新しいものと面白いもの

Posted at 11/12/07

落ち込んでるかどうかはともかく、いろいろなことを総括せざるを得ない事態が起こったのだが、総括自体はぼちぼち進めている。けっこう開き直って、何か思うままにがんがんやったり。やれば仕事は片付く。新しい展開のためには、久々にサイトを作りなおそうかと思っている。この匿名ブログというスタイルは楽だし今までもそれなりにたくさんの人に読んでもらってきているのだけどこのままでは自分の人生にとって価値のある展開ができないなと思い始めた。

流れが変わってるなと思い始めたのはいつごろだっただろうか。自分が面白いと思うものが世の中から減って行き、あまりどうなのというのが増えだしたのは。先日漫画家の間で背景はどうあるべきかという論争がツイッターで行われていたけど、デジタル入稿の一般化によって写真をそのまま取り込んだような背景が増えているという問題について議論されていたが、まあ私は面白ければ、あるいは感銘を受けるつくりならばどっちもありだと思う。出来上がりが良ければいいしだめならだめでそれだけだ。江口寿史がそういう背景にはもううんざりだというようなことを言ったことから議論がはじまったのだけど、まあそこにはある種の世代対立があったのもまた確かだろうと思う。

まあ、私が面白いと思うものをみんなが面白いと思うとは限らないし、逆に今流行っているものが自分にとって面白いかというとそれも限らない。80年代はとんがっている人の間で流行っているものはたいがい自分にとっても面白かったし、マンガでも映画でも先を行っているほど面白いという感覚はあった。

現代の問題は多分、「先を行ってるかどうか」ではなくなってるということなんじゃないかという気がする。先を行ってるものというのはある種不安定なもので、作品そのものとしては破綻してたりすることが往々にしてあるわけだが、やろうとしていることの先に行きっぷりというのが面白いわけで、どんなふうに行くのかその分からなさに興奮していたのが80年代だった。

なんか多分、90年代のどこかで流れが変わってしまったんだと思うが、最近なかなか新しいと感じられるものがない。まあ、天が下新しいものなし、という言葉もあるけれども、「新しいもの=ラディカルなもの=本質を突きさすもの」という等式が崩れているんじゃないかな。なんか新しいだけで全然本質を突きささないというか、俺たちの面白いものは年寄りたちの面白いものとは違うぜというのはいいんだけどでも本当に面白いのか、面白くもないものを面白がってるだけなんじゃないのかと思うこともある。まあそこは、自分の感覚を信じるしかないんだけどね。

まあこの頃特に、自分が面白いと感じるものと流行りのものの乖離が激しい。それは自分が感性が鈍くなったからなんじゃないかと思ってみてエヴァンゲリオンをはじめとしていろいろ避けてきたものも見るようにしているのだけど、激しく避けたというのは逆にいえば激しい評価をせざるを得ない刺激の強さを持っているということだから感覚的には正しかった(ダメージを受けないために避けていたわけだから)ということはわかるし、ある程度の面白さはあってもそこまでか、と思うこともあるし、まあ感覚的にはそれなりにブラッシュアップはされてきたかなと自分では思う。そうしてみてもやはり面白いものは面白いけど面白くないものは面白くないわけで、やはり大部分のものが自分にとってはクズ、という状態が変わっているわけではない。面白くないものがなぜ面白くないかを分析しても不毛なので、自分が面白いものをもっと積極的に探した方がましだと思う。誰が何と言おうと自分が面白か面白くないかの基準だし、自分が面白いと思うものを選べないようでは自分が面白いと思うものはつくれないし、ましてや人が面白いと思うものはつくれないだろう。

今日はからだを見てもらう日なので松本に出かけて、帰りに病院へ寄った。8時半に出発したが時間が早かったせいか高速がいつもは550円なのが400円になっていた。忙しくてつい食べ過ぎてしまうという話をしたら、食べ過ぎると気持ちが重くなるので食べ過ぎない方が気持ちが楽ですよと言われてなるほどと思う。高速だとあっという間なのだが一般道を行くとけっこう時間がかかって、セブンイレブンと農協の専売所と銀行に立ち寄ったりしたために病院についたら11時くらいになっていた。そこでものを母に渡して少し話をして、今度は金曜日に行くということにした。今週は火、水と行ったので金曜日に行けば週三回だ。土曜は弟が東京から車で来て行くことになると思うのでまあそれでいいかと思う。病院からは高速に乗って峠を越えて、時間が思ったより早かったので大きめの書店に寄る。

生ききる。 (角川oneテーマ21)
瀬戸内寂聴・梅原猛
角川学芸出版

何か面白いものがないかと思って探したのだが、やはり田舎の書店の限界で、なかなかこれというものがない。買ったのは瀬戸内寂聴・梅原猛『生ききる。』(角川Oneテーマ21、2011)と原奎一郎『ふだん着の原敬』(中公文庫、2011)。前者は立ち読みした時、瀬戸内が石原慎太郎を高く評価している言葉があったのでへえっと思って。後者は原敬について自分が書いた評論のことを今朝思い出したりしたことが印象に残っていたので何か関連があるかと思ってつい手を伸ばした。ただ両方とも、新しい面白さの発見というようなものではない。

ふだん着の原敬 (中公文庫)
原奎一郎
中央公論新社

帰りは気まぐれに湖の南側を回って帰る。スタッドレスタイヤが何となく高速を走っているときに不安定な感じがするので給油のついでに見てもらったのだが、新しくてタイヤがまだやわらかいせいではないかといわれた。確かにあんまり空気圧を上げて中央だけ減りが早くなるのもいまいちだし、もう少し様子を見ようかと思う。

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by Luke Peterson

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