世界は楽天から変わる/三つの面から自分の回復を図る/1にこの世にあること、2に快くこの世にあること。/前を向いて歩きだすための一冊

Posted at 12/06/12

【世界は楽天から変わる】

今ものを書いている。最初はなかなか集中が高まらなかったのだけど、だんだんのりが出てきたみたいなので、しばらくブログの更新は不定期になりそうだから、更新する気のある時にするっと更新しておこうと思う。

9日からの今週末は久々にきちんと東京にいられたこともあってか、収穫の多い週末になった。一週間が日曜日始まりと考えると週初めだが、どうもそれは語法的にしっくりこないので週末ということにするが。というか日曜月曜にパワーをためて週日に仕事や執筆に取り組む、というパターンからすると週初めと言ってもいい、というかいうべきなのかもしれないな。まあその辺はペンディングにするとして、この数日は得るものが多かった。

土曜日には友人がニコニコ動画にアップしている初音ミクがバルトーク『ミクロコスモス』を踊っている動画などを見たりしてから寝た。土曜日の朝にFMでゴンチチの『世界の快適音楽セレクション』を聞いてたら「男はどこか楽天的なところを持っていないといけない」ということを言っていて、そうだなー、と思った。それをTwitterで書いたら初音ミクの友人に大いに同意された。世界は楽天から変わる。月曜日の朝になるが、ドイツ駐在中の友人がユーロヴィジョンの2011年ルーマニア代表と電話で話すことが出来たということをFaceBookで書いていて、そのリンクからYouTubeの映像を見たのだけど、"Change"という曲でなかなか良かった。"I can't change the world alone."という歌詞がいい。"A smile can change it all."というのも。世界は楽天から変わるのだ。それにしてもそれぞれのSNS経由で随分いろいろなものを見聞きし、情報交換・意見交換をしているなあと思う。数年前では考えられないことだ。世界は実際、どんどん変わっている。だから多分、いい方向にも変えられるだろう。

日曜日は神保町に行ったことを書いたけど、どうも疲れが出てしまって夕方一眠りしていたら、気が付いたら8時10分で、あわててNHKをつけて『平清盛』を見た。ちょうど清盛が忠正に刑は斬首になった、と告げるシーン。こちらの方が書いているように、「忠正を斬る」が清盛にとっての通過儀礼になって、優柔不断な主人公が果断なキャラに変わった、という設定はちょっと難しいなという気はしたのだけど、いろいろと見どころはあったし、来週からは突き抜けていく感じが見られるから、また楽しみにしたいと思う。日曜日の夜はかなりじっくりと寝た。


【三つの面から自分の回復を図る】

月曜日の朝は体は調子を取り戻したのだけど頭の疲れがまだ残っていて、いまモーニングページを読み返してみるとその反省が書いてある。最近菜食とか自然食にこだわることを自粛していて、肉食を心掛けているのだが、10%を切っていた体脂肪率も14%くらいまで来ているし、50kgそこそこだった体重も57kgまで来ているので(身長は166cm)まあこのくらいの方が健康的かと思う。頭の芯にある疲れとか、それからくるものを書くことへのモチベーションの回復、体調の回復、プライベートの充実といった三つの面への対策を立てることを考える。制作意欲の回復には素朴な楽天を補給することが大事だなと思うし、体調に関しては減食だけではなくて何か違うトライが必要だなと思ったし、プライベートの充実に関しては「売る、表現する」に重点を置くのではなく、もっと積極的に「買う、つくる」ということをすることだなと思った。体調で引っ張ろうという意識が強かったのだけど、三つの面それぞれでもっと積極性を回復する必要があると思った。特に、自分自身が実は「買う」ということにかなり消極的になっているということに気が付いてはっとした。ふとあたりを見渡して、照明器具がかなりくたびれていることに気づき、これを新しくすることから始めたらいいのではないかと思った。

