この話もC.W.ニコルの話と多分本質的にそんなに違うことを言っているわけではないのだろうけど、ニコルの話はどうも気が滅入ってきて、明治神宮の話が心が豊かになるのは、やはりニコルの話が悲壮感があり過ぎるからなのだと思う。そこには西欧的な感覚と日本的な感覚の違いもあるような気がするが、ちょっと何とも言えない。

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