くるみのき! 2 (バンチコミックス)
青木俊直
新潮社

日曜日に買った青木俊直『くるみのき!』2巻は読了。着ぐるみ劇団に入った内気な女の子の話なのだけど、とても面白い。まだまだそれぞれのキャラクターにまつわる話がすごくたくさん展開できそうなのだけど、それをしないところがある意味品があると言うこともできる。個人的には高校までの友人でくるみを支配的に扱っていて、いまはレズビアン系のAV女優になっているみうにまつわる話をもっと展開してほしかったなと思う。作者本人とツイッターでやり取りをしてみて、みうはくるみとある意味ネガポジの関係にある存在、という印象を受けた。まあある意味この作品世界全体がくるみの心象世界みたいにも見えるのだけど。みうの存在はその心象性をすごく高めている感があった。結局そういう作品が好きなんだな。

10時過ぎになって家の裏のヤマダ電機に照明器具を見に行く。ペンダントタイプを探したのだけどほとんどなくて、大体シーリングタイプのLEDとか細型蛍光灯になっていて、なんだか買う気が失せた。というかこれは日曜に神保町でも感じたことだけど、浦島太郎的な感慨を持った。これが世の中の主流だけど自分はこういう選択をする、ということがとくにものの選択の時には私は多いのだけど、そういう少数派の選択をしていると商品の主流がごそっと変わった時についていけなくなる確率が高い。こういう時にはこういうものを選んでこうすればいい、というような世の中を生きるためのノウハウみたいなものがそういう時にはごそっと無効になってしまうので、また一から考え直し、調べなおさなければいけないのだ。やれやれと思ったが、本来それも物を買う楽しみであるはずで、そんなことで疲れていても仕方ないので、しばらくじっくりと欲しい照明を探してみることにした。

昼食の買い物に出てアリオ北砂まで歩き、とんかつ弁当でも買うかなと思ったら惣菜にとんかつがなくてまた焦った。惣菜と言えばとんかつだと思ってたのにまた世の中の主流が変わったか。ヨーロッパのチーズだとかワインだとか石窯で焼いたパンだとかそういう小洒落たものがたくさんあるのにとんかつがない。下町だぞここは。世の中またウラシマか、と焦る。とりあえず牛肉弁当など買う。二階のノジマ電機に行って照明を見たが、ここにはペンダントは一切なかった。むひゃー。


【1にこの世にあること、2に快くこの世にあること。】

人間仮免中
卯月妙子
イースト・プレス

昼食をとっていろいろやってから日本橋、銀座に出かける。先週とその前、山野楽器で買い物をしたときメンバーカードを忘れてポイントを加算できなかったのでそのついでに。日本橋で降りて丸善へ。マンガのコーナーに卯月妙子『人間仮免中』(イーストプレス、2012)があった。これはツイッターで相原コージ氏が「時にヘロヘロ絵でさらりと怖い事が描いてあるので、精神が安定してる時に読まないとヤバい。気を付けて読も。」と書いておられる統合失調症を患っている元AV女優・漫画家の自伝的作品。少し迷ったが買うことにした。

世界は深淵をのぞきこみ、日本は屹立する
増田悦佐
東洋経済新報社

それから1階に下りてなんとなくビジネス書を見ていたら増田悦佐『世界は深淵をのぞきこみ、日本は屹立する』(東洋経済新報社、2012)という本があり、立ち読みしたらなんだか引き込まれてしまった。日々経済ニュースに触れる中でなんとなく疑問だったことへの答がぱしっと書いてあり、すごく魅力的。論調に必ずしも全賛成するわけでもないけど、現在の主流の論調を検証するうえでのオルタナティブとしては絶対有効だと思った。こういう面白さは、経済書ではリチャード・クー『陰と陽の経済学』以来。クーの本よりもっとラディカルな感じで、これはカイだと思って入手。

バッハ:ゴールドベルク変奏曲(1981年録音)
グレン・グールド
SMJ(SME)(M)

その後銀座までぶらぶらと歩く。ヤマギワ電気で少し照明を見たが、どうもノリが違った。コナカで安売りのブルーのシャツを一枚。いつも首回りを忘れてしまうのだが、39センチで良かったみたいだ。銀座まで歩き、まず山野楽器で買うものを探し、グールドの『ゴルトベルク変奏曲』の81年演奏盤を買うことにした。55年演奏盤はLPで持っている。後で聞いてみたが、よりアヴァンギャルドになっている気がした。レシートでポイントをつけてもらい、教文館へ。ここでは何も買わなかったが、4階に上ってカフェで一服した。帰りに松屋の和幸で一口ひれかつ弁当を買って帰った。とんかつがようやく成就。

家に帰ってから『人間仮免中』と『世界は深淵を…』を並行して読む。どちらも大変面白い。夜、ツイッターで佐々木俊尚氏のツイートを読んでいて、村木厚子さんと東電OLを比較したこちらの記事を読んだ。現代を生き抜くうえで、すごく示唆的。まっすぐに闘っても勝つことはありえない、という状況でいかに負けないようにするか。「体調を崩さないこと、落ち込まないこと、良い友達を持つこと、経済力を持つこと、家族の理解と協力を得ること。」平凡だがこれ以上ない腰を据えた姿勢だ。勝つことがあり得ない状況でいたずらに勝ちを求めても駄目だ。負けないようにすればどこかにチャンスがあるかもしれない。自分が置かれたそういう状況で、今思うと全然ダメだったなと思う。体調を崩し、落ち込んだ。友人関係もぎすぎすしたし、経済力はなくはなかったが、離婚問題を抱えていた。そういう状況では、「先ずはからだと気持ち」なのだ、と痛感する。

『人間仮免中』に印象的な言葉が出てくる。病気が悪化して楽しみにしていた劇団の練習に出られなくなり、死にたくなった作者は病院へ行って強い薬を処方してもらうが、そのために夜間に便を失禁するというような状態になる。そんな作者とずっと暮らしている25歳年上のボビーがこういう。「お漏らしくらい気にすんな!いいか?1に、この世にあること!2に、快くこの世にあること!生き様なんて5番目だ!!」とにかく生きること。快くこの世にあること。3,4がなくて、生きざまなんてその次だ、と。村木さんと結局は同じことを言っていると思う。

こういう強さを知っているかどうかで、人間はいざというときに耐えられる限度が変わってくると思う。14年前の私は全然ダメだった。もっともっとましになりたいものだと思う。


【前を向いて歩きだすための一冊】

『世界は深淵をのぞきこみ、日本は屹立する』はエリート支配の欧米各国は産業革命以来のエリートによる収奪がついに終焉を迎えて没落するが、無能なエリートと能力の差がない大衆が支配的な日本はこれから繁栄を迎える、というようなストーリー。デフレの評価や国債の評価などが私自身もよくわからないと思うところがあったのだけど、目の覚めるような切れ味で庶民にとっては生活になくてはならないものが値上がりするアメリカのようなインフレ状態よりも実質購買力では勝っている日本のデフレ状態の方がいいと断じ、世界の債券市場で日本の国債とアメリカの国債はほぼ同額で(!)、資金が日本国債から逃げる先など存在しない、という見解はとても印象に残った。経済論だけでなく社会論にまで目配りのある著者の見解を、もう少し咀嚼してみたいと思った。

正直言って、私は日本という国と自分を同一視しているところがあるというか、まあ誰でもある程度あることだと思うけれども、日本がだめだと思うと自分自身が元気が出ないというところがある。だから去年の震災以降、やっぱりなんか意気が上がらないというか、心の中にぬぺえとしたところがあった。しかしこの本を読んでいると、日本は悪くないんじゃないか、というよりこれからなんじゃないか、というような楽天的な気持ちが芽生えてくる。とにかく前を向いて、歩き出すためにはこういう本が必要なときはあると思った。そういう意味でも大事な一冊になりそうだと思う。

浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか (幻冬舎新書)
島田裕巳
幻冬舎

そのほかこの週末は先週買った島田裕巳『浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いか』、山川出版社の『歴史と地理 世界史の研究231』、スタジオジブリのPR誌『熱風』6月号などいろいろある。いろいろ読みながら、考え考え、書き物を進めている。

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